86 / 233
85:来襲
しおりを挟む
竜騎士団支部団長室___
「へぇ、獣人の二人組がねぇ・・・」
「はい、閣下に拝顔したいと願い出ておりますが、いかがいたしましょうか?」
「なるほどねぇ、ふふ、直接乗り込んで来るとはね。」
ユージィンは面白そうに口角を上げていた。だが目は笑ってはいない。
「え?」
ユージィンの呟きがよく聞こえなかったので、部下の竜騎士は聞きなおそうとしたが、ユージィンは、別に聞いてもらいたい訳ではなかった。それよりも堂々と乗り込んできた、例の獣人の女と『竜の祖』の対面をある意味楽しみにしていた。
「いいよ、お通しして。」
「はっ!」
部下の竜騎士は、退室した。それを見届けてから、ユージィンはライモンドに声をかけた。
「ライモンド、すまないがイシュタルを厩舎から呼んで来てくれないかな?」
「え?ですが・・いいのですか?」
ライモンドはユージィンが仕事中でイールの事をイシュタルと呼ぶことがなかったことから、人化したイシュタルをここ(団長室)に連れて来いっていってることを瞬時に理解した。ただ理解はしたが、本当にいいだろうかと、心配になったのだ。何せ今までここ、竜騎士団支部で少なくとも公にはイシュタルは人化したことはなかったからだ。
「あぁ、構わない。」
それにユージィンはわかっていた。敏い彼女の事だから、もう準備はしているだろうと。
「わ、わかりました。呼んできます。」
ライモンドは慌てて、イシュタルを呼びに行った。
「ふふ、感動の姉弟のご対面だね。どうなることやら・・・」
ユージィンは、面白そうにはしていたが、やはり目は笑ってはいなかった。
竜の厩舎___
『!』
『わかったようね。』
イールは、近くにダンフィールが来ていることを察知していた。
『あぁ、直ぐ傍に来ているな。』
カイエルも同じく気配を感じていた。
『じゃ、私はちょっと行ってくるわね。』
『え?』
イールはそういうと、途端にイシュタルに人化した。
『会いに行くのか?』
「えぇ、久しぶりのご対面よ?それにダンフィールの番(つがい)にも興味あるじゃない?カイエルも来ない?」
『ふーん、俺はいいや。』
カイエルは即答だった。
「あら。つれないのね?」
『兄貴の番(つがい)なんざ俺、興味ねぇもん。それに兄貴とは会う必要性があれば、必然とそうなる、違うか?』
「ふふ、その通りよ。」
『姉貴、わかってると思うが、気をつけろよ?』
カイエルも何かを感じていた。そしてそれがあまりよくないモノだということも。
「ありがと、お気遣い痛み入るわ。あら、お迎えが来たみたい。行ってくるわね。」
『あぁ。』
イシュタルは『認識阻害』の魔法を自分が先程までいた場所にかけていった。この魔法によって、イールがいなくでも、イールを気にするという事がなくなるので、いなくても騒ぎにならないのだ。カイエルはライモンドに連れられていく姉を見送ったが、先程はあぁは言ったものの、あまりよくないモノも感じ取っていたことから考えを巡らせていた。(率先して会うつもりはねぇが・・・セレスティアに関わることになるのなら、話は別か・・・)
再び、竜騎士団支部団長室__
「はじめまして、団長さん♪私は獣人の、豹族。ディアナ・アンテスって言うの。以後お見知りおきしてね♪」
猫耳、もとい豹の耳をもった獣人の女は、上目遣いでユージィンを見ていた。ユージィンは猫耳と聞いてはいたが、実際は豹だったのだなと、認識を改めた。
「俺は、もうわかってはいると思うが、『竜の祖』ダンフィールだ。お前がイシュタルの番だな。」
男は報告にあったように、褐色の肌のダークブロンドの短髪に緑色の目を持つ、容姿の整った偉丈夫であった。
「これはどうも。僕は竜騎士団団長、ユージィン・ローエングリンと言います。イシュタルの弟さんですね。初めまして。」
ユージィンはにっこりと社交辞令でお迎えしたのであった。
「へぇ、獣人の二人組がねぇ・・・」
「はい、閣下に拝顔したいと願い出ておりますが、いかがいたしましょうか?」
「なるほどねぇ、ふふ、直接乗り込んで来るとはね。」
ユージィンは面白そうに口角を上げていた。だが目は笑ってはいない。
「え?」
ユージィンの呟きがよく聞こえなかったので、部下の竜騎士は聞きなおそうとしたが、ユージィンは、別に聞いてもらいたい訳ではなかった。それよりも堂々と乗り込んできた、例の獣人の女と『竜の祖』の対面をある意味楽しみにしていた。
「いいよ、お通しして。」
「はっ!」
部下の竜騎士は、退室した。それを見届けてから、ユージィンはライモンドに声をかけた。
「ライモンド、すまないがイシュタルを厩舎から呼んで来てくれないかな?」
「え?ですが・・いいのですか?」
ライモンドはユージィンが仕事中でイールの事をイシュタルと呼ぶことがなかったことから、人化したイシュタルをここ(団長室)に連れて来いっていってることを瞬時に理解した。ただ理解はしたが、本当にいいだろうかと、心配になったのだ。何せ今までここ、竜騎士団支部で少なくとも公にはイシュタルは人化したことはなかったからだ。
「あぁ、構わない。」
それにユージィンはわかっていた。敏い彼女の事だから、もう準備はしているだろうと。
「わ、わかりました。呼んできます。」
ライモンドは慌てて、イシュタルを呼びに行った。
「ふふ、感動の姉弟のご対面だね。どうなることやら・・・」
ユージィンは、面白そうにはしていたが、やはり目は笑ってはいなかった。
竜の厩舎___
『!』
『わかったようね。』
イールは、近くにダンフィールが来ていることを察知していた。
『あぁ、直ぐ傍に来ているな。』
カイエルも同じく気配を感じていた。
『じゃ、私はちょっと行ってくるわね。』
『え?』
イールはそういうと、途端にイシュタルに人化した。
『会いに行くのか?』
「えぇ、久しぶりのご対面よ?それにダンフィールの番(つがい)にも興味あるじゃない?カイエルも来ない?」
『ふーん、俺はいいや。』
カイエルは即答だった。
「あら。つれないのね?」
『兄貴の番(つがい)なんざ俺、興味ねぇもん。それに兄貴とは会う必要性があれば、必然とそうなる、違うか?』
「ふふ、その通りよ。」
『姉貴、わかってると思うが、気をつけろよ?』
カイエルも何かを感じていた。そしてそれがあまりよくないモノだということも。
「ありがと、お気遣い痛み入るわ。あら、お迎えが来たみたい。行ってくるわね。」
『あぁ。』
イシュタルは『認識阻害』の魔法を自分が先程までいた場所にかけていった。この魔法によって、イールがいなくでも、イールを気にするという事がなくなるので、いなくても騒ぎにならないのだ。カイエルはライモンドに連れられていく姉を見送ったが、先程はあぁは言ったものの、あまりよくないモノも感じ取っていたことから考えを巡らせていた。(率先して会うつもりはねぇが・・・セレスティアに関わることになるのなら、話は別か・・・)
再び、竜騎士団支部団長室__
「はじめまして、団長さん♪私は獣人の、豹族。ディアナ・アンテスって言うの。以後お見知りおきしてね♪」
猫耳、もとい豹の耳をもった獣人の女は、上目遣いでユージィンを見ていた。ユージィンは猫耳と聞いてはいたが、実際は豹だったのだなと、認識を改めた。
「俺は、もうわかってはいると思うが、『竜の祖』ダンフィールだ。お前がイシュタルの番だな。」
男は報告にあったように、褐色の肌のダークブロンドの短髪に緑色の目を持つ、容姿の整った偉丈夫であった。
「これはどうも。僕は竜騎士団団長、ユージィン・ローエングリンと言います。イシュタルの弟さんですね。初めまして。」
ユージィンはにっこりと社交辞令でお迎えしたのであった。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる