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中編
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…てな事を思いつつ東の町も浄化終了。国王陛下に謁見に呼ばれた。
ズラッと並ぶたくさんの貴族たちに、これから陛下の言う事が想像できてしまう。
「聖女アネット。この度の浄化は誠に大儀であった」
「恐れ入ります」
「これで無事すべての浄化が終了したので、アネットを聖女の任から外す事とする。従って、王子との婚約も解消。アネットは聖女として受け取った物を全て返却して王都を去るがいい」
当然の事だと頷いている周りの貴族たち。
…ふう、やっぱりね。
瘴気がヤバくなると、王家が聖女を王子の婚約者にして「王子の婚約者にしてやったんだから国のために働け」ってこき使って使い潰して捨てる、ってのは平民には有名な話だ。
まあ、だから予め準備できたんだけど。
「畏まりました」
私は両手を肩の高さに上げる。やがて手のひらから黒い霧があふれてきた。
何の曲芸を始めたんだ?と思って見ていた貴族たちだが、その中の一人が叫んだ。
「瘴気だ!!」
一口に神力と言っても、瘴気の払い方は人によって違う。細かく砕いて消滅させる人や、高く高く打ち上げる人。私は、瘴気を自分に吸収し溶かすタイプだ。
だが、積み重なるストレスのせいで中々体内の瘴気が消えなくなり、ふと「なら、外に出せない?」と思いついてやってみたら、出来ちゃった。
これを使って、いずれ追放される時に王族にやり返せないかと皆で知恵を出し合って考えたのが、今回の計画だ。自分に瘴気を溜めるためだと思えば、きつい浄化の遠征も耐えられた。
ざわめきと恐怖が広間に広がる。
「お前はっ! なっ、何をしている!」
「陛下が『全て返せ』とおっしゃるので、瘴気をお返ししております」
言っている間にも霧はどんどん広間の床に溜まっていく。
「それでは御前失礼いたします」
両手が使えないのでスカートを持ち上げられず、頭を下げるだけで陛下の前から去る。私が近付くと、皆が笑えるくらい離れて行く。私を止めなくていいのか?
広間を出て左に進むと、皆が一斉に右に逃げていくのが見えた。
あらあら、誰もいなくなっては帰り道が分かりませんわねぇ(棒)
トコトコと無人の城の奥に奥に進み、立派な扉の部屋を選んでは中に入って瘴気を振りまき、ちゃんと扉を閉めて去るというのを繰り返す。
これで、ほとぼりが冷めて戻って来ても部屋を開けるのはロシアンルーレット状態。王族・貴族に扉を開けて確認する勇気は無いでしょう。平民に押し付けたくても、下賤な平民は王宮に入れませんので知った事じゃありません~。
こうなったら、神力のある貴族神官に頑張ってもらいましょう。あ、実家が貴族だけど真面目に働く神官の方たちは、既に離籍済みで平民になってるんで当てになさらないでね~。
城門まで来ると、門前町の人たちまで避難したようで人っ子一人いない。そりゃ、王族貴族騎士に使用人までが揃って城から逃げ出したらそうなるわ…。騒がせてごめんね。
城門の門番用の控室で聖女の法衣を脱ぎ、下に着こんでいたワンピース姿になって外に出て、ポケットに入れておいた蝋石で城の茶色い塀に目いっぱい大きく書き込む。
いじわるな王様は言いました
聖女よおまえは今日でクビ
もらった物をひとつ残らず返して
さっさとここを出て行けと
やさしい聖女は泣きました
やっと浄化できたのに
命令ならばお返しせねばなりません
瘴気をひとつも残さずに
う~ん、あらかじめ用意していた詩とは思えないくらい事実と合ってる。陛下のやる事が予想通りすぎたものね。
本当は「やさしい聖女」より、「うつくしい聖女」とか「うるわしい聖女」を押したのだけど、却下された。「誇大広告になる」って何だ。
城に最初に戻ってくるのは、きっとネタを探している吟遊詩人か王都新聞の記者。これを見たら、何があったのか一目瞭然だろう。
私は歩き出した。
ズラッと並ぶたくさんの貴族たちに、これから陛下の言う事が想像できてしまう。
「聖女アネット。この度の浄化は誠に大儀であった」
「恐れ入ります」
「これで無事すべての浄化が終了したので、アネットを聖女の任から外す事とする。従って、王子との婚約も解消。アネットは聖女として受け取った物を全て返却して王都を去るがいい」
当然の事だと頷いている周りの貴族たち。
…ふう、やっぱりね。
瘴気がヤバくなると、王家が聖女を王子の婚約者にして「王子の婚約者にしてやったんだから国のために働け」ってこき使って使い潰して捨てる、ってのは平民には有名な話だ。
まあ、だから予め準備できたんだけど。
「畏まりました」
私は両手を肩の高さに上げる。やがて手のひらから黒い霧があふれてきた。
何の曲芸を始めたんだ?と思って見ていた貴族たちだが、その中の一人が叫んだ。
「瘴気だ!!」
一口に神力と言っても、瘴気の払い方は人によって違う。細かく砕いて消滅させる人や、高く高く打ち上げる人。私は、瘴気を自分に吸収し溶かすタイプだ。
だが、積み重なるストレスのせいで中々体内の瘴気が消えなくなり、ふと「なら、外に出せない?」と思いついてやってみたら、出来ちゃった。
これを使って、いずれ追放される時に王族にやり返せないかと皆で知恵を出し合って考えたのが、今回の計画だ。自分に瘴気を溜めるためだと思えば、きつい浄化の遠征も耐えられた。
ざわめきと恐怖が広間に広がる。
「お前はっ! なっ、何をしている!」
「陛下が『全て返せ』とおっしゃるので、瘴気をお返ししております」
言っている間にも霧はどんどん広間の床に溜まっていく。
「それでは御前失礼いたします」
両手が使えないのでスカートを持ち上げられず、頭を下げるだけで陛下の前から去る。私が近付くと、皆が笑えるくらい離れて行く。私を止めなくていいのか?
広間を出て左に進むと、皆が一斉に右に逃げていくのが見えた。
あらあら、誰もいなくなっては帰り道が分かりませんわねぇ(棒)
トコトコと無人の城の奥に奥に進み、立派な扉の部屋を選んでは中に入って瘴気を振りまき、ちゃんと扉を閉めて去るというのを繰り返す。
これで、ほとぼりが冷めて戻って来ても部屋を開けるのはロシアンルーレット状態。王族・貴族に扉を開けて確認する勇気は無いでしょう。平民に押し付けたくても、下賤な平民は王宮に入れませんので知った事じゃありません~。
こうなったら、神力のある貴族神官に頑張ってもらいましょう。あ、実家が貴族だけど真面目に働く神官の方たちは、既に離籍済みで平民になってるんで当てになさらないでね~。
城門まで来ると、門前町の人たちまで避難したようで人っ子一人いない。そりゃ、王族貴族騎士に使用人までが揃って城から逃げ出したらそうなるわ…。騒がせてごめんね。
城門の門番用の控室で聖女の法衣を脱ぎ、下に着こんでいたワンピース姿になって外に出て、ポケットに入れておいた蝋石で城の茶色い塀に目いっぱい大きく書き込む。
いじわるな王様は言いました
聖女よおまえは今日でクビ
もらった物をひとつ残らず返して
さっさとここを出て行けと
やさしい聖女は泣きました
やっと浄化できたのに
命令ならばお返しせねばなりません
瘴気をひとつも残さずに
う~ん、あらかじめ用意していた詩とは思えないくらい事実と合ってる。陛下のやる事が予想通りすぎたものね。
本当は「やさしい聖女」より、「うつくしい聖女」とか「うるわしい聖女」を押したのだけど、却下された。「誇大広告になる」って何だ。
城に最初に戻ってくるのは、きっとネタを探している吟遊詩人か王都新聞の記者。これを見たら、何があったのか一目瞭然だろう。
私は歩き出した。
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