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真実の愛を見つけたとおっしゃるので
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「レイチェル・レーモン! お前とは婚約破棄だ!」
貴族学院の昼休み。広い食堂に場違いな大声が響き渡る。
場違いな大声野郎に指さされた私は、口の中のサンドイッチを慌てて飲み込んだ。
「いきなり何を言ってるんですか? クリストファー様」
私はレイチェル・レーモン。男爵家の娘だ。薄茶色の髪と濃い茶色の瞳でチビ。「リスっぽい」と言われる。
「私はこのバーバラと真実の愛に目覚めた! お前とは結婚できない!」
場違い野郎は、婚約者のクリストファー・オークル子爵令息。彼に腕を絡めている胸の大きい人がバーバラさんかな?
食堂は広いが、おのずと身分で座る場所が決まっている。身分の高い人ほど奥の席に座り、私がいる出入り口付近にいる者は子爵・男爵か平民。当然のことながら、彼らの目が私たちに集中している。
私の意思を無視した茶番劇に、私はかなり不機嫌だ。
「……真実の愛って何ですか?」
「生まれる前に天で定められ、地で結ばれる至高の愛だ。いかなる障害もその愛を阻むことは出来ない」
「はあ……。まあそれなりに分かりました。どうぞ結ばれてください」
「なら今すぐ婚約破棄だな!」
「いえ、結婚は私が死んだ後ということで」
「は?」
「ですから、お二人が結婚するのはかまいませんが、私が死んだ後に再婚ということでよろしく」
「貴様……病を得てるのか?」
「いえ、あと50年くらいは生きる予定です」
クリストファー様はプルプル震えてる。怒ってますね。
「ふざけるな! 真実の愛だぞ!」
「真実の愛はどんな障害も乗り越えるんでしょ。50年くらい乗り越えられますよね? まさか、真実の愛なのに50年も待てないんですか?」
私だって怒ってるんだよ!
「レイチェル様! どうかクリストファー様を解放してあげて!」
と、バーバラさんが言うので
「バーバラ様! どうかクリストファー様を横取りしないで!」
と、哀れっぽい作り声で言ったら周りが吹き出して、ますますクリストファー様の機嫌が悪くなる。
もはや怒りと言うより殺気を出してるクリストファー様をにらみ返していると
「レイチェル、それくらいにしておきなさい」
と、後ろから声がかかった。振り返るまでも無い、この声は…
「アンドリュー様! クラウディア様!」
公爵令息と公爵令嬢の婚約者のお二人。わが校で最も身分の高いカップルだ。なぜか私はお二人に気に入られて、名前を呼ぶことを許されている。(「珍獣枠だ」と友人は言う)
あわてて椅子を立ち、お二人の元へ。
「ご機嫌麗しゅう! ああっ今日もお二人が麗しいです! 背後に『高貴』の文字が見えるっ!」
子供の頃夢見た王子様とお姫様が具現化したようなお二人は私の憧れだ。拝む勢いでご挨拶。
「レイチェル…。通常運転のようね。傷ついてるかと心配したわ」
「傷…? あ、お二人のお美しさについ忘れてました」
そうそう、婚約破棄の途中でした。呆れてるクリストファー様が目の端に見える。
「忘れるって事は、婚約を破棄してもいいのかな?」
アンドリュー様が笑いながら聞くので
「はい、全然かまいません。素直に『他に好きな人ができた』って言えばいいのに、『真実の愛だ』なんて言うからムカついただけです」
「まあ、レイチェルったら」
「私にもアンドリュー様のように一途な婚約者が欲しいです……」
「いくらでも紹介できるけど、レイチェルはレーモン家の総領娘よ。明日にでも婿入り希望者の釣り書きが山のように届くと思うわよ」
「どうでしょう……」
あ、クリストファー様が焦ってる。婚約破棄したら、卒業後行く場所が無いことにやっと気付いたな。
ニヤリと周りを見渡して声を張り上げる。
「私と婚約したい人!」
「「「「「「「 はい!! 」」」」」」」
周りの男子が一斉に手を上げる。皆さんノリがいい(笑)
自分の婚約者が手を上げてる女子も、クリストファー様への嫌がらせと分かってて笑ってる。皆もあいつにムカついてたのね。
クリストファー様がこっそり食堂から出ていくのを見送ってから
「ご協力ありがとうございました!」
と言うと、食堂は大盛り上がりだ。
「アンドリュー様もクラウディア様も、ありがとうございました」
「いいのよ、楽しかったわ」
「珍しい体験をしたよ」
奥の席に戻っていくお二人をうっとりと見送って、自分の席に戻り、友人たちとクリストファー様の悪口を言い合った。
帰ったら、お父様にクリストファー様が言った事を伝えなくては。決して言い返したとは言わずに。
次の日、まだクリストファーとの婚約が解消されないうちから次々と届く釣り書きに
「レイチェルは貴族学院で何をしたのだ…?」
と、父は頭を抱えてた。
貴族学院の昼休み。広い食堂に場違いな大声が響き渡る。
場違いな大声野郎に指さされた私は、口の中のサンドイッチを慌てて飲み込んだ。
「いきなり何を言ってるんですか? クリストファー様」
私はレイチェル・レーモン。男爵家の娘だ。薄茶色の髪と濃い茶色の瞳でチビ。「リスっぽい」と言われる。
「私はこのバーバラと真実の愛に目覚めた! お前とは結婚できない!」
場違い野郎は、婚約者のクリストファー・オークル子爵令息。彼に腕を絡めている胸の大きい人がバーバラさんかな?
食堂は広いが、おのずと身分で座る場所が決まっている。身分の高い人ほど奥の席に座り、私がいる出入り口付近にいる者は子爵・男爵か平民。当然のことながら、彼らの目が私たちに集中している。
私の意思を無視した茶番劇に、私はかなり不機嫌だ。
「……真実の愛って何ですか?」
「生まれる前に天で定められ、地で結ばれる至高の愛だ。いかなる障害もその愛を阻むことは出来ない」
「はあ……。まあそれなりに分かりました。どうぞ結ばれてください」
「なら今すぐ婚約破棄だな!」
「いえ、結婚は私が死んだ後ということで」
「は?」
「ですから、お二人が結婚するのはかまいませんが、私が死んだ後に再婚ということでよろしく」
「貴様……病を得てるのか?」
「いえ、あと50年くらいは生きる予定です」
クリストファー様はプルプル震えてる。怒ってますね。
「ふざけるな! 真実の愛だぞ!」
「真実の愛はどんな障害も乗り越えるんでしょ。50年くらい乗り越えられますよね? まさか、真実の愛なのに50年も待てないんですか?」
私だって怒ってるんだよ!
「レイチェル様! どうかクリストファー様を解放してあげて!」
と、バーバラさんが言うので
「バーバラ様! どうかクリストファー様を横取りしないで!」
と、哀れっぽい作り声で言ったら周りが吹き出して、ますますクリストファー様の機嫌が悪くなる。
もはや怒りと言うより殺気を出してるクリストファー様をにらみ返していると
「レイチェル、それくらいにしておきなさい」
と、後ろから声がかかった。振り返るまでも無い、この声は…
「アンドリュー様! クラウディア様!」
公爵令息と公爵令嬢の婚約者のお二人。わが校で最も身分の高いカップルだ。なぜか私はお二人に気に入られて、名前を呼ぶことを許されている。(「珍獣枠だ」と友人は言う)
あわてて椅子を立ち、お二人の元へ。
「ご機嫌麗しゅう! ああっ今日もお二人が麗しいです! 背後に『高貴』の文字が見えるっ!」
子供の頃夢見た王子様とお姫様が具現化したようなお二人は私の憧れだ。拝む勢いでご挨拶。
「レイチェル…。通常運転のようね。傷ついてるかと心配したわ」
「傷…? あ、お二人のお美しさについ忘れてました」
そうそう、婚約破棄の途中でした。呆れてるクリストファー様が目の端に見える。
「忘れるって事は、婚約を破棄してもいいのかな?」
アンドリュー様が笑いながら聞くので
「はい、全然かまいません。素直に『他に好きな人ができた』って言えばいいのに、『真実の愛だ』なんて言うからムカついただけです」
「まあ、レイチェルったら」
「私にもアンドリュー様のように一途な婚約者が欲しいです……」
「いくらでも紹介できるけど、レイチェルはレーモン家の総領娘よ。明日にでも婿入り希望者の釣り書きが山のように届くと思うわよ」
「どうでしょう……」
あ、クリストファー様が焦ってる。婚約破棄したら、卒業後行く場所が無いことにやっと気付いたな。
ニヤリと周りを見渡して声を張り上げる。
「私と婚約したい人!」
「「「「「「「 はい!! 」」」」」」」
周りの男子が一斉に手を上げる。皆さんノリがいい(笑)
自分の婚約者が手を上げてる女子も、クリストファー様への嫌がらせと分かってて笑ってる。皆もあいつにムカついてたのね。
クリストファー様がこっそり食堂から出ていくのを見送ってから
「ご協力ありがとうございました!」
と言うと、食堂は大盛り上がりだ。
「アンドリュー様もクラウディア様も、ありがとうございました」
「いいのよ、楽しかったわ」
「珍しい体験をしたよ」
奥の席に戻っていくお二人をうっとりと見送って、自分の席に戻り、友人たちとクリストファー様の悪口を言い合った。
帰ったら、お父様にクリストファー様が言った事を伝えなくては。決して言い返したとは言わずに。
次の日、まだクリストファーとの婚約が解消されないうちから次々と届く釣り書きに
「レイチェルは貴族学院で何をしたのだ…?」
と、父は頭を抱えてた。
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