84 / 138
81話『ふしぎな手紙と、カフェに現れた影』
しおりを挟む
ある日の午後、麻衣がカフェ「ブロッサム」で片付けをしていると、カウンターに小さな封筒が置かれているのに気づいた。
「……ん? これ、誰の?」
宛名も差出人も書かれていないその封筒。中を開けてみると、手書きのメモが一枚。
《スキル共鳴レベルが高い者に、次のステージが開かれる》
《“月の小径(つきのこみち)”にて、お待ちしています》
(……なにこれ。なんかのイベント?)
「月の小径」というワードに聞き覚えはない。けれど、スマホのアプリには見覚えのない通知が入っていた。
《新ロケーションが開放されました:月の小径》
(えっ、ゲームとつながってる……?)
その日の夜、家に帰ってから雄一にもその話をした。
「なあ雄一、“月の小径”って知ってる?」
「うーん……聞いたことないな。新しいカフェか、ギャラリーか?」
「たぶん、違うんだよね。スミレさんに聞いてみようかな」
翌日。
スミレさんと連絡を取ると、彼女からすぐに返事が来た。
《“月の小径”、開いたのね。それ、次の段階への案内状よ。選ばれた人にしか届かない》
「……なにそれ、ちょっとこわいけどワクワクする」
さらにスミレさんから続くメッセージ。
《ただ、そこには“試練”があるらしい。あまり無理はしないでね》
数日後の休日。
麻衣は指定された場所――閑静な住宅街の一角にある、古いレンガ造りの小道――に立っていた。
「月の小径」と呼ばれるその場所は、Googleマップには登録されておらず、まるで“そこだけ別世界”のように静かだった。
歩き始めると、まるで空気の質が変わったような不思議な感覚。
その先に、小さなベンチと、古びたポストが置かれているのが見えた。
(……ポスト?)
近づくと、ポストにはこう書かれていた。
《ここに、あなたの“スキル体験”を記した手紙を投函してください》
(えっ、そういうこと?)
麻衣は、手帳を取り出し、最近の出来事――
カフェでの共鳴、スミレさんとの再会、共鳴者交流会、そして雄一の変化――を一気に書き綴った。
書き終えて、ふうっと息を吐く。
「よし……」
そっと、ポストに手紙を投函した瞬間――
空気が、ふっと揺れた。
どこからか風が吹き抜け、小道にある木々がざわめき、足元に微かな光が舞った。
その光は、まるで花びらのように空へ舞い上がり――
《スキル進化条件達成》
《新スキル“心の羅針盤(コンパス・オブ・ハート)”が開放されました》
麻衣のスマホが、静かに鳴った。
その帰り道――
「……あれ?」
ふとした路地で、麻衣は見覚えのある人影を見かけた。
古びた帽子に、細身のシルエット。
そしてこちらを見て、微笑む女性――
「……スミレさん?」
だが、次の瞬間、すっと姿は消えていた。
(なんだったんだろう……)
そして家に帰ると、ポストに一通の封筒が届いていた。
今度は、宛名がしっかり書かれていた。
《田仲麻衣 様へ》
中には、一枚のメモと、シンプルな言葉。
《あなたは“つなぐ者”です。準備が整いしだい、次の扉が開きます》
麻衣は静かに、それを読み返した。
――見えないけれど、少しずつ世界が広がっていく。
その気配を、確かに感じながら。
---
「……ん? これ、誰の?」
宛名も差出人も書かれていないその封筒。中を開けてみると、手書きのメモが一枚。
《スキル共鳴レベルが高い者に、次のステージが開かれる》
《“月の小径(つきのこみち)”にて、お待ちしています》
(……なにこれ。なんかのイベント?)
「月の小径」というワードに聞き覚えはない。けれど、スマホのアプリには見覚えのない通知が入っていた。
《新ロケーションが開放されました:月の小径》
(えっ、ゲームとつながってる……?)
その日の夜、家に帰ってから雄一にもその話をした。
「なあ雄一、“月の小径”って知ってる?」
「うーん……聞いたことないな。新しいカフェか、ギャラリーか?」
「たぶん、違うんだよね。スミレさんに聞いてみようかな」
翌日。
スミレさんと連絡を取ると、彼女からすぐに返事が来た。
《“月の小径”、開いたのね。それ、次の段階への案内状よ。選ばれた人にしか届かない》
「……なにそれ、ちょっとこわいけどワクワクする」
さらにスミレさんから続くメッセージ。
《ただ、そこには“試練”があるらしい。あまり無理はしないでね》
数日後の休日。
麻衣は指定された場所――閑静な住宅街の一角にある、古いレンガ造りの小道――に立っていた。
「月の小径」と呼ばれるその場所は、Googleマップには登録されておらず、まるで“そこだけ別世界”のように静かだった。
歩き始めると、まるで空気の質が変わったような不思議な感覚。
その先に、小さなベンチと、古びたポストが置かれているのが見えた。
(……ポスト?)
近づくと、ポストにはこう書かれていた。
《ここに、あなたの“スキル体験”を記した手紙を投函してください》
(えっ、そういうこと?)
麻衣は、手帳を取り出し、最近の出来事――
カフェでの共鳴、スミレさんとの再会、共鳴者交流会、そして雄一の変化――を一気に書き綴った。
書き終えて、ふうっと息を吐く。
「よし……」
そっと、ポストに手紙を投函した瞬間――
空気が、ふっと揺れた。
どこからか風が吹き抜け、小道にある木々がざわめき、足元に微かな光が舞った。
その光は、まるで花びらのように空へ舞い上がり――
《スキル進化条件達成》
《新スキル“心の羅針盤(コンパス・オブ・ハート)”が開放されました》
麻衣のスマホが、静かに鳴った。
その帰り道――
「……あれ?」
ふとした路地で、麻衣は見覚えのある人影を見かけた。
古びた帽子に、細身のシルエット。
そしてこちらを見て、微笑む女性――
「……スミレさん?」
だが、次の瞬間、すっと姿は消えていた。
(なんだったんだろう……)
そして家に帰ると、ポストに一通の封筒が届いていた。
今度は、宛名がしっかり書かれていた。
《田仲麻衣 様へ》
中には、一枚のメモと、シンプルな言葉。
《あなたは“つなぐ者”です。準備が整いしだい、次の扉が開きます》
麻衣は静かに、それを読み返した。
――見えないけれど、少しずつ世界が広がっていく。
その気配を、確かに感じながら。
---
90
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。
でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。
今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。
なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。
今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。
絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。
それが、いまのレナの“最強スタイル”。
誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。
そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。
奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!
よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
ギルド受付嬢は今日も見送る~平凡な私がのんびりと暮らす街にやってきた、少し不思議な魔術師との日常~
弥生紗和
ファンタジー
【完結】私はギルド受付嬢のエルナ。魔物を倒す「討伐者」に依頼を紹介し、彼らを見送る毎日だ。最近ギルドにやってきたアレイスさんという魔術師は、綺麗な顔をした素敵な男性でとても優しい。平凡で代わり映えのしない毎日が、彼のおかげでとても楽しい。でもアレイスさんには何か秘密がありそうだ。
一方のアレイスは、真っすぐで優しいエルナに次第に重い感情を抱き始める――
恋愛はゆっくりと進展しつつ、アレイスの激重愛がチラチラと。大きな事件やバトルは起こりません。こんな街で暮らしたい、と思えるような素敵な街「ミルデン」の日常と、小さな事件を描きます。
大人女性向けの異世界スローライフをお楽しみください。
西洋風異世界ですが、実際のヨーロッパとは異なります。魔法が当たり前にある世界です。食べ物とかファッションとか、かなり自由に書いてます。あくまで「こんな世界があったらいいな」ということで、ご容赦ください。
※サブタイトルで「魔術師アレイス~」となっているエピソードは、アレイス側から見たお話となります。
この作品は小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる