「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

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【閑話その4】──ガルドの本音

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「ぐっ……重てぇな、こいつ……!」

分厚い大盾で敵の突進を受け止めながら、ガルドは奥歯を噛み締めた。
防ぎきれないわけじゃない。だが、最近妙に踏ん張りが利かない。

「ガルド! 左っ……!」

「っのやろう!」

ルナの声に反応して反撃するも、相手の動きが妙に鋭い。
動きが噛み合わない。タイミングもずれてる。
全体的に――妙に“運が悪い”。

(前は、こんなに苦戦しなかった……よな?)

そんな疑念が、頭の隅でこびりつく。

ダンジョンの罠にかかる頻度も増えた。
敵の不意打ちを受けることも増えた。
それに、なんだかやたらと装備が壊れる。先週買った盾も、すでにヒビが入ってる。

「ハズレばっかだな……素材も、宝箱も……」

帰り道、ライガがそうこぼす。

その言葉に、ガルドは言いかけて――やめた。

(いやいや、まさかな……)

言葉にしたら、認めることになる気がして、無理やり喉に押し込めた。

ハルト。あの地味で、何を考えてるのか分からねぇ男。
笑いもしないし、声も小せぇし、たしかにパッとしねぇ奴だった。

でも――そうだ。
あいつがいた頃は、なんかこう、全体的に“うまくいってた”気がする。

素材の質もよかった。装備も長持ちした。
バカみてぇに敵が強く出てくることもなかった。

「…………は?」

自分の思考に、思わず声が出た。

(いや、待て。それってまさか……)

ハルトのスキル――【幸運】。

地味なスキルだ。ド派手な火力もなけりゃ、目に見える効果もない。
けど、今になって思えば……あれは、全体を底上げしてくれてた“縁の下の力持ち”だったのかもしれねぇ。

「……ハルト、実はスゲェやつだったんじゃねぇのか……?」

苦笑いが漏れた。

今さら、気づいても遅い。

彼がいた頃の“スムーズすぎる冒険”は、もう戻ってこない。

(戻ってきてほしい、なんて……言えねぇよな)

ガルドは空を見上げた。どこかの空の下、きっとあいつはのんびり笑ってるんだろう。

「……チクショー、先に自由になりやがって」

背中を丸めて、ガルドはまた重い盾を背負う。
鈍くなった足取りで、明日も不運な冒険に出かけるしかなかった。


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