「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

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【閑話その3】──ルナの違和感

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「……またハズレね」

ダンジョン深部。朽ちた宝箱を開けたルナは、失望のため息を吐いた。
中にあったのは、すでに劣化した古びたマント。鑑定すら不要だ。売れない、使えない、ただのガラクタ。

「三連続、ゴミかよ」
後方でガルドがぼやく。

「次だ。まだ奥に部屋がある」
リーダーのライガはぶっきらぼうにそう言い放つと、早足で先に進む。

ルナはその背中を見ながら、ひとつ、気づいてしまった。

――最近、ツキがない。

罠にかかる回数は増えたし、宝箱は外ればかり。レア素材なんて、もう何日も見ていない。
以前は、こんなことはなかったはずだ。順調すぎて不安になるくらい、運に恵まれていた。
……そう、ハルトがいた頃までは。

「……バカみたい」

自分の口から漏れた言葉に、ルナは思わず眉をひそめた。
ハルトは戦わない。魔法も使えないし、荷物持ちすら不器用だった。
だから追放された。それが当然だと、そう思っていたのに――

“あいつがいた頃の方が、全てがうまくいっていた”

そんな当たり前の事実が、今になって胸に刺さる。

「……あのスキル、ただの地味なオマケだと思ってた」

ハルトの持っていたスキル【幸運】。
ダンジョン内での遭遇率や宝箱の中身、道中のトラブルの回避――目立たないが、すべての“運”に関わるスキルだったのかもしれない。
でも、それに気づいた時には、もう彼はいなかった。

「ルナ、何してんだ。置いてくぞ!」

ガルドの声が遠くから響く。
ルナは何も言わず、杖を軽く握り直した。

あのとき、もう少しだけ疑っていれば。
あのとき、誰か一人でも、彼の“静かな貢献”に気づいていれば――
今もパーティーはうまく回っていたのかもしれない。

「……ハルト。あんた、本当に“運”だけだったの?」

その答えを確かめる術は、今の彼女たちには残されていなかった。


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