推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

50 ネヴィルside

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いつも笑ってる方の兄が公爵になるとか言う心底どうでもいいパーティが終わって日常?俺からしたらつまんないクソみたいな日が続いたある日、いつも笑ってる方の兄、クラウスが俺を訪ねてきた。


「そろそろネヴィルに剣術、魔法、学問、マナーを本格的に学んでもらおうと思っていてね。剣術、魔法の先生はネヴィルが選んで欲しい。他は僕が選ぶけどなにかあるかな?」

バサッと大量の資料?よく見たら顔となんか色々書かれてる。自己紹介カードのようなものを大量に目の前の机に置かれた。
文字読めないからこんなことされても困る。


「全部クラウス兄様が選んだらいいと思うんだけど。」


そう下から覗き込めば相変わらず薄ら笑いを浮かべた兄がいる。ほんと何考えてんのか分かんない。この顔で怒ってたりすんのかな。


「僕も自分で魔法と剣術は選んだからネヴィルも選んで。この中にいないならネヴィルの故郷の冒険者でもいいよ。でもその時はテストをする。僕とテオが認めたならそのまま教師となってもらう。いいね。」

生半可な人間にシルヴェスターが学ぶことは無いからね。と付け加えられた。なにがシルヴェスターだ。向こうの島国にいた方が長いのに。
それに俺はこの国の言葉喋れないし。

俺に任せてくれた従者も母国の言葉が話せるから困ってない。でも笑わない方の兄はカタコトで苦手そうだ。こっちのいつも笑ってる兄の方は流暢どころか俺が使う汚い言葉まで知ってた。

正直人間離れしてて気持ち悪い。

「テオ兄様は?」

「歳が近いから僕らと同じ先生だよ。でも僕は直ぐに冒険者の先生に変えたから一緒に訓練した時間は少ないかな。」

冒険者?
本当にいいのか?それなら孤児院から冒険者になった兄と姉たちがいい。強いって聞いたからもしかしたら受け入れてくれるかもしれない。


「どんな方法で決めればいい?」


「自分がどんな魔法士や剣士になりたいか考えて。騎士と剣士なら学ぶことは違う。宮廷魔法士と冒険者の魔法士も学ぶことは違う。実戦型?それとも知識を深めたい?それとも美しい魔法や剣術を作りたい?大魔法を学びたい?色々あるよ。ネヴィルが何がしたいかを考えること。自分で考えてみな。じゃあまた、夕食の時間にね。」


そう言うだけ言って席を立った。マナーで習ったけど一口も出したものに口をつけないのは無礼なんだって。
あの兄貴一口もラージャが出した紅茶に口を付けなかった。

あの人が知らないわけがない。
信用してないもしくは実績を出せってとのなのかな。


「それ、飲む?」

「結構です。」

はぁ。こいつもこいつで愛想がない。大好きな走って遊ぶことも雑な俺の口調も食べ方さえも全部言いなり。
どれだけ嫌でも逆らえば生きていけない。

はぁ。つまんねぇの。


「マナーの教師って誰だろうなぁ。」

「伯爵家か侯爵家かのどちらかでしょう。前公爵様はお忙しそうですから。」

「母親だったりしてな。」

「あのお方が血の繋がりのない方のために動いたところは見たことがありませんね。」

そうだろうな。
家族以外の世話をするような人には思えない。ここはみんな個人個人好き勝手してる。唯一兄2人は仲良さそうだけどあまり一緒にいるところは見ない。
血は繋がってるのに誰も相手を見てない。ずっと心のどこかで欲しかった家族がこれだなんて…。
笑えねぇの。


それに比べて血が繋がってなくても孤児院は暖かかったなぁ。



「なぁ。アンタはさぁ。家族いんの?」

目を少しだけ細めた俺の従者のラージャ。
異国人なのは見た目からわかるけどよくあのプライドの高そうな兄が雇ったよな。

「はい。ずっと遠くに。海の向こうに俺を待ってくれてます。」


「俺の家族も海の向こうだよ。同じだな。」


ほんの3ヶ月前に戻りたい…。

「先生は冒険者でもいいって言ってたよな。浮雲って冒険者グループの情報集めてくんね?」

「かしこまりました。」


これで俺の兄や姉に会えるかもしれない。
自分で強いって自画自賛してたからどこまで強いか分かんねぇけど。











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