異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ

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第9章 最後の大収穫

第86話「知られざる来訪者と、始まりの真実」

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村に商人が訪れてから数日。
悠翔たちは慎重ながらも交易の準備を進め、畑では冬野菜の育成と保存処理が急ピッチで行われていた。

「ほら、ひなの、こっちの大根はもう収穫していいよ」
「はーいっ! お兄ちゃん、これ見てー! おっきい!」

ひなのが両手で抱える大根に笑いながら駆け寄ってくる。

「上手に育ったね。ひなのの水やり、ちゃんと届いてたんだ」

「えへへ~♪」

悠翔は優しく頭を撫で、顔を上げた瞬間、村の門近くで見慣れぬ人影を見つけた。

(……あれは?)

細身のローブを羽織った青年が、門番と何やら話している。

「あれ……カーライル商会の人じゃないな。誰かの紹介だろうか」

不安が胸をかすめ、悠翔はすぐにその場へ向かった。

***

門番のアランが言った。

「こちらの方が、“悠翔様にどうしてもお会いしたい”と」

青年は丁寧に一礼した。
「……初めまして。私は〈司書の民〉の者、エイネスと申します」

「司書の……民?」

悠翔は目を瞬いた。

それは遠い土地、失われた大図書都市に仕えていたとされる一族。
数百年前、国に滅ぼされ、いまやほとんどが消息を絶っていたと聞いていた。

「なぜ、僕に?」

「天城悠翔様。あなたの名前が、古き預言書に記されているからです」

「……!」

エイネスは静かに巻物を取り出し、紋章と古文で記された一節を読み上げた。

『—いずれ、緑の地を育む“異邦の子”が、瘴気を分かち、命の道を示す—』

「これが預言にある“異邦の子”であり、あなたがその該当者だと、我らは考えております」

悠翔は言葉を失った。

瘴気を退け、命を育てる……自分のしてきたことは、確かにその一節に重なる。

だが、それが「預言」と呼ばれるものと繋がっているとは思いもよらなかった。

「僕が……?」

「あなたにお伝えしなければならないことがあります。
 今、世界の“均衡”が揺らぎはじめています。あなたの生まれし“意味”と、“選択の道”について」

エイネスの眼差しは真剣で、何より静かだった。

「ひとまず、村で話を聞かせてください」

「もちろんです。……感謝します」

そうしてエイネスは村に迎え入れられた。

だがその晩、レオンとカイルが一通の手紙を携えて戻ってくる。

「悠翔、北の見張り台から急報が届いた。
 ……“黒雲”が再び、空に現れたって」

空に広がる不穏な影。
それは8章で退けたはずの瘴気とは異質なものだった。

悠翔は、ゆっくりと拳を握る。

(もしかすると、俺は……ただの農民じゃなかったのかもしれない)

幼き妹の笑顔と、村人たちの顔が浮かぶ。

自分にできることを。
今、目の前の命を守るために。

その決意が、再び世界を動かす歯車を回し始めるのだった。


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【イベントログ】

 イベント発生:
 ・“司書の民”エイネス来訪
 ・古文書の預言と“異邦の子”の言葉
 ・北の空に再び“黒雲”出現

 新情報:
 ・天城悠翔の名が預言に記されていた
 ・世界の“均衡”が崩れつつある

 次の目標:
 ・預言の全容を聞き出す
 ・黒雲の正体を突き止める
 ・村の防衛体制強化



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