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第9章:揺れる王都と、始まりの反逆者たち(前編)
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王都に夜が明けた。
薄明かりが石造りの街並みに差し込む中、ハルトたちは隠れ家として用意された廃屋に身を潜めていた。
「……あのカリウスって男。お前の兄だったんだな」
焚き火の火を見つめながら、ハルトが口を開いた。リアナはうなずき、肩をすくめる。
「正確には異母兄よ。でも昔は……優しかった。父上が崩御してから変わってしまったの」
「“虚無の眼”とか言ってたな。魔導器か、あるいは……禁術系のスキルか」
レンが壁にもたれたまま呟く。その剣は鞘からわずかに抜かれ、いつでも戦える状態だった。
「地下の実験体、王宮の魔法障壁……カリウスの力は、すでに国家を超えてる。まともにぶつかっても勝てないよ」
サラが珍しく弱音を吐いた。だがすぐに言葉を継ぐ。
「――だから、仲間を集めよう。奴に抗える“力”を」
「レジスタンス……か。いいね、それ」
リアナの目に灯る炎は、今までにない強さだった。
ハルトは小さく笑った。
「この街に、まだ抵抗してる連中がいるって聞いた。地下劇場の連中と、旧騎士団の一部……そいつらと繋がれば、希望はある」
「希望ってのは、運だけじゃどうにもならないこともあるってことさ」
レンの言葉に、ミルがふにゃあと鳴いた。
「だが、運と信念と剣と仲間が揃えば、話は別だろ?」
「……その言い方、悪くないな」
再び、笑いが灯る。だが、その束の間の安堵を破るように、扉がノックされた。
「――ハルト様、リアナ様、いらっしゃるか」
低く、静かな声。ハルトたちは即座に構えたが、ドアの隙間から現れたのは、年老いた騎士だった。
「……元近衛騎士、レイナルト。リアナ様の忠臣にして、今は王都地下の反逆者に身を投じております」
「レイナルト……まだ、生きていてくれたのね」
リアナが駆け寄ると、老騎士は微笑んで膝をつく。
「王女様。そろそろ、剣を取る覚悟はおありですか?」
「ええ。もう迷いはないわ」
レイナルトは立ち上がり、静かに言った。
「今夜、“契約の書”が再び発見されました。王家と真の継承者にのみ許される秘儀。あなたが望むなら、再び王の剣を振るう資格を証明できます」
「それって……!」
リアナが息を呑む。ハルトは目を細めた。
「つまり……王家の正統後継者として、民を導けってことか」
「はい。そして、その証に“守護の契約獣”があなたに選ばれるはずです」
次の瞬間、部屋の空気が震えた。どこか遠くで、獣の咆哮のような声が聞こえた気がした。
――それは、ハルトたちが、ただの旅人から「運命を変える者たち」へと変わる序章だった。
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薄明かりが石造りの街並みに差し込む中、ハルトたちは隠れ家として用意された廃屋に身を潜めていた。
「……あのカリウスって男。お前の兄だったんだな」
焚き火の火を見つめながら、ハルトが口を開いた。リアナはうなずき、肩をすくめる。
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「“虚無の眼”とか言ってたな。魔導器か、あるいは……禁術系のスキルか」
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「――だから、仲間を集めよう。奴に抗える“力”を」
「レジスタンス……か。いいね、それ」
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ハルトは小さく笑った。
「この街に、まだ抵抗してる連中がいるって聞いた。地下劇場の連中と、旧騎士団の一部……そいつらと繋がれば、希望はある」
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レンの言葉に、ミルがふにゃあと鳴いた。
「だが、運と信念と剣と仲間が揃えば、話は別だろ?」
「……その言い方、悪くないな」
再び、笑いが灯る。だが、その束の間の安堵を破るように、扉がノックされた。
「――ハルト様、リアナ様、いらっしゃるか」
低く、静かな声。ハルトたちは即座に構えたが、ドアの隙間から現れたのは、年老いた騎士だった。
「……元近衛騎士、レイナルト。リアナ様の忠臣にして、今は王都地下の反逆者に身を投じております」
「レイナルト……まだ、生きていてくれたのね」
リアナが駆け寄ると、老騎士は微笑んで膝をつく。
「王女様。そろそろ、剣を取る覚悟はおありですか?」
「ええ。もう迷いはないわ」
レイナルトは立ち上がり、静かに言った。
「今夜、“契約の書”が再び発見されました。王家と真の継承者にのみ許される秘儀。あなたが望むなら、再び王の剣を振るう資格を証明できます」
「それって……!」
リアナが息を呑む。ハルトは目を細めた。
「つまり……王家の正統後継者として、民を導けってことか」
「はい。そして、その証に“守護の契約獣”があなたに選ばれるはずです」
次の瞬間、部屋の空気が震えた。どこか遠くで、獣の咆哮のような声が聞こえた気がした。
――それは、ハルトたちが、ただの旅人から「運命を変える者たち」へと変わる序章だった。
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