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色々と考えていたら、いつの間にか深夜12時を過ぎてしまっていた。
急いでシャワーを浴びてから篠原の部屋の前へと辿り着く。
ドアをノックしようとするが、踏ん切りがつかずにしばらくの間立ち止まったままだった。
(シャワーを浴びてくるなんて、いかにもやりにきました! って感じだったかな……)
期待している自分が恥ずかしい。服装もスウェットの上下でラフすぎる気がしてきて気になってしまい、中々ドアを叩けない。
すると、ガチャ、と篠原の部屋のドアが空いて、篠原が出てきた。
目が合った篠原は成瀬がいたことにかなり驚いていた。
「あ、蓮司くん……」
にこりと笑いかけたけど、篠原の服装は外に出かけられるようにジーパンに黒い革ジャンを着ていた。
「えと、あれ? ごめん……出かける予定だった? てか、僕……あの今日、するって……ごめん……か、勘違い……ッ……」
部屋に誘われたと思っていたけど、成瀬の勘違いだったらしい。
馬鹿みたいに期待して、のこのこ部屋まできてしまった自分がとんでもなく恥ずかしくなって顔が猛烈に熱くなる。
じわりと涙も溢れてきてしまった。
急いで部屋に戻ろうとしたけど、黙ったままの篠原に抱きしめられて部屋に引き摺り込まれた。
そして、抱きしめられたままの状態で、篠原はずるずると床にしゃがみ込む。
「ちょ、蓮司くん?」
はぁーと深い深いため息の後、篠原は口を開いた。
「もうマジで来ないかと思った……」
弱りきった声で成瀬の肩に頭を預ける。
「ごめん、考え込んでたらこんな時間になっちゃって」
「夕方からずっとそわそわして、シャワーも浴びてずっと待ってたのに12時過ぎても来ないし、もう終わったと思った。だからバーにでも行ってヤケ酒しようとしてさ。……はぁ~、すれ違わなくてよかった……! 俺のとこに来てくれたってことはそういうことでいいんだよな?」
ちょっと泣きそうな目で成瀬を見つめる瞳と目が合った。
「うん……」
照れてしまって、どうにも顔が緩みきってしまう。
「ギルドに入団してからお前には避けられるし、他のエスパーにベタベタ触ってガイディングしてるしで……すげぇ辛かった」
ポツポツと、語り始めた篠原。
「僕も……どんどんランクがあがっていく君に追いつけなくて、焦ってたんだ」
避けていたつもりはなかったけれど、篠原に合わす顔がなかったのは事実だった。なるべく他のエスパーをできるだけガイディングするようにしていた。
「それに、お前は俺が卒業式の時に言ったことも忘れてるみたいだったし……」
「卒業式?」
何のことかわからずに小首を傾げた。
「……パートナーになってくれって言っただろ」
ぼそりと小さな声だったけれど、しっかりと成瀬の耳に届いた。
篠原は、むすっと子供みたいに口を尖らせて不機嫌な顔を隠しもしない。
ほへ、と口を開けていると、むんず、と篠原に口元を手で掴まれて、アヒル口にさせられた。
間抜けな成瀬の口元を見て、少し機嫌が治ったのか、くすくすと笑う篠原。成瀬は仲の良かった昔に戻ったように感じられた。
おずおずと篠原に問いかける。
「パートナーって、専属ガイドになってくれってことだよね? だから、俺は君に釣り合うようにランクをあげたかったんだけど」
「……ばっ、ちっげぇよ! パートナーっつったら、……アレだろ……ほら……こっこっ……恋人ってことに決まってんだろうが」
篠原は成瀬から顔を逸らしたが、カァっと耳まで真っ赤にしていたので隠しきれていなかった。
「こいびと」
(こいびとって、何だっけ? 恋人、恋人……?)
言葉の意味がすぐには理解できなくて、一時呆然とした。
けれどその後すぐに頭が理解して、ボッと首まで熱く真っ赤に燃え上がった。
二人して、床にしゃがみ込んで顔を真っ赤にしている状態に気づき、顔を見合わせて笑い合った。
あの頃みたいに。
二人でベッドの上に乗り、下着だけの姿になった。成瀬は裸を見られていると思ったら恥ずかしくなって、両腕を抱きしめて体を隠した。
「隠すなよ」
押し倒されて顔を見上げると、すぐ目の前にがっちりとした筋肉質の体があった。
モンスターとの戦いでできたのだろう切り傷があちこちに残っていた。
ヒーラーでも治せないほどの激しい戦闘だったのだとうかがえる。
「……かっこいい」
(こんなに傷ができるまで体を張って戦って、強くてかっこいい人が僕の恋人になるんだ)
ついつい凝視してしまい、目が離せなくなった。
「お前も意外と鍛えてんだな」
そう言って成瀬の割れた腹筋に触れてきた。触れられた所から熱くなっていく。成瀬の心臓は、すでに爆発しそうなほど高鳴っていた。
「……いつか、君と一緒にダンジョンに行く日がくるかもしれないと思って鍛えてたんだ」
高ランクの専属ガイドになれば、ダンジョンに付き添うこともある。
そんな日を夢見ていた。
「俺のためとか、嬉しいこと言ってくれるじゃんか」
太陽みたいな眩しいほどの笑顔を浴びせられた。
ゆっくりと綺麗な顔が近づいてきて、唇を合わせた。
バクバクと心臓が飛び出してきそうな勢いだ。何度も合わさる唇に、免疫のない成瀬は、ただじっとしていることしかできない。
「ごごごごめん! あのさ……僕、こういうことするの初めてで……ど、どどどうしたらいいかわかんなくて!」
相手がマグロみたいに固まっているなんて、きっと飽きられてしまうかもしれない。
「ん、……俺も初めて」
「うそだ……」
今はS級だし、ルックスも良かったから学生時代だってモテモテだった。確かに、ずっと一緒にいて訓練と勉強ばかりだったけど、こういった経験はもうすでに済ませているかと思っていた。
「うそじゃねぇよ。こういうことするのは、好きなやつとって決めてた」
「す、すきなやつ……」
「初めて聞いたみたいに言ってんじゃねえよ……はぁ、お前ってほんっと……かわいいな」
いきなり甘い言葉を吐き出したかと思ったら、ずっと可愛い可愛いと言い始めて体中にキスされた。
成瀬は完全にキャパオーバーになり、体が熱くなりすぎて湯気が出そうなほどだった。
篠原に経験がないなんて嘘みたいにスムーズに体をいじくりまわされて、好きなようにされてしまった。
「や、そんなところ……っ、ダメだって!」
いつの間にか後孔に指を埋められて、勃起した股間を舐め上げられていた。
「大丈夫。みんなやってることだから」
ぬるつく熱い口内に犯されながら、指を動かされるたびに歓喜の悲鳴を上げた。
「ん、ンンッ……ふぁ、ぁ、ぁあ、っ……やぁッ」
「ほら、力抜けって。息吸って、吐いて」
言われるがまま呼吸を整えたら、指の代わりに大きくて固いモノが自分の中に入り込んできた。
「あぁ……ッ!」
感じたことのない圧迫感に息が詰まる。奥までゆっくりと挿入されたら、幸福感でいっぱいになった。
中が馴染むまで、甘ったるいキスを繰り返した。
「もういいか? 動くぞ」
腰を打ちつけられて、耐えがたいほどの快感を感じながら夜が明けていった。
◇
「に、にひゃくまんだと?!!!」
鷹宮から受け取った請求書を見て、篠原は叫び声を上げざるを得なかった。
後日、鷹宮に呼び出された二人は団長室へと足を運んだ。
団長室の椅子に座った鷹宮は、「殺しても死なない」と篠原が言っていたのを裏付けるほどにピンピンしていた。
「この部屋の修繕費だ。しっかりと払うように」
「いくらなんでも高すぎだろおっさん! ぼったくるつもりかよ」
「篠原くん。この部屋の風穴が見えないのか? それに、この部屋は能力阻害構造の特殊な作りなんだ。この費用は正当な価格だよ」
二人で団長室を出た後、イラつく篠原を引っ張って成瀬の部屋に来た。
篠原は部屋に来たきり、ベッドの上で不貞腐れて動かなくなってしまった。
「れ、蓮司くん、僕も払うの手伝うから」
背を向けて寝転がる篠原の顔を覗き込もうと、ベッドの上に乗り上げた。
そもそも自分のせいで篠原が団長を殴ってしまったのだ。責任を取るべきだ。
「ガイドのランクもまだ低いけど、これから頑張って上げていけば給料も上がるはずだし、大丈夫! すぐに返せるよ」
「……ランク上げたいなら、ガイディングたくさんしなきゃだな」
「っえ?」
ぐりん、と視界が回転したかと思ったら、篠原に押し倒されていた。
にやにやと意地の悪そうな顔つきで成瀬を見下ろす。
「セックスガイディングしたら、ランクがすぐ上がるんじゃね?」
「っ、蓮司くん!」
成瀬は怒って声を上げたが、鼻歌まじりの篠原に口を塞がれてしまった。
今日のS級ハンターは機嫌がいいらしい。
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