32 / 55
11 全ては俺のせい ランドルフ視点
しおりを挟む
全ては俺のせいだった。
不貞なんてなかったのに、俺はアガトンの言葉を信じてしまった。俺に対する復讐だったことにも気づかなかった。弟の抱えていた問題にも目を背けていた。
嘘だったのに、俺はジュリアの言い分も聞かずに彼女をなじった。
しかも、ジュリアは俺の子を身籠っていた。階段から足を踏み外し、怪我をして子まで失ったジュリアに、俺はなんて声をかけた?
自分のしてきたことを一つ一つ思い出しては吐き気を催した。こんなに苦しくて死んでしまいそうなのに、どうして俺はまだ息を吸えているのだろうか。
俺は誰もいなくなった部屋で狂ったように泣き叫んだ。
後悔しても、もうジュリアは戻らない。俺を捨て、見限っていったのだから。
アガトンの手に入れる伯爵当主という地位に目が眩んだわけでもなく、金目当てでもなかった。純粋に俺を愛してくれていた。俺だけを見ていてくれていたのに。それなのに俺はどうしてあんな仕打ちができたのか。
俺は自分の子どもを死なせてしまった。死んでよかったなどと、ジュリアに言い放った。
「ああ、ジュリア……」
俺のせいだ。
俺がジュリアを疑ったせいで、ジュリアは足を踏み外し、子どもを失ってしまった。ああ、なんてことだ。
俺なんかよりもずっとジュリアの方が苦しんだだろう。
なぜあの時彼女に寄り添ってあげられなかったのか。
彼女のことを思いやってやれなかったのか。
いつも自分のことばかり考えて行動していた。
いつもいつも、自分中心で考えていた。
それでも、俺には彼女しかいない。彼女のいない人生など、考えられない。
彼女を愛している。俺の元に戻ってきて欲しい。またもう一度、愛して欲しい。
ジュリアを探し出す。
彼女に許しを乞おう。それしか俺になすすべはない。
もし、俺への愛をすでに失っていたとしても、またもう一度だけチャンスが欲しい。もう一度だけ彼女に会いたい。
◇
なりふり構っていられず、自らの足を使って探し回った。
金も時間も睡眠も自分の持てる全てを注ぎ込む勢いで探し始めた。
そして当然、ジュリアの実家にも足を運んだ。
「ここには戻っていませんか」
「何度来て尋ねられても答えは一緒だ。ジュリアは一度もここには帰ってない」
小さなリビングの丸テーブルに向かいに座るジュリアの父。
俺にとってのの方を見ないようにしていたが、ちらりと見えた瞳は揺れていた。
「だから結婚なんてやめろと言ったのに……」
フンと鼻を鳴らして腕を組んだ。気難しそうな眉間はくっきりとシワが作られていた。
「俺には彼女が」
謝ることしかできなかった。そして探し出すためには、どんな恥も報いも受けるつもりでここに来た。覚悟は決めていた。
だが、彼は俺の前で肩を震わせた後自身を落ち着かせて俺の目を見た。
不貞なんてなかったのに、俺はアガトンの言葉を信じてしまった。俺に対する復讐だったことにも気づかなかった。弟の抱えていた問題にも目を背けていた。
嘘だったのに、俺はジュリアの言い分も聞かずに彼女をなじった。
しかも、ジュリアは俺の子を身籠っていた。階段から足を踏み外し、怪我をして子まで失ったジュリアに、俺はなんて声をかけた?
自分のしてきたことを一つ一つ思い出しては吐き気を催した。こんなに苦しくて死んでしまいそうなのに、どうして俺はまだ息を吸えているのだろうか。
俺は誰もいなくなった部屋で狂ったように泣き叫んだ。
後悔しても、もうジュリアは戻らない。俺を捨て、見限っていったのだから。
アガトンの手に入れる伯爵当主という地位に目が眩んだわけでもなく、金目当てでもなかった。純粋に俺を愛してくれていた。俺だけを見ていてくれていたのに。それなのに俺はどうしてあんな仕打ちができたのか。
俺は自分の子どもを死なせてしまった。死んでよかったなどと、ジュリアに言い放った。
「ああ、ジュリア……」
俺のせいだ。
俺がジュリアを疑ったせいで、ジュリアは足を踏み外し、子どもを失ってしまった。ああ、なんてことだ。
俺なんかよりもずっとジュリアの方が苦しんだだろう。
なぜあの時彼女に寄り添ってあげられなかったのか。
彼女のことを思いやってやれなかったのか。
いつも自分のことばかり考えて行動していた。
いつもいつも、自分中心で考えていた。
それでも、俺には彼女しかいない。彼女のいない人生など、考えられない。
彼女を愛している。俺の元に戻ってきて欲しい。またもう一度、愛して欲しい。
ジュリアを探し出す。
彼女に許しを乞おう。それしか俺になすすべはない。
もし、俺への愛をすでに失っていたとしても、またもう一度だけチャンスが欲しい。もう一度だけ彼女に会いたい。
◇
なりふり構っていられず、自らの足を使って探し回った。
金も時間も睡眠も自分の持てる全てを注ぎ込む勢いで探し始めた。
そして当然、ジュリアの実家にも足を運んだ。
「ここには戻っていませんか」
「何度来て尋ねられても答えは一緒だ。ジュリアは一度もここには帰ってない」
小さなリビングの丸テーブルに向かいに座るジュリアの父。
俺にとってのの方を見ないようにしていたが、ちらりと見えた瞳は揺れていた。
「だから結婚なんてやめろと言ったのに……」
フンと鼻を鳴らして腕を組んだ。気難しそうな眉間はくっきりとシワが作られていた。
「俺には彼女が」
謝ることしかできなかった。そして探し出すためには、どんな恥も報いも受けるつもりでここに来た。覚悟は決めていた。
だが、彼は俺の前で肩を震わせた後自身を落ち着かせて俺の目を見た。
341
あなたにおすすめの小説
【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない
たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。
あなたに相応しくあろうと努力をした。
あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。
なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。
そして聖女様はわたしを嵌めた。
わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。
大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。
その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。
知らずにわたしはまた王子様に恋をする。
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi(がっち)
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください
無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる