使い捨て聖女の反乱

あんど もあ

文字の大きさ
3 / 3

後編

しおりを挟む
 それから少しだけ経った頃、私は中央神殿の同僚の親戚の嫁ぎ先の田舎の大きな農家で使用人として働いていた。
 こちらのお宅には「お客扱いにしたい」と言われたのだが、もし陛下が私を探してたら「お客」より「住人」の方が目を引かないと思って働かせてくれるよう頼んだのだ。

 陛下が私に「出ていけ」と言ったんだからどこにいても問題無いはずだけど、自分が言ったことに責任を取らないのがあの人たちだからなぁ…。

 私は、「家が貧乏なので教会に預けられたが、年頃になったので還俗げんぞくした遠縁の娘」と周りに紹介してもらった。
 実家には「安全な場所にいる」とだけ伝えてある。

 そんなわけで農業にいそしむ日々になったのだが、元々聖女も力仕事みたいなものだから、くわを振って畑を耕すのも、収穫物を担いで行って川で洗うのも、中腰での草むしりも、しんどいけれど楽しくやっている。

 最近、周りの子供たちが「いじわるな王様」の歌を歌ってる。王都では今ごろ第二弾の♪十二人の貴族神官いつになったら浄化できるの? あれあれおやおやどうしたの~?、が流行しているだろう。ちなみに本当は八人しかいないのだが、嘘・大げさ・紛らわしいで水増ししておいた。十二人分の仕事を期待されやがれ。



 今日、一日遅れで届く王都新聞に、国王が「なかなか城の浄化が進まないが、隣国が神官を派遣してくれる事になったのでもう安心だ!」と発表したと書いてあるのを読んだ。本気で隣国が神官だけを派遣すると思ってるのだとしたら、おめでたい人だ……。

 「浄化」と言って自称神官たちが城に入れば、簡単に城を占拠できてしまうと思いつかないの?

「王都に戻るかい?」
と、屋敷の旦那さんに聞かれたが、もうしばらく置いてくれるようにお願いした。
 今、「国王に虐待された聖女」が王都に現れれば反王家の運動に勢いが増すのは分かっているが、どっちみち王家の先は短かそうだし。


 何より、私はここで学ばなくてはならない事がある……それは、恋愛スキル!

 私の恋愛スキルが地の底レベルだと気付いたのは、他の使用人たちと話している時に
「そういえば、この屋敷ってお客が多いですね」
と何気なく言った事からだった。

「はあ? 皆あなた目当てで来てるのに気付いてなかったの? 若くて可愛くて働き者で教会育ちだからスレてない女の子が来たって、近郷近在に知れ渡ってるのよ」
 わ、私目当て?! ってか何ですかその評判!

「道理でアプローチされてもかわしてると思った」
 いつどこでアプローチされてたんですか私?!

「容赦なくフラグを折ってるな~と思ってたよ」
 お、折っちゃってたんですか?! フラグが何か分からないけどもったいない!



 師匠と仰ぐ先輩たちの指導の元、私が素敵なダーリンをゲットするための修行が始まった。

 私の恋愛スキル向上の道は始まったばかりだ!
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は手加減無しに復讐する

田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。 理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。 婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

愚か者の話をしよう

鈴宮(すずみや)
恋愛
 シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。  そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。  けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?

常識的に考えて

章槻雅希
ファンタジー
アッヘンヴァル王国に聖女が現れた。王国の第一王子とその側近は彼女の世話係に選ばれた。女神教正教会の依頼を国王が了承したためだ。 しかし、これに第一王女が異を唱えた。なぜ未婚の少女の世話係を同年代の異性が行うのかと。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿、自サイトにも掲載。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

やり直し令嬢は何もしない

黒姫
恋愛
逆行転生した令嬢が何もしない事で自分と妹を死の運命から救う話

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

黒の聖女、白の聖女に復讐したい

夜桜
恋愛
婚約破棄だ。 その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。 黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。 だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。 だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。 ※イラストは登場人物の『アインス』です

処理中です...