85 / 233
84:相談事というよりは、報告でした。
しおりを挟む
「で、セレスはどうするんだい?」
「私は、物件が決まり次第、宿舎を出ようと考えています。ただ・・・」
「ただ?」
「カイエルには悪いですが、条件を付けさせてもらっています。」
「条件?」
そこへ、カイエルとアンティエルもテラスへ入ってきた。アンティエルは人数分のカップを持ち、紅茶をカイエルが持ってきた。というよりは手伝わされたようだ。
「お茶のお代わりを持ってきたのじゃ。固い話は後にして、妾の作ったケーキの感想を聞かせてほしいのぉ。」
アンティエルの言葉により一同はまずはアンティエルお手製のケーキをいただくことになった。
「美味しい!」
セレスティアは一口食べて本当に驚いていた。話には聞いていたが、アンティエルお手製のケーキがお店に売っているものと謙遜ないほどの出来栄えであったからだ。
「アンティエルさん、お店できるくらい美味しいです!」
感情があまり顔にでないセレスティアもケーキが美味しいことで、ジーンと舌鼓を打っていた。他の者も口々に美味しい美味しいと言いながら、ケーキにパク付いていた。
「そこまで褒めてもらるとこそばゆいのぉ。」
アンティエルも美味しいと言ってもらえたことで、まんざらでもない様子であった。
「そういえば、アンティエルさんはお城には行かないのですが?正直なところ、アンティエルさんが家事をするのが意外だったもので。」
セレスティアは前から思っていた疑問を口にした。アンティエルはフェルディナント王子の番であるし、王もそのことは既に承知のことから、てっきり王宮で生活するものと思っていたからだ。
「うーむ、あっちは面倒でのぉ。」
「というと?」
「あちらに行けば、致せり尽くせりなのじゃが、そうすると暇でのぉ。こちらではジェシー殿がいろいろと家事を教えてくれるから、やることも覚えることもたくさんあって、こちらの方が楽しいのじゃ!」
と、今は幼い姿になっているアンティエルはどや顔で言った。
「あーそれは何となくわかりますね。」
セレスティアも理由を聞いて、納得したようであった。本来、王子の伴侶となれば公務もあるだろうが、いかせんアンティエルは『竜の祖』である竜である。国の政に関与することはしないと明言していることから、公務を行うことはない。となると、することがないのである。
「妾の番も、何度が手料理を振舞ったが、大層喜んでくれてな、妾も満足じゃ。」
アンティエルの嬉しそうな様子に、フェルディナント王子との付き合いが良好である様子が伺えた。
「で、セレス、先程の続きだけど、条件っていうのはどういうことだい?」
皆、ケーキも完食し終えたタイミングでユージィンは続きを促した。
「あぁ、それなんですけど、カイエルには5年の間は、ただの同居人でいてもらうようにお願いをしました。」
「同居人?」
ユージィンもイシュタルも怪訝な顔をした。
「はい、やはり規則のことも気にはなっていますが、けじめとしてその間は友人というか、同居人でいてもらうおうと思ったのです。それに・・・」
セレスティアはカイエルをチラリとみたが、カイエルは優しい眼差しを向け、セレスティアに向けて頷いた。
「私が番であることはわかっていますが、まだ私は受け入れきれていません。カイエルはそれも承知してくれて、焦らなくていいと、ゆっくりでいいと言ってくれたんです。」
セレスティアは自身が番であることはわかったが、それですぐにカイエルを受け入れらえるかというのは、別問題であったのだ。カイエルもそれについては理解をしていたので、無理強いはしたくなかったし、竜騎士の規則の5年縛りもあることから、その間で自分がセレスティアに積極的にアプローチをすればいいと納得したのだ。
「なるほどね。結論として、セレスは物件が見つかり次第寄宿舎は出るし、ハインツは5年後に寄宿舎を出るってことだね。ただし二人とも、恋人同士の件は・・・まぁセレスは気持ちの整理がついてからだけど、規則通り5年後と言うことでいいんだね?」
「「はい。」」
セレスティアもハインツも、話し合っていくら『竜の祖』の番であっても、規則は守ろうということになったのだ。
「しかし、バレなきゃって思うけど、君たちは真面目なんだねぇ。」
ユージィンが元も子もないことを言ってしまった為、セレスティアとハインツは大慌てで、抗議した。
「お、叔父様!それは団長として、言ちゃダメな奴!」
「団長・・・まさかそんなことを言う人だったなんて・・・」
「ふふ、あらユージィンはこういう人よ?腹黒いところが魅力的なのよ?」
「まーだけど、そんな真面目な部下を持った僕は幸せ者だよ、ね?」
イシュタルは、ユージィンにもたれ掛かかり、ユージィンもイシュタルの腰に手を回して、二人は見つめ合っていた。
「腹黒いのぉ・・・それで済めばいいんじゃがのう。」
と、アンティエルはジト目でユージィンとイシュタルを見たが、ラーファイルは
「とにかく、解決したんだったら、それでいいんじゃない?夕飯も食べていくでしょ?夕飯は僕頑張るから食べて行ってね!」
こうして、和気あいあいとした雰囲気の中、セレスティアとハインツは今後の方向性が見えたのであった。
これで一旦は、落ち着いた形になったことで、ユージィンは近々来るであろう火種に、こちらの地盤がある程度固まったことに少し安堵していた。
「私は、物件が決まり次第、宿舎を出ようと考えています。ただ・・・」
「ただ?」
「カイエルには悪いですが、条件を付けさせてもらっています。」
「条件?」
そこへ、カイエルとアンティエルもテラスへ入ってきた。アンティエルは人数分のカップを持ち、紅茶をカイエルが持ってきた。というよりは手伝わされたようだ。
「お茶のお代わりを持ってきたのじゃ。固い話は後にして、妾の作ったケーキの感想を聞かせてほしいのぉ。」
アンティエルの言葉により一同はまずはアンティエルお手製のケーキをいただくことになった。
「美味しい!」
セレスティアは一口食べて本当に驚いていた。話には聞いていたが、アンティエルお手製のケーキがお店に売っているものと謙遜ないほどの出来栄えであったからだ。
「アンティエルさん、お店できるくらい美味しいです!」
感情があまり顔にでないセレスティアもケーキが美味しいことで、ジーンと舌鼓を打っていた。他の者も口々に美味しい美味しいと言いながら、ケーキにパク付いていた。
