Re:攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。【第一部新生版】

水無月いい人(minazuki)

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第二章 《第一部》ヒーラー 王国篇

第19話 「発情期と甘い誘惑と」

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部屋の薄暗い明かりの中、レイラが俺のベッドに潜り込んできた。

「ねぇ、レイラ……なにしてるの?」

すぐ横にいるレイラの顔が、ほんのり赤い。

「アスフィ……レイラ、体がアツいの」

「いや、そうじゃなくて、どうして僕のベッドに……?」

彼女の息遣いがいつもより少し荒い。なにかがおかしい。

「アスフィのせいなんだよ……」

――え? 俺のせい?わけが分からない。

まさか……。

頭の中で、ある可能性が閃いた。

もしやこれは――獣人特有の発情期!?

父さんから昔、聞いたことがある。
……子供になんて話をしているんだとは思ったが。
けど、そういう話をするってことは、それなりに重要な話だったんだろう。

「……レイラ、落ち着いて聞いて」

「なに?」

「自分のベッドに戻るんだ、いいね?」

「……いやだよ」

拒否された。

彼女の目が潤んでいて、俺をまっすぐに見つめてくる。
なんというか――本能的な危機を感じる。

「……僕はそろそろ我慢出来そうにないんだ。分かってよ。僕も男の子なんだ」

そう言ってみるが、レイラはますます距離を詰めてきた。

「レイラは今日十四歳になった……よ?」

……そういうことじゃないんだけど。

まずい、話が通じない。どうにかして、この状況を打開しなければ……!

「……いいの?」

レイラの声が、どこか甘く囁くように響く。

「アスフィはえっちだもんね……でも今日はいいよ」

許された。いや、違う、そうじゃない!

――けど、目の前にいるのは、俺がずっと大切に思ってきた幼馴染。

……少しぐらいなら、いいのか?

理性が揺らぐ。

触れたい。

いや、ずっと見ているだけだったものに、今なら――。

俺は意を決して、レイラの胸に手を伸ばした。

「……柔らかい」

指先が沈み込む。

「……あ」

レイラの喉から、甘く掠れた声が漏れる。

やばい。これは本当にまずい。

なのに、俺の手は止まらなかった。

「……服の中も……いい? レイラ」

どこか熱に浮かされたような問いかけに、レイラは少しの間沈黙した後――。

「いい……よ」

その小さな声が、俺の中の何かを決壊させる。

もう、どうにでもなれ。

俺はレイラの服の中へ手を差し入れた。指先が直接、柔らかく温かい感触に触れる――。

これは……やばい。やばすぎる。このまま進んだら――。

【あははは! 面白いな君は! 流石は――】

(流石は何だよ。言うなら最後まで言え!)

頭の奥に響く、謎の声。だが、そんなもの今はどうでもいい。

「レイラ……僕、もう!!」

――その瞬間だった。

バタンッ!!

「遊びに来たよ! アスフィ、レイ……ラ……」

突然、勢いよく扉が開いた。

そこに立っていたのは、満面の笑みを浮かべたエルザだった。

一瞬で、その笑顔が凍りついた。

……終わった。

俺は、レイラに馬乗りにされている。そして、俺の手はレイラの服の中に――。

……これ、完全にアウトなやつだよな?

「……えっとこれは違くてエルザ……」

必死に言い訳しようとするが、エルザの顔はみるみる赤く染まり、目が泳ぐ。

「……お、おお邪魔だったみたいですわね! ワタクシはこれで失礼致しますわ!!」

バタン!!

扉が閉まる音と同時に、エルザの足音が遠ざかる。

そして――。

「パパーーー!! アスフィとレイラがいやらしいことを――!!」

城中に響き渡る、エルザの叫び。

それはまさに、俺の社会的な死を告げる鐘だった。

「ちょっと待ってエルザ……!」

俺は布団を跳ね除け、すぐに追いかけようとした。

――が、その前に気づいた。

「……レイラ?」

さっきまで俺に覆いかぶさっていたはずのレイラが――。

「すぅ……すぅ……」

寝ている。

しかも俺の上に跨ったまま、まるで天使のような無邪気な顔で。

「この状況で寝る!? レイラ、起きて!!大変なんだ!!」

いくら揺さぶっても、彼女は幸せそうに寝息を立てている。

「……そんな状態でも寝れるんだね……ははは……はぁ」

完全に力が抜けた。

これは、もうどうしようもない。

観念して、レイラをお姫様抱っこし、そっと彼女のベッドへ運ぶ。
彼女の寝顔を見ながら、俺は深いため息をついた。

「……なんか思っていたのと違うんだよね」

そして――。

束の間の休日は、最悪の形で幕を閉じた。
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