109 / 127
番外編
私の悩み 14
しおりを挟む
とにかく、令嬢たちに知られる前に、ルイスをなんとかしないと…。
「そうだ、ダン。モーラにだけ、その魔石ライトで光をあて、知らせてみたらどうだ? こちらをむいた時に、ルイスのほうを手で示して教えるんだ。そうしたら、モーラは事情を察してくれるだろう」
「そうですね…。モーラさんは、少しテーブルから離れていますので、魔石ライトの光を弱めたら、モーラさんにだけ知らせることもできるかもしれません。強い光だと、令嬢たちにも気づかれると思いますが…」
「そのライトは、光の量を調節できるのか?」
「ええ、3段階あります。ちなみに、光の色も、赤になら変更できます」
「おお、それはいい! 赤なら警告だろう? よし、では、二人で流れ作業だ。ダンが、モーラに弱くて赤い光をあてる。私は、モーラがこちらを向いた瞬間、全力で、ルイスを指し示す」
「了解しました! こっちは、いつでも準備OKです」
と、魔石ライトをモーラに向かって固定した、ダン。
私はダンの隣に立つ。モーラがこちらを向いた瞬間が勝負だ。
「では、ダン。モーラに光を!」
と、私が合図をだした。
ダンがスイッチを押すカチリという音がして、光がでた。
細くて、弱い光。
テーブルから少し離れたところに立つ、モーラの額に、赤い光が命中した。
モーラが驚いたように、こちらを向いた。
よしっ! 次は私の出番だ。
渾身の力で、両腕を大きくルイスのいる方向へ向けて、示した。
頼む。モーラ、気づいてくれ!
と、思ったら、モーラがいきなり走り出した。
「え…? モーラ、どうした…? どこへ行く…?」
すると、モーラは、フィリップの隣までかけより、こちらの方向を向いて、両腕をひろげて立った。
フィリップを守るように。
「王太子様! 伏せてください! 不審な光がこちらを狙っております! 暗殺やもしれません! だれかっ!!」
魔石スピーカーから、モーラのあせったような叫び声がした。
は…? 暗殺…?!
いやいや、違うぞ、私の顔をしっかり見ろ、モーラ!
あ、それよりもライト!
「ダン、ライトを消せっ!」
あわてて命じる。
が、時すでに遅く、モーラの叫び声に、令嬢たちが悲鳴をあげた。
庭に配置されていた護衛たちが駆けて来る。
「あ、しかも、ルイス殿下まで…! まずいです!」
と、ダン。
見ると、ルイスが模造の剣を構えて、ものすごいスピードで、フィリップめがけて走り寄ってきた。
兄を守ろうとする心意気は尊いが、今はやめてくれ…。
もちろん、護衛騎士のダレンが、すぐにルイスの前へまわった。何か話しかけて、引きとめようとしたが、ルイスが首を横に振った。
危ないから止めようとしたのだろうが、ルイスが拒否したというところか…。
ひきとめをあきらめたダレン。ルイスを守りつつ、敵をけちらすような鋭い目つきで、まわりを警戒しながら走りだす。
これは面倒なことになったな…。
「ダン…。モーラには、私が誰だか見えていないのか…?」
「ええ。うっかりしておりましたが、私たちは、魔石のレンズが入った眼鏡をかけて、あちらを見ているので、はっきり見えます。が、向こうからは、結構、距離があるので、こちらがどれほど見えるかは、その人の視力によるかと…」
「そうだった。眼鏡、かけてたな…。すごいな、魔石レンズの眼鏡は…。快適すぎて、かけてることすら、すっかり忘れてたよ…」
と、ダレンとルイスがテーブルの近くにたどり着いた。
そのとたん、令嬢たちの目がルイスに釘付けになる。
さっきまで悲鳴をあげていたのが嘘のように、熱のこもった目で、ルイスを見ている令嬢二人。
まずい、まずすぎる…。
フィリップが、猛然と椅子から立ちあがると、ルイスに近づいた。
そして、言った。
「ダメだよ、ルイス。ここにはルイスを狙う魔物がいるんだから。さあ、早く、あっちへ行こう」
魔物…?
「兄様、でも、暗殺って聞こえて…」
「ああ、あれはただの魔石ライトだから、害はないよ。どうせ、魔石マニアのダンの仕業だろ? 何がしたいのか、意味不明だよね? テーブルに、魔石スピーカーもしこんでるし。ダンがいるということは、当然、父上がいる。つまり、父上は、こそこそ、のぞいてたってことでしょ? ほんと、王なのに、何してるんだろうね?」
全部、ばれてる…。それと、好き好んで覗いていたわけじゃないぞ!
フィリップを…いや、違うな…、令嬢たちの身の安全を心配して、見守っていただけだ!
「ルイス。ここにいたら、ルイスを狙う視線のほうが、害があるからね。早く、ここから離れよう。…それにしても、ルイスは、なんて優しいうえに勇敢なんだろう! 兄様の危機だと思って、助けにきてくれたんだよね! もうこの感動だけで一カ月は何も食べなくても生きていけると思う。ありがとう、ルイス。…でもね、ルイス。これからは、兄様を助けようとしたら絶対にダメだからね。 危ない時は、逃げて。ルイスが傷ついたら、兄様は悲しくて立ち直れないからね? わかった?」
と、一気にまくしたてたフィリップは、ルイスの背中に手をあてて、王宮のほうへと歩き始めた。
まわりの混沌をまるっと無視して…。
というか、フィリップ、一応、見合いだろう?!
まさか、令嬢たちを、このまま放置していくのか?!
※ 不定期な更新ですみません!
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変、励まされております!
「そうだ、ダン。モーラにだけ、その魔石ライトで光をあて、知らせてみたらどうだ? こちらをむいた時に、ルイスのほうを手で示して教えるんだ。そうしたら、モーラは事情を察してくれるだろう」
「そうですね…。モーラさんは、少しテーブルから離れていますので、魔石ライトの光を弱めたら、モーラさんにだけ知らせることもできるかもしれません。強い光だと、令嬢たちにも気づかれると思いますが…」
「そのライトは、光の量を調節できるのか?」
「ええ、3段階あります。ちなみに、光の色も、赤になら変更できます」
「おお、それはいい! 赤なら警告だろう? よし、では、二人で流れ作業だ。ダンが、モーラに弱くて赤い光をあてる。私は、モーラがこちらを向いた瞬間、全力で、ルイスを指し示す」
「了解しました! こっちは、いつでも準備OKです」
と、魔石ライトをモーラに向かって固定した、ダン。
私はダンの隣に立つ。モーラがこちらを向いた瞬間が勝負だ。
「では、ダン。モーラに光を!」
と、私が合図をだした。
ダンがスイッチを押すカチリという音がして、光がでた。
細くて、弱い光。
テーブルから少し離れたところに立つ、モーラの額に、赤い光が命中した。
モーラが驚いたように、こちらを向いた。
よしっ! 次は私の出番だ。
渾身の力で、両腕を大きくルイスのいる方向へ向けて、示した。
頼む。モーラ、気づいてくれ!
と、思ったら、モーラがいきなり走り出した。
「え…? モーラ、どうした…? どこへ行く…?」
すると、モーラは、フィリップの隣までかけより、こちらの方向を向いて、両腕をひろげて立った。
フィリップを守るように。
「王太子様! 伏せてください! 不審な光がこちらを狙っております! 暗殺やもしれません! だれかっ!!」
魔石スピーカーから、モーラのあせったような叫び声がした。
は…? 暗殺…?!
いやいや、違うぞ、私の顔をしっかり見ろ、モーラ!
あ、それよりもライト!
「ダン、ライトを消せっ!」
あわてて命じる。
が、時すでに遅く、モーラの叫び声に、令嬢たちが悲鳴をあげた。
庭に配置されていた護衛たちが駆けて来る。
「あ、しかも、ルイス殿下まで…! まずいです!」
と、ダン。
見ると、ルイスが模造の剣を構えて、ものすごいスピードで、フィリップめがけて走り寄ってきた。
兄を守ろうとする心意気は尊いが、今はやめてくれ…。
もちろん、護衛騎士のダレンが、すぐにルイスの前へまわった。何か話しかけて、引きとめようとしたが、ルイスが首を横に振った。
危ないから止めようとしたのだろうが、ルイスが拒否したというところか…。
ひきとめをあきらめたダレン。ルイスを守りつつ、敵をけちらすような鋭い目つきで、まわりを警戒しながら走りだす。
これは面倒なことになったな…。
「ダン…。モーラには、私が誰だか見えていないのか…?」
「ええ。うっかりしておりましたが、私たちは、魔石のレンズが入った眼鏡をかけて、あちらを見ているので、はっきり見えます。が、向こうからは、結構、距離があるので、こちらがどれほど見えるかは、その人の視力によるかと…」
「そうだった。眼鏡、かけてたな…。すごいな、魔石レンズの眼鏡は…。快適すぎて、かけてることすら、すっかり忘れてたよ…」
と、ダレンとルイスがテーブルの近くにたどり着いた。
そのとたん、令嬢たちの目がルイスに釘付けになる。
さっきまで悲鳴をあげていたのが嘘のように、熱のこもった目で、ルイスを見ている令嬢二人。
まずい、まずすぎる…。
フィリップが、猛然と椅子から立ちあがると、ルイスに近づいた。
そして、言った。
「ダメだよ、ルイス。ここにはルイスを狙う魔物がいるんだから。さあ、早く、あっちへ行こう」
魔物…?
「兄様、でも、暗殺って聞こえて…」
「ああ、あれはただの魔石ライトだから、害はないよ。どうせ、魔石マニアのダンの仕業だろ? 何がしたいのか、意味不明だよね? テーブルに、魔石スピーカーもしこんでるし。ダンがいるということは、当然、父上がいる。つまり、父上は、こそこそ、のぞいてたってことでしょ? ほんと、王なのに、何してるんだろうね?」
全部、ばれてる…。それと、好き好んで覗いていたわけじゃないぞ!
フィリップを…いや、違うな…、令嬢たちの身の安全を心配して、見守っていただけだ!
「ルイス。ここにいたら、ルイスを狙う視線のほうが、害があるからね。早く、ここから離れよう。…それにしても、ルイスは、なんて優しいうえに勇敢なんだろう! 兄様の危機だと思って、助けにきてくれたんだよね! もうこの感動だけで一カ月は何も食べなくても生きていけると思う。ありがとう、ルイス。…でもね、ルイス。これからは、兄様を助けようとしたら絶対にダメだからね。 危ない時は、逃げて。ルイスが傷ついたら、兄様は悲しくて立ち直れないからね? わかった?」
と、一気にまくしたてたフィリップは、ルイスの背中に手をあてて、王宮のほうへと歩き始めた。
まわりの混沌をまるっと無視して…。
というか、フィリップ、一応、見合いだろう?!
まさか、令嬢たちを、このまま放置していくのか?!
※ 不定期な更新ですみません!
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、本当にありがとうございます!
お気に入り登録、エール、ご感想もありがとうございます! 大変、励まされております!
26
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!
水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!?
※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり
大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。
airria
恋愛
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルから涙ながらにそう告げられて、私が一番最初に思ったのは、「ああ、やっぱり」。
婚約者のアマンド様とは、ここ1年ほど余所余所しい関係が続いていたから。
2人が想い合っているのなら、お邪魔虫になんてなりたくない。
心が別の人にあるのなら、結婚なんてしたくない。
そんなわけで、穏便に婚約解消してもらうために、我儘になってナチュラルに嫌われようと思います!
でも本当は…
これは、彼の仕事の邪魔にならないように、自分を抑えてきたヒロインが、我儘に振る舞ううちに溺愛されてしまう物語。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。
星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」
涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。
だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。
それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。
「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」
「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」
「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」
毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。
必死に耐え続けて、2年。
魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。
「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」
涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる