15 / 102
第2章 村の仲間と恋の予感
第15話「お弁当と、リンネの秘密」
しおりを挟む
「お兄ちゃん、今日のお弁当、渡しておいてね!」
朝の台所で、ひなのが小さな布包みを差し出してきた。
包みの中には、ほかほかのおにぎりと、煮込み野菜、卵焼きがきれいに詰められている。
「すごいな……これ全部、一人で?」
「うん! 今日はリンネさんと森のほうに材料取りに行くって聞いたから。二人分、ちゃんと作ったよ!」
「ありがとう、助かる。リンネも絶対喜ぶと思う」
お弁当を手に取ったはるとは、ほっとしたように笑った。
今日は、収穫祭の準備として、森にある香草の採取をする日だった。
それを聞いて、ひなのは張り切って“お昼係”を買って出たのだ。
---
森の小道を抜け、香草の群生地にたどり着いた頃、日はすでに高く昇っていた。
「ふう、これでだいたい必要量は集まったかな」
「おつかれー。よく働いた!」
リンネが腰に手を当てて伸びをする。
日差しを浴びて、彼女の白銀の髪が風に揺れた。
ふいに、はるとは背負っていた荷物から布包みを取り出す。
「はい、これ。ひなのからのお弁当」
「えっ!? わたしの分も!?」
「うん。今日二人で行くって話したら、喜んで準備してた」
包みを広げると、色とりどりの手作りおかずが現れる。
「すごい……ひなのちゃん、料理ほんとに上手」
二人は、森の中の大きな木の根元に腰を下ろし、並んでお弁当を食べ始めた。
風が心地よく、虫の声も遠くから聞こえる。
まるで静かなピクニックのようだった。
「……こうやって座って食べるの、久しぶりかも」
リンネがぽつりとつぶやく。
「そうなの?」
「うん。村にいるときも、誰かと一緒に食べることって……あんまりなかったから」
「え?」
リンネは、視線を落としたまま話し始めた。
「わたし、“フォルア族”だから。耳も、しっぽも目立つし、子どもの頃はずっと“変な子”って言われてた」
「……」
「それで、いつの間にか“みんなと同じじゃないなら、一人でいるほうが気楽”って思っちゃってたんだ」
はるとは黙って耳を傾ける。
「でも……ひなのちゃんが笑顔で“お弁当作ったよ”って言ってくれたとき、すごく嬉しかった。わたし、誰かに“当たり前に存在していいよ”って言われた気がした」
「リンネ……」
はるとは少しだけ、手を伸ばして――
彼女の耳に、そっと触れそうになった。
ふわふわしていて、ぴくりと動く耳。
「……ごめん。触っちゃまずかった?」
「ううん、いいよ。はるとになら……平気」
その言葉に、はるとは軽く笑った。
「じゃあ、今度からは“いい?”って聞いてから触るようにする」
「ふふっ、優しいね。ずるいくらいに」
空が、少しずつオレンジ色に染まりはじめていた。
---
帰り道、林を抜けたとき、リンネがぽつりとつぶやいた。
「ねぇ、はると。わたし、ここでずっと暮らしていける気がするよ」
「……そっか。俺も、そう思ってた」
「牧場ができて、ひなのちゃんが来て、マリィも遊びに来てくれて……。毎日、少しずつだけど、幸せになっていくのがわかるの」
「その“少しずつ”が、いちばん大事なんだろうな」
ふたりの足音が、森にやさしく響いた。
---
その夜、ひなのはちょっとだけ顔を赤らめながら、兄に尋ねた。
「……ねぇ、今日、リンネさんと何話したの?」
「ん? お昼食べながら、昔の話とか……なんで?」
「べっ、別に。ちょっと気になっただけ」
そう言ってそっぽを向くひなのの頬が、ほんのり赤くなっていた。
---
【イベント完了:お弁当とリンネの心の距離】
・リンネの好感度が上昇しました
・「お弁当」レシピ解放/使用時、昼の体力回復ボーナス+
・リンネのスキル「料理Lv2」に進化
・ひなのの心情に小さな変化が……
【次の目標:収穫祭の準備(野菜コンテスト編)】
---
