貧乏貴族の俺が貴族学園随一の麗しき公爵令嬢と偽装婚約したら、なぜか溺愛してくるようになった。

貴族のみに門戸を開かれた王国きっての学園は、貧乏貴族の俺にとって居心地のいい場所ではなかった。

令息令嬢の社交場。

顔と身分のいい結婚相手を見つけるための場所というのが暗黙の了解とされており、勉強をしに来た俺は肩身が狭い。

それでも通い続けているのは、端的に言えば金のためだ。
王国一の学園卒業という箔を付けて、よりよい仕事に就く。

家族を支えるため、強いては妹に望まない結婚をさせないため、俺には嫌でも学園に通う理由があった。

ただ、どれだけ強い決意があっても、時には1人になりたくなる。
静かな場所を求めて広大な学園の敷地を歩いていたら、薔薇の庭園に辿り着く。

そこで銀髪碧眼の美しい令嬢と出会い、予想もしなかった提案をされる。

「それなら、私と“偽装婚約”をしないかい?」

互いの利益のため偽装婚約を受け入れたが、彼女が学園唯一の公爵令嬢であるユーリアナ・アルローズと知ったのは後になってからだ。
しかも、ユーリアナは偽装婚約という関係を思いの外楽しみ始めて――

「ふふ、君は私の旦那様なのだから、もっと甘えてもいいんだよ?」

偽装婚約、だよな……?

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