1 / 3
前編
しおりを挟む
「アルテミス・ダークムーン! お前とは今日で婚約破棄だ!」
卒業パーティでガイア王子が私の名を呼びました。断罪シーンの始まりです。私はガイア王子の前へ足を運びます。
ガイア王子の腕に絡みつくのは、魔力の多さから学園の奨学生になった平民のサンディ。
勝ち誇った視線を私に投げかけますが、薔薇無し・BGM無し・エフェクト無しって、歴代サンディで最も地味な婚約破棄シーンですわ。あなた、本当にガイア王子の好感度を上げる以外なんにもしてなかったんですのね…。
こちらを窺う周りの人たちも、あなたたちに興味無さそうですわよ。ヒロインがそれでいいんですの?
「婚約破棄の理由をお聞かせください」
「お前が私の婚約者の座に胡坐をかいて、いたいけなサンディをいじめたからだ!」
もう何十回目かのやりとり。
そう、私は数えきれないほど学園の入学式から卒業パーティまでの時間を繰り返している。私が何かをしてもしなくても、ガイア王子はサンディを好きになり、私がいじめてもいじめなくても、卒業パーティで婚約破棄される。
やっと卒業パーティまで来たと思えば、また入学式になって新しいサンディが現れる。
周りの誰にも理解されず、絶望する事にすら疲れた頃、当時のサンディが私が記憶を持ったまま人生を繰り返している事に気付いて、この世界について教えてくれました。
ここは「太陽の乙女は約束の地でキスをする」というハレンチな題名の乙女ゲームの世界で、サンディはヒロイン、アルテミスは悪役令嬢なのだと。
『ここはね、このゲームが好きだった人の、最後の夢なのよ!』
『夢?』
『そう! 病院のベッドでスマホ越しにしかお目にかかれなかった推しのガイア王子とリアルに触れ合えて、ガチで話せて、マジで恋愛できるんだよ! きっとゲームの神様からのプレゼントだよ!』
分からない単語が飛び交ってますが、かなり嬉しいのですね。
『アルテミスはつらいだろうけど、私たちには最初で最後の最っっ高の夢なの! どうか立派な悪役令嬢であって』
そう言われたら、腹を括って悪役令嬢するしかないではないですか。
そう決心してからどれくらいの時がたったのでしょう。私は、たくさんのサンディに満足いくエンディングを提供できたと自負しております。
「私はいじめたりなどしていませんわ」
だけど、今回のサンディにだけは私は何もしてませんの。ガイア王子にお似合いのサンディなら、ちゃんと自分の役目を果たすのですが(階段から突き落としても膝を擦りむくだけですものね。さすがはヒロイン)、今回のサンディは魔法を使う練習もせず、当然その魔法で人を救う事も無く、学業もほっぽり出してガイア王子と遊び歩き、ガイア王子の威を借りて身分の低い生徒たちに嫌がらせ。
そんな人をいじめるなんて、悪役令嬢の矜持が許しませんわ。私にいじめられたかったら、私が認めるだけのサンディと成りなさいませ。
ガイア王子は、どんなサンディでも好きになるみたいですけど。(「強制力」と言うそうです)
卒業パーティでガイア王子が私の名を呼びました。断罪シーンの始まりです。私はガイア王子の前へ足を運びます。
ガイア王子の腕に絡みつくのは、魔力の多さから学園の奨学生になった平民のサンディ。
勝ち誇った視線を私に投げかけますが、薔薇無し・BGM無し・エフェクト無しって、歴代サンディで最も地味な婚約破棄シーンですわ。あなた、本当にガイア王子の好感度を上げる以外なんにもしてなかったんですのね…。
こちらを窺う周りの人たちも、あなたたちに興味無さそうですわよ。ヒロインがそれでいいんですの?
「婚約破棄の理由をお聞かせください」
「お前が私の婚約者の座に胡坐をかいて、いたいけなサンディをいじめたからだ!」
もう何十回目かのやりとり。
そう、私は数えきれないほど学園の入学式から卒業パーティまでの時間を繰り返している。私が何かをしてもしなくても、ガイア王子はサンディを好きになり、私がいじめてもいじめなくても、卒業パーティで婚約破棄される。
やっと卒業パーティまで来たと思えば、また入学式になって新しいサンディが現れる。
周りの誰にも理解されず、絶望する事にすら疲れた頃、当時のサンディが私が記憶を持ったまま人生を繰り返している事に気付いて、この世界について教えてくれました。
ここは「太陽の乙女は約束の地でキスをする」というハレンチな題名の乙女ゲームの世界で、サンディはヒロイン、アルテミスは悪役令嬢なのだと。
『ここはね、このゲームが好きだった人の、最後の夢なのよ!』
『夢?』
『そう! 病院のベッドでスマホ越しにしかお目にかかれなかった推しのガイア王子とリアルに触れ合えて、ガチで話せて、マジで恋愛できるんだよ! きっとゲームの神様からのプレゼントだよ!』
分からない単語が飛び交ってますが、かなり嬉しいのですね。
『アルテミスはつらいだろうけど、私たちには最初で最後の最っっ高の夢なの! どうか立派な悪役令嬢であって』
そう言われたら、腹を括って悪役令嬢するしかないではないですか。
そう決心してからどれくらいの時がたったのでしょう。私は、たくさんのサンディに満足いくエンディングを提供できたと自負しております。
「私はいじめたりなどしていませんわ」
だけど、今回のサンディにだけは私は何もしてませんの。ガイア王子にお似合いのサンディなら、ちゃんと自分の役目を果たすのですが(階段から突き落としても膝を擦りむくだけですものね。さすがはヒロイン)、今回のサンディは魔法を使う練習もせず、当然その魔法で人を救う事も無く、学業もほっぽり出してガイア王子と遊び歩き、ガイア王子の威を借りて身分の低い生徒たちに嫌がらせ。
そんな人をいじめるなんて、悪役令嬢の矜持が許しませんわ。私にいじめられたかったら、私が認めるだけのサンディと成りなさいませ。
ガイア王子は、どんなサンディでも好きになるみたいですけど。(「強制力」と言うそうです)
301
あなたにおすすめの小説
転生者だからって無条件に幸せになれると思うな。巻き込まれるこっちは迷惑なんだ、他所でやれ!!
柊
ファンタジー
「ソフィア・グラビーナ!」
卒業パーティの最中、突如響き渡る声に周りは騒めいた。
よくある断罪劇が始まる……筈が。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる