「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

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第3章:伝説の武具を拾う

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村に滞在して三日目。
ハルトは今日も、森でのんびり散歩していた。

「いや~、何もしてないって最高だな……。朝は鳥の声で目覚めて、昼はうたた寝、夜は焼き魚……」

心なしか、顔がゆるみっぱなしだった。

「ま、たまには運動でもしておくか」

そう言って森の中を適当に歩き始める。
幸運スキルがあるので、道に迷う心配はない。
むしろ、何か面白いものに出会えるかもしれないという期待すらあった。

そして――それは本当に、突然だった。

「……ん?」

木々の間、薄暗い小道の先。
半ば土に埋もれるようにして、古びた剣が突き刺さっていた。

その場に立った瞬間、なぜか風が吹いた。
葉がざわめき、剣の柄に陽光が差す。

「これ……小説とかだったら、絶対ヤバいヤツだよな……」

慎重に近づき、柄を握る。
冷たい金属の感触が手に伝わると、剣が“カコン”と軽く抜けた。

――その瞬間。

《【固有武器:天穿の剣】を取得しました》

「うおっ、なんかログ出た!?」

脳内に直接響くような通知音。
武器の説明が自動的に流れ込んでくる。

> 天穿の剣(てんせんのけん)
古代の英雄が使ったとされる神器。どんな防御も貫く刃を持ち、持ち主の意思に呼応して真価を発揮する。



「……ちょっと待て、これマジで伝説級じゃないか?」

思わず剣をじっと見つめる。
まさか、こんなにあっさり拾えるとは思わなかった。
だが――思い返してみれば、これが“幸運スキル”の力なのかもしれない。

「ま、使わないよりマシか」

と、剣を鞘に納めたそのときだった。

「……ん?」

足元の茂みがカサリと揺れ、小さな鳴き声が聞こえた。

「……にゃ……」

「猫……か?」

近寄ってみると、そこには白くふわふわした、猫のような小さな魔獣がいた。背中に小さな傷を負い、じっとこちらを見上げている。だが敵意はない。むしろ、何かを訴えるような目をしていた。

「こんなとこで怪我……まさか、さっきの剣の守り手だったとか?」

冗談めかして言いながら、そっと手を差し伸べると、魔獣は臆することなくすり寄ってきた。

《スキル【幸運】が発動しました》
《特異個体“ミル”との縁を検出》
《ミルが仲間になりました》

「……仲間になった!? いや、これって……まじか」

魔獣――ミルはちょこんとハルトの肩に飛び乗ると、くるくると尻尾を振って喉を鳴らした。

「ま、いいか。スローライフに癒しは大事だしな」


---

村へ戻る途中、異変が起きた。

「助けてーっ!!」

叫び声。
駆けつけると、子どもたちが森で遊んでいた最中に、ゴブリンの群れに囲まれていた。

「嘘だろ……!? なんでこんなところにゴブリンなんて!」

通常、この辺りに魔物は出ないはずだった。
子どもを庇っている村人の一人が、必死に棒で応戦している。

「危ねぇな……ったく、スローライフ中だってのに!」

ハルトは剣を抜き、ゴブリンの群れへと突っ込んだ。

「――行け、《天穿》!!」

剣が蒼い光を放ち、一閃。

金属音とともに、ゴブリンの刃が砕け、敵の群れが一瞬で切り裂かれる。
あまりの威力に、ハルト自身も目を見開いた。

「これ……すごすぎるだろ……!?」

一瞬で戦局はひっくり返り、ゴブリンたちは悲鳴を上げて逃げ出していく。
無事を喜ぶ子どもたち。村人たちの歓声。
その中心で、ハルトは剣を見つめたまま、ぽつりと呟いた。

「……これ、完全に平穏なスローライフじゃなくなる予感しかしないんだけど」

だが、遅かった。
この事件をきっかけに、ハルトの名前は「剣を持つ幸運の旅人」として、村の外にも少しずつ広まり始めるのだった――。
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