「そこまで褒めてもらるとこそばゆいのぉ。」
アンティエルも美味しいと言ってもらえたことで、まんざらでもない様子であった。
「そういえば、アンティエルさんはお城には行かないのですが?正直なところ、アンティエルさんが家事をするのが意外だったもので。」
セレスティアは前から思っていた疑問を口にした。アンティエルはフェルディナント王子の番であるし、王もそのことは既に承知のことから、てっきり王宮で生活するものと思っていたからだ。
「うーむ、あっちは面倒でのぉ。」
「というと?」
「あちらに行けば、致せり尽くせりなのじゃが、そうすると暇でのぉ。こちらではジェシー殿がいろいろと家事を教えてくれるから、やることも覚えることもたくさんあって、こちらの方が楽しいのじゃ!」
と、今は幼い姿になっているアンティエルはどや顔で言った。
「あーそれは何となくわかりますね。」
セレスティアも理由を聞いて、納得したようであった。本来、王子の伴侶となれば公務もあるだろうが、いかせんアンティエルは『竜の祖』である竜である。国の政に関与することはしないと明言していることから、公務を行うことはない。となると、することがないのである。
「妾の番も、何度が手料理を振舞ったが、大層喜んでくれてな、妾も満足じゃ。」
アンティエルの嬉しそうな様子に、フェルディナント王子との付き合いが良好である様子が伺えた。
「で、セレス、先程の続きだけど、条件っていうのはどういうことだい?」
皆、ケーキも完食し終えたタイミングでユージィンは続きを促した。
「あぁ、それなんですけど、カイエルには5年の間は、ただの同居人でいてもらうようにお願いをしました。」
「同居人?」
ユージィンもイシュタルも怪訝な顔をした。
「はい、やはり規則のことも気にはなっていますが、けじめとしてその間は友人というか、同居人でいてもらうおうと思ったのです。それに・・・」
セレスティアはカイエルをチラリとみたが、カイエルは優しい眼差しを向け、セレスティアに向けて頷いた。
「私が番であることはわかっていますが、まだ私は受け入れきれていません。カイエルはそれも承知してくれて、焦らなくていいと、ゆっくりでいいと言ってくれたんです。」
セレスティアは自身が番であることはわかったが、それですぐにカイエルを受け入れらえるかというのは、別問題であったのだ。カイエルもそれについては理解をしていたので、無理強いはしたくなかったし、竜騎士の規則の5年縛りもあることから、その間で自分がセレスティアに積極的にアプローチをすればいいと納得したのだ。
「なるほどね。結論として、セレスは物件が見つかり次第寄宿舎は出るし、ハインツは5年後に寄宿舎を出るってことだね。ただし二人とも、恋人同士の件は・・・まぁセレスは気持ちの整理がついてからだけど、規則通り5年後と言うことでいいんだね?」
「「はい。」」
セレスティアもハインツも、話し合っていくら『竜の祖』の番であっても、規則は守ろうということになったのだ。
「しかし、バレなきゃって思うけど、君たちは真面目なんだねぇ。」
ユージィンが元も子もないことを言ってしまった為、セレスティアとハインツは大慌てで、抗議した。
「お、叔父様!それは団長として、言ちゃダメな奴!」
「団長・・・まさかそんなことを言う人だったなんて・・・」
「ふふ、あらユージィンはこういう人よ?腹黒いところが魅力的なのよ?」
「まーだけど、そんな真面目な部下を持った僕は幸せ者だよ、ね?」
イシュタルは、ユージィンにもたれ掛かかり、ユージィンもイシュタルの腰に手を回して、二人は見つめ合っていた。
「腹黒いのぉ・・・それで済めばいいんじゃがのう。」
と、アンティエルはジト目でユージィンとイシュタルを見たが、ラーファイルは
「とにかく、解決したんだったら、それでいいんじゃない?夕飯も食べていくでしょ?夕飯は僕頑張るから食べて行ってね!」
こうして、和気あいあいとした雰囲気の中、セレスティアとハインツは今後の方向性が見えたのであった。
これで一旦は、落ち着いた形になったことで、ユージィンは近々来るであろう火種に、こちらの地盤がある程度固まったことに少し安堵していた。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
王宮侍女は穴に落ちる
斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された
アニエスは王宮で運良く職を得る。
呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き
の侍女として。
忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。
ところが、ある日ちょっとした諍いから
突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。
ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな
俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され
るお話です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。
木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。
その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。
本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。
リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。
しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。
なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。
竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる