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12歳《中等部》
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しおりを挟む結局パーティに伯父上は来なかった。
来た人数を見た感じまぁまぁって感じだ。半々ってところだろう。
まぁどう見ても第1皇子は皇族の象徴である光魔法を濃く継いでるのはルディ。しかも未来を覗ける光魔法を使えるのは数代ぶり。とんでもない才能を持ってる。そんな第1皇子に僕が着いたんだ。もっと増えてもいいと思ったけど…子供なのがいけないのかなぁ。
「クラウス様。代替わりおめでとうございます。」
「ありがとうございます。男爵。まだまだ未熟者なのでこれからもよろしくお願いしますね。」
媚びは売らなくていいくらいの成功者。
でも手放すには惜しい成功者。
頭いいんだろうなぁ。頭もいいし賭けるところでは賭ける判断ができる人。手放せないね。
「そういえば男爵の領地は東では?今年も良い穀物が取れると良いですね。」
「よくご存知で。小さい領地ですが、一角でベリーでも植えようかと思っているんです。」
ベリー?成功すれば特産品か。いいんじゃないの?
ここで口にするってことは上手くいく確証もあるんだろう。頑張ってね。
「その時はテオのカフェで使わせてください。」
テオが要らないなら僕がカフェでも開こうか。チョコだけじゃなくて色んなケーキを作ってもいいし。ベリーならドライフルーツとしても人気出そう。栄養食や口直しとして売れば冒険者にも売れるだろうしね。
「はい。喜んで。」
「良い話が聞けました。では、パーティを楽しんでくださいね。」
あの領地は使えるな。当主も頭がいい。もしその周りも使える親族がいるならルディの補佐官としてとってもいいかも。
「クラウス様。」
「お元気そうで何よりです。」
ニコッと父様仕込みの微笑みを向ける。これだからパーティの主催者はしたくない。明日は表情筋釣ってるかも。
▽
▽
そろそろかな。父様に話しかけてフロアの裏に回るように指示を出す。テオ、はちゃんと義母様とネヴィルの横にいて頷いてくれた。
ほんと……もう!!!
息を押し殺して僕もテオ様に微笑みかける。ここで口開いたら多分叫んでた。可愛いし頼りになるしもうテオ様の存在に口出すのが間違ってる気がしてくる。
僕の金だけ目当てにしてくれたらいくらでも稼いでくるのにさ。一周まわってそういう口座通帳みたいな存在になりたい。
振り向いた時父様がなんとも言えない苦虫を噛み潰したような顔してた。なに。文句あるの?テオ様が可愛いのは決まってることなんだけど?世界の決まりなんだからね。
「なんですかその顔。早く行きますよ。」
「いつの間にそんな仲になった。」
なんの事?僕とテオ様はいつも仲良いけど?
喧嘩したことないんだからね。義母様みたいに感情で話さないから話し合いとかなら何度かあったけどそれだって喧嘩じゃないもん。ちゃんと同意して決めてるもん。
「僕らはいつも仲良いですよ。テオは努力家で判断も早い。だからあの歳で事業を任せてるんです。」
「…まぁいい。」
なにがいいの?わけわかんない。
アルフレートがフロアのカーテンを上げて待っててくれてる。ここで今日から僕が公爵だって挨拶して、パーティ楽しんでね。って言えば僕の役目は終わりだ。
あとは簡単な挨拶回りと招待客が帰る時にバイバイ言えばいいだけ。仕事のうちにも入らない。仲良く見せるためにネヴィル達といるのもありかな。
まずは父様からの挨拶。
綺麗なのに優しく微笑んで父様は朗々とお礼を述べてく。パーティ来てくれてありがととか、短い間だったけど楽しかったとか。これからは陛下の近くで働きたいとか。まぁ色々。
陛下も皇后陛下も僕の母様も父様と同級生でそれきっかけで仲良くなったらしい。
元々婚約者候補だったのもあるかもしれないけどね。
それ含めても学校って青春の場なんだなって実感する。
おっと……次は僕の番か。
「まずは今日のパーティに来てくれてありがとう。━━━━」
父様と同じようなことを永遠と話す。これからはどうするのかとかどうしたいかとか。領収代理たちは今回ばかりはいない。そもそも僕がしたいことは本人たちに言ってるから来なくてもいいんだけどね。あの領主代理たちの中には平民の人もいる。
僕は認めてるし、クラウスと母様自体が実力主義なのもあって問題視はしてない。
でもほかの貴族は違う。そもそもテオ様みたいに平民を蔑視する方が多い社会。このパーティーには招けないよ。だからその分、お祝いとしてボーナスでも出してあげよ。
実力社会。僕とルディが目指す世界の在り方の一部。勿論すぐにできるとは思っていない。
まずは誰でも入れる学校の設立からだ。優秀なら僕らで引っこ抜けばいいし、優秀すぎて邪魔になるなら潰せばいい。そしてより良い繁栄する国を作り上げる。
僕はテオ様のために。
ルディはルディが讃えられる国民を作るために。
これも1種の利害の一致。
テオ様が幸せになるならかける価値があるってものだ。
「━━━━━━━━━━━━━━━そして今、この瞬間からシルヴェスター公爵となったクラウス・フォン・シルヴェスターだ。至らぬ所は多いと思うがよろしく頼む。」
テオ様のための国を作る第1歩。
父様は邪魔だ。だからどいてもらう。
今この時から僕がシルヴェスター公爵だ。
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