(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

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番外編

辺境で 11(アリス視点)

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※ お久しぶりです。アリス視点からの再開となります。



私が辺境へ出発する日。
朝早く、お父様とマーク兄様のふたりは揃って領地に出発していった。

私が辺境に行くのを猛反対していた過保護すぎるふたりは、王妃様に招待されてもいないのに、こっそり辺境までついてくるつもりだったみたい。
その考えをあっさり見抜いたお母様。
私が辺境へ出発する日にあわせて、ふたり揃って辺境とは真逆にあたる遠い領地に出向かざるをえないよう、お母様がさっさと差配してしまった。

そう、ふたりはお母様には逆らえない。
ヴァルト公爵家を実質まわしているのは、公爵のお父様じゃなくてお母様だから。

とはいえ、
「やっぱり心配だ。アリス、辺境へ行くのをやめないか?」
なんてことを、お父様とマーク兄様は出発する直前まで私に言ってきていたから、その都度、お母様に叱られていた。

ふたりにとったら、私はいまだに幼い子どもに見えているんだと思う。

でも、自分でいうのもなんだけど、ルイス様との修行のようなお茶会を何年も続けてきたおかげなのか、精神は鍛えられたと思う。
だから、そんなに心配しなくても大丈夫なのに……。

それに、今回、私につきそって、辺境まで行ってくれる侍女のメアリーは、小さい頃から面倒みてもらっていて、家族同然。
私にとったら年の離れた頼れる姉みたいな感じなのよね。

だから、正直、マーク兄様やお父様より、メアリーがついてきてくれたほうが、私としては安心する。

なんて考えていると、辺境騎士団の騎士の方々が三人、わざわざ辺境領から迎えにきてくださった。

以前、お会いした時、王妃様が着られていた騎士服と同じ騎士服を着られているみなさん。
濃い青色に銀色のラインが入っただけの、すっきりとした騎士服には、胸に「銀の鷲」が刺繍されている。
これは、辺境伯様の紋章で、迎えの馬車にも同じ紋章が入っている。

銀の鷲というのが強そうで、王妃様にぴったり。

私は、大柄な騎士ふたりにはさまれて、真ん中で凛と立っている小柄な女性の騎士に目を奪われた。

金色の長い髪を後ろで束ね、くりっとした大きな目が印象的な、かわいらしい顔立ちの女性。
その方が私の前に立った。

「辺境騎士団の騎士、マチルダ・ターナーと申します。王妃様であり辺境伯様でもあられる騎士団長様よりルイス殿下のご婚約者様アリス・ヴァルド様の護衛を任じられました。辺境伯様のお城までの道中、そして、滞在中も、私が常にアリス様のおそばで護衛させていただきます。私のことはマチルダとおよびください。どうぞよろしくお願いいたします」

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いします、マチルダさん。私のことはアリスと呼んでください!」

王妃様以外で初めて会う女性騎士さんにドキドキしながら挨拶をする。

「承知しました、アリス様」

きびきびとした返事とともに、にっこり微笑んだマチルダさん。
やさしい笑顔に一気に親しみがわいた。

マチルダさんに続き、他の騎士さんふたりも自己紹介をしてくれた。
ひとりはアール・ターナーさんといって、マチルダさんのお兄様だそう。

背が高く大柄なアールさんは、小柄なマチルダさんとは全然似ていない。
少しびっくりしていると、アールさんが笑いながら言った。

「俺と妹、似ていないでしょう? よく驚かれるんです」

確かに……。

あ、でも、私とマーク兄様も全然似ていないから一緒だわ。

マチルダさんとアールさんのお父様は辺境騎士団の副騎士団長様なんだそう。
つまり、ターナー家は国の大事な要である辺境を守っているご一家ということね。

で、もうひとかたは、ロイス・ブリューノさん。
ロイスさんもアールさんと同じくらい背が高く、大きな方だ。

みなさん、優しそうでほっとする。

が、ひとつ疑問が……。

なんで、マチルダさん以外のふたりは、そんな離れたところに立ったままなのかしら?
マチルダさんだけが私の前にすすみでて、あとのふたりは離れたところから、自己紹介をしてくださったのだけれど、不自然な距離感なのよね……。

ということで、私のほうから近づいてみる。
すると、同じだけ、ふたりは少し後ろにさがった。

なんだか、私との一定の距離を保っているような感じなんだけど……。




※ ものすごく久々の更新となってしまいました。不規則な更新のなか、読んでくださったかた、本当にありがとうございます。次回も引き続き、アリス視点となりますがよろしくお願いします。

今回登場した女性騎士マチルダは、このお話のスピンオフ「いつのまにか懐かれました。懐かれたからには私が守ります」の主人公になります。ちなみに、スピンオフのほうにも、王妃と王太子とウルスが少し登場します。
5万字ほどで完結している短めのお話です。もし、よろしかったら、そちらもよろしくお願いします。
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