妹の初恋は私の婚約者

あんど もあ

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前編

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「カミーユ・アストリエ侯爵令嬢! お前とは今日で婚約破棄だ!」

 王立学園の卒業パーティーで、突然フランツ第一王子が宣言しました。
 会場に一気に緊張が走ります。おめでたいパーティーで何をしてるのでしょう。
 宣言された私は、わざとらしくため息をつきました。

「その件は、父からお断りしているはずですが」
 あなたの一存で決められる事では無いと、分かっているでしょうに……。
「たとえ婚約破棄が認められなくとも、私の気持ちは既に決まっている。お前を愛する事は無い!」
「それは、あなたの後ろにいる令嬢のせいと思って良いのでしょうか?」

 殿下の後ろには、長い金髪をリボンでまとめただけの、青紫のシンプルなドレスを着た、まだ学園に入学する前の年齢の令嬢がいます。
 自分が主役のような華美な服装にしなかった事は、褒めてあげましょう。
 でも、既に会場中の注目を集めてますけどね。

「そうだ。私はこのジョフロアを愛している」
「ジョフロア、あなたはどう思ってますの?」
「わ、私も……、殿下をお慕いしています」
 堂々とした二人の愛の宣言に、周りが息を呑みます。

「そんな事は知ってますわ。あなたが十歳の頃から殿下を好きな事なんて、姉の私が気付かないわけないでしょう?」
 会場にざわめきが広がります。彼女はカミーユ嬢の妹なのか! アストリエ侯爵家にはカミーユ嬢の下に弟と妹がいたはずだ、などと言っているのでしょうが、放っておきましょう。
「聞きたいのは、屋敷から出た事すら数えるほどしかない対人恐怖症のあなたが、殿下の横に立てますの? 皆の、好奇心や侮蔑の目に晒されても平気でいられる?、と言う事よ」
「だ……大丈夫です」
 とても大丈夫とは思えない小さな声。

「ふぅ……。認めるわけにはいきませんわ。ジョフロアは初恋に夢を見ているだけのまだ子供。これで殿下とジョフロアが婚約したら、ジョフロアは『姉から婚約者を略奪した妹』と後ろ指を指されますもの。妹が不幸になる縁組など、論外ですわ」
「略奪では無い! 私がジョフロアを求めているのだ」
「綺麗事を……。世間はそうは見ませんのよ。あなたにジョフロアが守れますの?」
「守ってみせる!」
「口では何とでも言えますわ」
 ふんっ! 大切な妹をそんな口約束に任せられるものですか。
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