「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ

文字の大きさ
20 / 23

第10章:反逆の序曲と、王宮への影

しおりを挟む
第七倉庫の爆破から二日後、王都の空気は明らかに変わっていた。街角では噂が飛び交い、兵士たちは警戒態勢を強化。民はざわめきながらも、どこかに希望の兆しを見つけようとしていた。

「レジスタンスが動いたって噂だ」「姫様が戻ってきたって本当か?」

そんな声を背に、ハルトたちは王都の南部にある古い教会へと向かっていた。

「クラウスが言ってた連絡員が、ここに?」

リアナが尋ねると、サラが頷いた。

「ここは元々、王家の孤児支援所だった場所。信頼できる人間がいるって話」

扉を叩くと、しばらくして中から老女が現れた。柔らかい白髪と優しげな瞳――しかしその中には、深い知性が光っていた。

「……リアナ様ですね。お帰りなさいませ」

「あなたは……」

「元・王城付きの侍女長、マリエです。昔、あなたをお風呂に入れていた者ですよ」

リアナは目を丸くし、やがて柔らかく微笑んだ。

「懐かしいわ……マリエ。生きていてくれて嬉しい」

マリエは頷いたあと、厳しい表情に戻った。

「王城は、もはや完全にカリウスに掌握されています。陛下は幽閉され、代わりに“影武者”が玉座に……」

「やっぱり……」

リアナの表情が険しくなる。

「ただし、今ひとつ希望があります。陛下は“白の間”に閉じ込められていますが、外部と接触できる“秘密の抜け道”がまだ残っております」

「そこから、王城に入れるってことか?」

ハルトが訊くと、マリエは小さく頷いた。

「ええ。ですが、そこには“魔眼の守護者”が立っています。かつて王家に仕えていた魔法騎士が、今はカリウスの尖兵として……」

その名を聞いたとたん、レンが静かに口を開いた。

「……アイリスか」

「知ってるの?」

リアナが訊ねると、レンは珍しく苦しげな表情を見せた。

「昔、剣を交えたことがある。あれは……強い。人間離れしている」

ハルトは拳を握り、言った。

「でも、行くしかない。このままじゃ、王都が滅びる。リアナのためにも、国のためにも」

ミルが鳴いた。「にゃっ!」

サラは短剣を回しながら笑った。

「なら、さっさと準備しましょ。どうせ敵は強いんでしょ? それって楽しいわ」

レンはため息をつきながらも、微かに口元を緩めた。

「どうやら、俺の居場所はここらしいな」

こうしてハルトたちは、王城突入の準備を始めた。

だがその頃――王城最奥、「白の間」。

そこには、薄汚れた王の姿があった。白い髭に威厳はあれど、その瞳は疲れ果てていた。

「……誰が、娘を……」

カリウスの部下が静かに告げる。

「リアナ姫、そして“幸運の剣士”と名乗る者が動いております」

その名を聞いた瞬間、王の目がかすかに光を取り戻す。

「……あの子が、生きていたか」

その後ろで、黒い衣を纏った男――カリウスが現れる。

「陛下、そろそろ“玉座の継承式”を始めねばなりません。お疲れでしたら、永久の眠りに移られては?」

王の目に怒りが宿る。

「お前ごときに……王の資格など……!」

カリウスは冷たく笑った。

「王に必要なのは血ではなく、力です。あなたが築けなかった“完全な王国”を、私が完成させるのです」

その瞬間、王城の外――空に一筋の光が走った。

《スキル【運命の糸】が共鳴しました》 《対象:リアナ・レン・サラ・ミル》

(来る……!)

カリウスは目を細める。

「ようこそ、反逆者たち。さあ、宴を始めよう――」

そして、王城を巡る最後の戦いが、静かに幕を開けた。




---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

氷の精霊と忘れられた王国 〜追放された青年、消えた約束を探して〜

fuwamofu
ファンタジー
かつて「英雄」と讃えられた青年アレンは、仲間の裏切りによって王国を追放された。 雪原の果てで出会ったのは、心を閉ざした氷の精霊・リィナ。 絶望の底で交わした契約が、やがて滅びかけた王国の運命を変えていく――。 氷と炎、愛と憎しみ、真実と嘘が交錯する異世界再生ファンタジー。 彼はなぜ忘れられ、なぜ再び立ち上がるのか。 世界の記憶が凍りつく時、ひとつの約束だけが、彼らを導く。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

ななよ廻る
恋愛
貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。 令息令嬢の社交場。 顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。 それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。 王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。 家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。 ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。 静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。 そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。 「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」 互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。 しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて―― 「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」 偽装婚約、だよな……? ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『アルファポリス』に掲載しております※ ※ななよ廻る文庫(個人電子書籍出版)にて第1巻発売中!※

わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。 化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。 所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。 親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。 そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。 実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。 おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。 そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...