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第11章:白の間と魔眼の守護者
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王城への潜入は、静かに、しかし緊張感に満ちて始まった。
月明かりの下、ハルトたちはマリエの案内で地下水路を抜け、「白の間」へと繋がる隠し通路に辿り着いていた。
「ここを抜ければ、王の間はすぐ先。けど……注意して」
マリエの言葉を裏付けるように、石畳の先から重たい気配が迫ってくる。
「……来たな」
レンが剣を抜く。その先に現れたのは、蒼い外套を纏った騎士。目元を仮面で隠し、右目には妖しく輝く紅の宝石――魔眼。
「あなたたちの行く手、ここで終わりです」
女騎士は静かに告げた。
「名を名乗れ」
レンの問いに、女は仮面の下で微笑んだ。
「アイリス・ノルヴァ。かつては王に忠誠を誓い、今は新しき秩序に身を置く者」
「……裏切ったのか?」
「いいえ。私はただ、力ある者に従っただけ。弱き王など、救う価値もない」
「それでも……!」
リアナが前に出る。その姿に、アイリスの目が揺れる。
「姫……ご無事であったとは」
「アイリス。あなたがいた頃の王国は、確かに揺れていたかもしれない。でも、だからってこんなやり方を選ぶ必要なんて――!」
「理想だけでは、国は治まらぬ」
バチッ、と空気が震える。
アイリスの魔眼が光り、重力のような圧が場に走る。
《スキル【魔眼・赤の封殺】発動》
ハルトの足が一瞬、沈むような重みに捕らえられる。
「……重てぇな……!」
「この魔眼は、相手の行動を“封じる未来”を引き寄せる。どれほど早く、強くとも、私の目の前では意味をなさない」
「……だとしたら、未来ごとぶっ壊す!」
ハルトの剣が、閃いた。
その刹那――
《スキル【幸運の加護・改】が進化条件を満たしました》
《新スキル【幸運連鎖・絆】を習得しました》
《効果:対象(絆を結んだ仲間)に、連鎖的に幸運を展開します》
(みんなを……繋げる?)
次の瞬間、レンの剣がアイリスの死角へ飛び込み、サラの投げナイフが魔眼の視界を曇らせ、ミルの鳴き声が空気を震わせる。
「運命は、仲間となら変えられる!」
ハルトの一撃が、アイリスの魔眼を砕いた。
「くっ……!」
仮面が落ち、アイリスの素顔があらわになる。疲れた瞳が、ようやく静かに揺れた。
「……あなた方に、王の元へ行く資格があるのかもしれませんね」
彼女はその場に膝をついた。
リアナが歩み寄る。
「戻ってきて、アイリス。まだ遅くはない」
「……考えてみましょう。もし、この戦いが終わったら」
アイリスの言葉に、リアナは優しく微笑んだ。
やがてハルトたちは「白の間」へと進む。
そこにいたのは――
「リアナ……!」
椅子に縛られ、しかし気高く座る老王。
その瞳が、娘を認めた瞬間、光を取り戻す。
「父上!」
リアナが駆け寄る。
だが、その後ろで、ゆっくりと拍手の音が響いた。
「感動の再会ですね」
カリウス。黒衣に身を包み、冷たい笑みを浮かべながら、王の間の玉座に座っていた。
「だが、物語はここで終わる。あなたたちはこの城で――“運命に敗れる”のです」
《スキル【王威・黒の契約】が発動します》
空間が歪み、黒き魔力が渦巻いた。
次章――運命の決戦が、始まる。
---
月明かりの下、ハルトたちはマリエの案内で地下水路を抜け、「白の間」へと繋がる隠し通路に辿り着いていた。
「ここを抜ければ、王の間はすぐ先。けど……注意して」
マリエの言葉を裏付けるように、石畳の先から重たい気配が迫ってくる。
「……来たな」
レンが剣を抜く。その先に現れたのは、蒼い外套を纏った騎士。目元を仮面で隠し、右目には妖しく輝く紅の宝石――魔眼。
「あなたたちの行く手、ここで終わりです」
女騎士は静かに告げた。
「名を名乗れ」
レンの問いに、女は仮面の下で微笑んだ。
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「……裏切ったのか?」
「いいえ。私はただ、力ある者に従っただけ。弱き王など、救う価値もない」
「それでも……!」
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「姫……ご無事であったとは」
「アイリス。あなたがいた頃の王国は、確かに揺れていたかもしれない。でも、だからってこんなやり方を選ぶ必要なんて――!」
「理想だけでは、国は治まらぬ」
バチッ、と空気が震える。
アイリスの魔眼が光り、重力のような圧が場に走る。
《スキル【魔眼・赤の封殺】発動》
ハルトの足が一瞬、沈むような重みに捕らえられる。
「……重てぇな……!」
「この魔眼は、相手の行動を“封じる未来”を引き寄せる。どれほど早く、強くとも、私の目の前では意味をなさない」
「……だとしたら、未来ごとぶっ壊す!」
ハルトの剣が、閃いた。
その刹那――
《スキル【幸運の加護・改】が進化条件を満たしました》
《新スキル【幸運連鎖・絆】を習得しました》
《効果:対象(絆を結んだ仲間)に、連鎖的に幸運を展開します》
(みんなを……繋げる?)
次の瞬間、レンの剣がアイリスの死角へ飛び込み、サラの投げナイフが魔眼の視界を曇らせ、ミルの鳴き声が空気を震わせる。
「運命は、仲間となら変えられる!」
ハルトの一撃が、アイリスの魔眼を砕いた。
「くっ……!」
仮面が落ち、アイリスの素顔があらわになる。疲れた瞳が、ようやく静かに揺れた。
「……あなた方に、王の元へ行く資格があるのかもしれませんね」
彼女はその場に膝をついた。
リアナが歩み寄る。
「戻ってきて、アイリス。まだ遅くはない」
「……考えてみましょう。もし、この戦いが終わったら」
アイリスの言葉に、リアナは優しく微笑んだ。
やがてハルトたちは「白の間」へと進む。
そこにいたのは――
「リアナ……!」
椅子に縛られ、しかし気高く座る老王。
その瞳が、娘を認めた瞬間、光を取り戻す。
「父上!」
リアナが駆け寄る。
だが、その後ろで、ゆっくりと拍手の音が響いた。
「感動の再会ですね」
カリウス。黒衣に身を包み、冷たい笑みを浮かべながら、王の間の玉座に座っていた。
「だが、物語はここで終わる。あなたたちはこの城で――“運命に敗れる”のです」
《スキル【王威・黒の契約】が発動します》
空間が歪み、黒き魔力が渦巻いた。
次章――運命の決戦が、始まる。
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