3 / 7
3
しおりを挟む
翌朝、王子様と朝食を食べていたら
「予定を決めてなかった午後は、城の中を案内する事にしようと思うんだけど」
と、提案された。
「見たいです!」
大喜びで食いついた。
その手があった! これなら外に出なくても安全に異世界を堪能できるじゃん。楽しみ! 王子様いい奴!
ご機嫌で部屋に戻ったら、大神官様が神事の資料を抱えてやって来た。お勉強会が始まる。
「こちらが当日の祭壇です」
と、見せてくれた図解は、二年前のじいちゃんの葬式の祭壇と似てた。こういうのって異世界でも共通なのかな。
左側に5脚椅子が並び、
「こちらは王族三人と、護衛二人です。物々しくならないよう二人にしていますが、あらゆる所に騎士が控えていますから警備はご安心ください」
そして、右側に椅子が30脚。
「こちらは貴族席です」
元の世界と違うのは、椅子が祭壇に向かって置いてあるのではなく、ハの字というか、王族と貴族が向かい合って座るように置いてあるくらい。
椅子の並んだ奥が1メートルくらい高くなっていて、中央と左右に数段の階段がある。その上にお葬式の飾り付けのような装飾がされていて、真ん中にある椅子、元の世界ならお坊さんがいる所が私の場所。
「この、少し離れた左側の椅子に私が控えています」
「それなら心強いです!」
「次は式次第ですが」
幼い信徒たちが祭壇の前で聖歌(讃美歌の事だね)を歌って神事がスタート。貴族が入場して着席した後に王族が入場して着席すると、聖歌は終わり信徒たちが退場する。
そして、大神官様にエスコートされて聖女が入場。祭壇に上り椅子に座って祈りを捧げる。
祈りの方法は、
「亡くなった人たちよ安らかにあれ」
と、思うだけで、決まった祈りの言葉などは無いそうだ。
これは、神社仏閣教会お墓神棚お稲荷さんお地蔵さんで祈りまくる日本人は得意かも。
浄化されたら大神官様が合図するので、立ち上がって右手に置いてある一輪の花を手に取って祭壇に捧げて神事が終わる。
「花ですか」
「花にも決まりは無いのですが、希望の花はありますか?」
この世界にどんな花があるのか分からないので、お任せする事にした。
「後は、聖女の衣装ですね」
大神官様がドアに声を掛けると、待ち構えたように大きな箱を抱えた侍女と女性神官たちが部屋に雪崩れ込んできた。
ワンピースを着たまま試着、というか試巻きされる。光沢のある白い布だ。
インドのサリーみたいな、「ブルータスお前もか」の人みたいな、布をグルグル巻いて引っ掛ける形で、侍女たちも初めてだから試行錯誤してる。
「これは代々伝わる衣装なんですか?」
衣装と言うより布だな。
「いえ、今回のために用意しました」
何せ、聖女の体型が来るまで分からないので、布だけを用意して、言い伝えられている巻き付け方をするのだそうだ。まあ、召喚してからサイズを計って仕立てるより確実だよね。神事が終わったら布に戻せるし。
何とか終わって、届いた昼食を食べ終わった頃、王子様が城の案内にやって来た。
私と王子の前後にさりげなく護衛らしき人がついてる。
嬉々として歩いて行くが、城は入り組んでいて、すぐに方向感覚が無くなってどこを歩いているのか分からなくなった。
「分かりにくくてすみません」
「いえ、こうしないと敵が襲撃した時すぐに目的地へ行けて、城を制圧されてしまいますよね」
「聖女アユミはよくご存知ですね」
でも『アルファパレス』では大抵妾腹の第二王子とか王弟が敵に協力していて、あっさり王の元へ行けちゃうんだけどね……。この国にはそんな王子いないのかな。
歩きながら、「さすがはお城。廊下もドアも広~い!」などと思ってたら、ドレスを着ている人がいるから幅が必要なんだと気付いた。
もし我が家にレティシア様がやってきたら、廊下でドレスが引っ掛かるな、などと想像してつい笑ってしまい、王子様に何を笑っているのか聞かれたので教えてあげたら
「くくっ、聖女アユミの家ではドレスが引っ掛かるのか。聖女アユミの国はドレスを着ないのか?」
と、聞かれた。
「着ませんねぇ。着るとしたら自分の結婚式くらいですね」
当然、予定など無い!
「なら、着てみるか。縫製部へ行こう」
「い、いえ! もったいないからいいです!」
「ああ、わざわざ作るのでは無い。お客のドレスが汚れたり破れた時に備えて用意してあるドレスがあるのだ。今日はドレスを着て夕食をとらないか?」
あ、『アルファパレス』でドレスに赤ワインを掛けられた時に登場するやつですね。
それなら喜んで、と付いて行く。
「予定を決めてなかった午後は、城の中を案内する事にしようと思うんだけど」
と、提案された。
「見たいです!」
大喜びで食いついた。
その手があった! これなら外に出なくても安全に異世界を堪能できるじゃん。楽しみ! 王子様いい奴!
ご機嫌で部屋に戻ったら、大神官様が神事の資料を抱えてやって来た。お勉強会が始まる。
「こちらが当日の祭壇です」
と、見せてくれた図解は、二年前のじいちゃんの葬式の祭壇と似てた。こういうのって異世界でも共通なのかな。
左側に5脚椅子が並び、
「こちらは王族三人と、護衛二人です。物々しくならないよう二人にしていますが、あらゆる所に騎士が控えていますから警備はご安心ください」
そして、右側に椅子が30脚。
「こちらは貴族席です」
元の世界と違うのは、椅子が祭壇に向かって置いてあるのではなく、ハの字というか、王族と貴族が向かい合って座るように置いてあるくらい。
椅子の並んだ奥が1メートルくらい高くなっていて、中央と左右に数段の階段がある。その上にお葬式の飾り付けのような装飾がされていて、真ん中にある椅子、元の世界ならお坊さんがいる所が私の場所。
「この、少し離れた左側の椅子に私が控えています」
「それなら心強いです!」
「次は式次第ですが」
幼い信徒たちが祭壇の前で聖歌(讃美歌の事だね)を歌って神事がスタート。貴族が入場して着席した後に王族が入場して着席すると、聖歌は終わり信徒たちが退場する。
そして、大神官様にエスコートされて聖女が入場。祭壇に上り椅子に座って祈りを捧げる。
祈りの方法は、
「亡くなった人たちよ安らかにあれ」
と、思うだけで、決まった祈りの言葉などは無いそうだ。
これは、神社仏閣教会お墓神棚お稲荷さんお地蔵さんで祈りまくる日本人は得意かも。
浄化されたら大神官様が合図するので、立ち上がって右手に置いてある一輪の花を手に取って祭壇に捧げて神事が終わる。
「花ですか」
「花にも決まりは無いのですが、希望の花はありますか?」
この世界にどんな花があるのか分からないので、お任せする事にした。
「後は、聖女の衣装ですね」
大神官様がドアに声を掛けると、待ち構えたように大きな箱を抱えた侍女と女性神官たちが部屋に雪崩れ込んできた。
ワンピースを着たまま試着、というか試巻きされる。光沢のある白い布だ。
インドのサリーみたいな、「ブルータスお前もか」の人みたいな、布をグルグル巻いて引っ掛ける形で、侍女たちも初めてだから試行錯誤してる。
「これは代々伝わる衣装なんですか?」
衣装と言うより布だな。
「いえ、今回のために用意しました」
何せ、聖女の体型が来るまで分からないので、布だけを用意して、言い伝えられている巻き付け方をするのだそうだ。まあ、召喚してからサイズを計って仕立てるより確実だよね。神事が終わったら布に戻せるし。
何とか終わって、届いた昼食を食べ終わった頃、王子様が城の案内にやって来た。
私と王子の前後にさりげなく護衛らしき人がついてる。
嬉々として歩いて行くが、城は入り組んでいて、すぐに方向感覚が無くなってどこを歩いているのか分からなくなった。
「分かりにくくてすみません」
「いえ、こうしないと敵が襲撃した時すぐに目的地へ行けて、城を制圧されてしまいますよね」
「聖女アユミはよくご存知ですね」
でも『アルファパレス』では大抵妾腹の第二王子とか王弟が敵に協力していて、あっさり王の元へ行けちゃうんだけどね……。この国にはそんな王子いないのかな。
歩きながら、「さすがはお城。廊下もドアも広~い!」などと思ってたら、ドレスを着ている人がいるから幅が必要なんだと気付いた。
もし我が家にレティシア様がやってきたら、廊下でドレスが引っ掛かるな、などと想像してつい笑ってしまい、王子様に何を笑っているのか聞かれたので教えてあげたら
「くくっ、聖女アユミの家ではドレスが引っ掛かるのか。聖女アユミの国はドレスを着ないのか?」
と、聞かれた。
「着ませんねぇ。着るとしたら自分の結婚式くらいですね」
当然、予定など無い!
「なら、着てみるか。縫製部へ行こう」
「い、いえ! もったいないからいいです!」
「ああ、わざわざ作るのでは無い。お客のドレスが汚れたり破れた時に備えて用意してあるドレスがあるのだ。今日はドレスを着て夕食をとらないか?」
あ、『アルファパレス』でドレスに赤ワインを掛けられた時に登場するやつですね。
それなら喜んで、と付いて行く。
210
あなたにおすすめの小説
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
いい子ちゃんなんて嫌いだわ
F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが
聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。
おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。
どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。
それが優しさだと思ったの?
婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる