異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

文字の大きさ
48 / 102
第5章 拡がる牧場と迫る影

第49話「影を払う光の種」

しおりを挟む
記憶の地の最奥は、静寂に包まれていた。天井の水晶からは柔らかな光がこぼれ、床のモザイクは古代の文様を描いている。

中央に浮かぶのは黒泥の球体――“影の核”。それは呼吸するかのように脈動し、禍々しい瘴気を吐き出していた。

ひなのは、震える手で薬瓶を取り出す。「……これが、私たちの希望」

その瞬間、核の前に影が集まり、ひとつの人影を形作った。かつて調合師として讃えられ、今は影に取り込まれた者――ソエル。

「癒し……か。愚かな幻想だ」

その声は冷たくも悲しげだった。ひなのは眉をひそめながら、そっと問いかける。

「あなたは……どうして、そんな姿に?」

「癒すことに意味があると思っていた。だが、救えなかった者たちの想いは、やがて闇になった……私自身が、そうだったんだ」

ソエルの言葉が終わる前に、瘴気が一気に広がる。リオがひなのの前に立ちはだかり、リンネが弓を構える。

「戦うしかない!」

「ひなの、希望の種を核に投げ込め! 俺たちが時間を稼ぐ!」

悠翔が叫び、リンネが矢を放ち、リオが剣を振るう。だが、影は触れた者の想いを吸い取り、攻撃を鈍らせる。

「ぐっ……なんて重い闇だ……!」

そのとき、ひなのの胸で薬瓶が震えた。仲間の想いが、彼女の調合に共鳴し始める。

> 【想いの共鳴 Lv.MAX】 ・希望の種が最終進化! ・効果:影の核を浄化+想念浄化フィールド展開



光が爆ぜ、ひなのの手の中に浮かび上がったのは金色の種。温もりとともに、言葉にならない感情が宿る。

「これは……皆の想いが込められた光……!」

ひなのは全力で駆け出した。影が彼女に襲いかかるその瞬間、悠翔が立ちはだかり、リオが剣を投げた。

「ひなの、行けーーーッ!!」

リンネの矢が風を切り、影の中心を貫く。その隙に、ひなのは「希望の種」を高く掲げた。

「みんなの力を、ここに!!」

光の種が核に届いた瞬間、空間が弾けるように震えた。

爆発的な閃光の中、影が悲鳴を上げる。黒泥が音もなく崩れ落ち、瘴気が霧散していく。

ソエルの影は静かに立っていた。だが、その姿はすでに半透明だった。

「……癒された……のか……私は……」

「ええ……これが、あなたが目指した“癒し”なんです」

ひなのの声に、ソエルはゆっくり微笑んだ。初めて見る、安堵の表情だった。

「ならば……私の記憶を、お前に託す」

そう言い残し、ソエルの影は光の粒となって消えていった。

直後、核が完全に崩壊し、広間に春のような光が差し込む。

地面に小さな芽が芽吹き、鳥のさえずりがどこからか聞こえてくる。

「……終わったんだね」

ひなのが呟いた。

「いや……始まりだ。お前が新しい“癒し”の種を蒔いたんだ」

悠翔が肩を並べ、そう言った。

リオとリンネが駆け寄ってきて、4人は静かに広間の中心で手を重ねる。


---

【イベント完了:影を払う光の種】 ・影の核の完全浄化に成功 ・ソエルの魂を救済、知識の欠片を継承 ・新スキル「調合:共鳴」発現 ・牧場地帯への瘴気完全除去

【次の目標】 ・崩れゆく記憶の地から脱出し、新たな春へ――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

処理中です...