朝の台所で、ひなのが小さな布包みを差し出してきた。
包みの中には、ほかほかのおにぎりと、煮込み野菜、卵焼きがきれいに詰められている。
「すごいな……これ全部、一人で?」
「うん! 今日はリンネさんと森のほうに材料取りに行くって聞いたから。二人分、ちゃんと作ったよ!」
「ありがとう、助かる。リンネも絶対喜ぶと思う」
お弁当を手に取ったはるとは、ほっとしたように笑った。
今日は、収穫祭の準備として、森にある香草の採取をする日だった。
それを聞いて、ひなのは張り切って“お昼係”を買って出たのだ。
---
森の小道を抜け、香草の群生地にたどり着いた頃、日はすでに高く昇っていた。
「ふう、これでだいたい必要量は集まったかな」
「おつかれー。よく働いた!」
リンネが腰に手を当てて伸びをする。
日差しを浴びて、彼女の白銀の髪が風に揺れた。
ふいに、はるとは背負っていた荷物から布包みを取り出す。
「はい、これ。ひなのからのお弁当」
「えっ!? わたしの分も!?」
「うん。今日二人で行くって話したら、喜んで準備してた」
包みを広げると、色とりどりの手作りおかずが現れる。
「すごい……ひなのちゃん、料理ほんとに上手」
二人は、森の中の大きな木の根元に腰を下ろし、並んでお弁当を食べ始めた。
風が心地よく、虫の声も遠くから聞こえる。
まるで静かなピクニックのようだった。
「……こうやって座って食べるの、久しぶりかも」
リンネがぽつりとつぶやく。
「そうなの?」
「うん。村にいるときも、誰かと一緒に食べることって……あんまりなかったから」
「え?」
リンネは、視線を落としたまま話し始めた。
「わたし、“フォルア族”だから。耳も、しっぽも目立つし、子どもの頃はずっと“変な子”って言われてた」
「……」
「それで、いつの間にか“みんなと同じじゃないなら、一人でいるほうが気楽”って思っちゃってたんだ」
はるとは黙って耳を傾ける。
「でも……ひなのちゃんが笑顔で“お弁当作ったよ”って言ってくれたとき、すごく嬉しかった。わたし、誰かに“当たり前に存在していいよ”って言われた気がした」
「リンネ……」
はるとは少しだけ、手を伸ばして――
彼女の耳に、そっと触れそうになった。
ふわふわしていて、ぴくりと動く耳。
「……ごめん。触っちゃまずかった?」
「ううん、いいよ。はるとになら……平気」
その言葉に、はるとは軽く笑った。
「じゃあ、今度からは“いい?”って聞いてから触るようにする」
「ふふっ、優しいね。ずるいくらいに」
空が、少しずつオレンジ色に染まりはじめていた。
---
帰り道、林を抜けたとき、リンネがぽつりとつぶやいた。
「ねぇ、はると。わたし、ここでずっと暮らしていける気がするよ」
「……そっか。俺も、そう思ってた」
「牧場ができて、ひなのちゃんが来て、マリィも遊びに来てくれて……。毎日、少しずつだけど、幸せになっていくのがわかるの」
「その“少しずつ”が、いちばん大事なんだろうな」
ふたりの足音が、森にやさしく響いた。
---
その夜、ひなのはちょっとだけ顔を赤らめながら、兄に尋ねた。
「……ねぇ、今日、リンネさんと何話したの?」
「ん? お昼食べながら、昔の話とか……なんで?」
「べっ、別に。ちょっと気になっただけ」
そう言ってそっぽを向くひなのの頬が、ほんのり赤くなっていた。
---
【イベント完了:お弁当とリンネの心の距離】
・リンネの好感度が上昇しました
・「お弁当」レシピ解放/使用時、昼の体力回復ボーナス+
・リンネのスキル「料理Lv2」に進化
・ひなのの心情に小さな変化が……
【次の目標:収穫祭の準備(野菜コンテスト編)】
---
138
あなたにおすすめの小説
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる