普通のJK、実は異世界最強のお姫様でした〜みんなが私を殺したいくらい大好きすぎる〜

セカイ

文字の大きさ
392 / 984
第6章 誰ガ為ニ

76 母のありがたみ

しおりを挟む
「おっかえり~アリスちゃーん! ご飯にする? お風呂にする? それともぉ~お・か・あ・さ・ん?」

 家に着いて玄関を潜るなり、お母さんがリビングから飛び出てきた。
 帰りが遅くなったことを咎めるそぶりも見せず、いつもと変わらないハイテンションで出迎えてくれた。

 両手を広げてニコニコと笑うお母さんを見た瞬間、今日あったことへの緊張や不安がぶわっとほどけた。
 全てを放り出して何もかもを委ねたい気持ちに駆られて、私は靴を脱ぎ散らかしてお母さんに飛びついた。

「お母さんにする……!」
「あはは~素直な子は好きだよぉ」

 子供のようにお母さんの胸に飛び込んで、力の限り抱きついた。
 お母さんはそんな私を笑うことなく、ふんわりと優しく、でも目一杯力強く抱きしめてくれた。

 冷えていた体も凝り固まっていた心も、お母さんに抱きしめられることであっという間に温かく緩む。
 じんわりと心が満たされて、安心感が私を包んだ。

 きっと、この世で母の腕の中ほど安心できるものなんてない。
 今の私はそう思わずにはいられなかった。

 私を巡る様々な非現実的トラブルも、命を狙われている恐怖も、沢山の悩みだって。
 何も解決はしていないけれど、でもただこうしているだけでとっても心穏やかになるんだから。

「よしよし。大丈夫、アリスちゃんは頑張ってるよ。お母さんはちゃーんと知ってるからね」

 強く強く私を抱き締めながら、お母さんはとっても優しい声で言った。
 お母さんの柔らかさに抱かれて、ふんわりと良い匂いに包まれて、優しい声に和まされる。
 改めて、お母さんのことが大好きだって、そんな気持ちでいっぱいになった。

 しばらくそうやって抱きついていて、それから一緒に晩ご飯を食べた。
 帰ってくるなり甘えまくった私に、お母さんは特に何も聞いてはこない。
 普通に取り留めのないお喋りをしながら、思えば久しぶりの二人での食事を楽しんだ。

 お母さんが作ってくれたホワイトシチューは、じゃがいもがいい感じにとろけていてとても美味しかった。
 温かいシチューをお腹いっぱい食べたことで、物理的にとても温まって、私はそこでやっと一息ついた。
 そんな私をお母さんはニコニコと眺めていて、ちょっとだけ気恥ずかしかったけれど、でもなんだか嬉しかった。

「ねぇねぇアリスちゃん! お母さんと一緒にお風呂に入ろうよ!」
「お、お風呂!?」

 私が晩ご飯の片付けをしている間にお風呂の準備をしていたお母さんが、元気いっぱいに台所に飛び込んできた。
 予想だにしていなかった申し出に戸惑っている私の腰にしがみついて、甘い猫撫で声をあげる。

「そうそうお風呂っ。お母さん、アリスちゃんと一緒に入りたいなぁ~」
「一緒って……もう子供じゃないんだからぁ」

 私のお腹に顔をすりすりしながら、まるで犬がしっぽを振るようにお尻をくねくね振るお母さん。
 そんなアホっぽい姿を見せられると、どっちが子供なんだかと思ってしまう。

 思えば、最後にお母さんと一緒にお風呂に入ったのはいつだったかなぁ。
 高校生になってからは、お母さんが長期出張に出かけるようになったのもあって、入ってない。というかそもそもこの歳で普通は入らない。
 中学生……いや、小学生の高学年くらいまでだったかなぁ。

 基本的に一人で入るようになったのは低学年の頃だったと思うけど、よくお母さんは浴室に乱入してきたからなぁ。
 具体的にいつだったか、記憶は割と曖昧だ。

「いいじゃんいいじゃん! 別にお母さんと一緒にお風呂に入るのは何才まで、なんて決まりはないでしょ? それにお母さんにとっては、アリスちゃんいつまでも可愛い子供なんだよぉ~!」
「んもう!」

 ぎゅうぎゅうとお腹に頭を押し付けてくるお母さん。
 そんなに私と一緒に入りたいとか、これじゃあ本当にどっちが子供かわかったものじゃない。
 家のお風呂でお母さんと一緒にお風呂に入るのは、少し恥ずかしくもあるけれど。
 でもあえて拒む理由もないし、ここは一緒に入ってあげようかな。

 そう思って小さく溜息をついた時だった。
 徐ろに私の腰から腕を放したお母さんは、体を起こすと私の脇腹辺りにそっと手を添えてきた。

「そ・れ・に~。可愛い娘の発育を、お母さんとしてちゃーんとチェックしておきたいしね」

 そう言うが早いか、指が脇腹からすうっと私の体を這い上がって、私の両胸を下からふわんと跳ね上げた。

「────ちょ、ちょっと何すんの!?」
「いやぁ~楽しみだなぁ~」

 慌てて体を離して胸を腕で覆いながら叫ぶ私に、お母さんは悪戯っぽく笑った。
 パチリとウィンクをしてペロリと舌を出す。とてもアラフォーの大人がやることとは思えない。色々と。

「じゃあお母さん先行ってるね~」
「あ! ちょっと!」

 私が文句を続ける前に、お母さんはひょいと身を翻した。
 ニコニコと楽しそうに笑いながら、ひらひら手を振って浴室まで足を進める。
 私、一緒に入るとはまだ言ってないのに。

 自由気ままに奔放に、お母さんは昔から変わらず自分のペースだ。
 でも、それを嫌だとか悪いとか思ったことはない。
 お母さんがそうやっていつも楽しく伸び伸びと振舞ってくれるから、私もつられて笑顔になってしまうんだ。

 お母さんのそんな無邪気さや自由さの恩恵を、私は沢山受けている。
 私に寂しい思いをさせないように、自分が甘えることで私を満たそうとしてくれているんだ。
 それがわかってしまうから、ちょっとした無茶振りや気恥ずかしさがあっても、付き合ってあげようって気になってしまう。

 まったくもぅと溜息をつきつつ、私は手早く残りの片付けを済ませた。
 あまり待たせるのもよくないと、着替えを取りに二階の自室に向かった時だった。
 下からお母さんの、びっくりするような大きな声が響いた。

「アリスちゃんの着替えのパンツとブラジャー、もう持ってきてあるよー! お母さん好みのねぇ、白い清純派なやつー!」
「ちょっと、もうやめてよーーーー!!!」

 良いところ、大好きなところ、感謝してるところは沢山あるけれど。
 でも、素でこういうところがあるから、参ってしまう部分もあるんだよなぁ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...