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1章 呪いの女
176話 息男
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「そんじゃ話す事話したし帰る」
スズナももう聞きたい事はなさそうなので帰宅をきりだした。
最初から俺を家にあげたくない雰囲気をめちゃくちゃ出していたので少し居心地が悪かった。
話はできるのだが、相変わらず嫌われてるからな。さっさと退散してやろう。
立ち上がり部屋の扉へ向かうとスズナも遅れて立ち上がりついてくる。
一応見送りはしてくれるようだ。
玄関先まで来たところで俺たちとは反対から小さな男児がこちらに駆け寄ってきた。
「ははうえー!
!?
だ、だれ・・」
男児は俺を見てギョッとした。
疑う余地もなくスズナの子供だ。
子供がいるとは聞いていたが実際目にして実感した。スズナはもう母親なんだな。
俺なんて結婚する気も起きないし子供なんて考えたことすらないのに。
スズナの子供なら俺もそれらしく挨拶しとかなきゃな。
小さな男児に向かい俺は片膝をついて首を垂れる。
それでも俺の視線の方が高いのだが。
不敬なら這いつくばろう。
「拙者、名をカタラギ タイガと申す者でござる。お初にお目にかかれて光栄にござる。
貴殿の母君とは旧知の間柄でござる。
何卒よろしくお願い申し上げるでござる」
「ござるー?」
「ちょっともう、止めてよ!様になってないって言ってるでしょ!」
スズナは俺が名乗り出した途端今すぐ止めろという面持ちだったが面白いのでそのまま名乗った。
「ジーク、この人の事は忘れてちょうだい、真似してもダメよ」
「酷いでござる!」
「ござるー?」
スズナは頭を抱えている。
おもしろ
「ジーク、部屋に居なさいと言ったのになんで出てきてしまったの」
「新しい魔法覚えたから母上に見てもらいに来たの!」
ジークは眉間に皺を寄せながら手を前に出して集中すると手の前には小さな水の球が浮かぶ。
「氷れ!」
幼児にしては気合の入った声を発したが、水は氷る事はなくそのまま床に落ちてしまった。
「あれー、さっきは出来たのに?」
ジークの失敗は魔法を使う者ならば誰もが覚えのある事だ。
物質のイメージ力、この場合は氷というものに理解が足らなかったのだ。
成功していたというのは何か魔法書でも見て氷の印象を感じていたのか、一度誰かに見せてもらったのだろう。
「ジーク、両手で皿を作ってみろ」
スズナの視線が痛いのでござる口調はやめた。
「え、うん」
ジークが言われたとおりにすると手の上に氷の粒が一つ落ちた。
「わあ!つめたい!」
「俺が出した氷の魔法だ。よく触って感触と冷たさを確認してみろ」
ジークは珍しいものを触るように氷を指で撫でまわし溶かしている。
「水はこの冷たさになれは氷る。凍った水は堅い。これをしっかりイメージしてもっかいやってみろ」
「うん!」
元気のよい声と共にまたジークが集中し水の球を作る。
「氷れ!」
魔力とイメージを込めた声と共に水の球は氷りことりと床に落ちた。
「やったー!見た、母上!」
「ええ、すごいわジーク。もう性質変化を覚えたのね」
ジーク幼児は見た目だと3歳ぐらいだろうか。こんな年齢から魔法の勉強をしているというのは感心する。流石貴族。
ジークは魔法を覚えた喜びで大変楽しそうである。
初めて魔法が使えた時の感動は誰でも覚えているだろう。
ジークはまだ魔法覚えたてで魔法が使えるというだけでなんでも楽しい時期だ。
「ジークは水属性なのか、俺と同じだな」
魔力を観察していれば勝手知ったる水属性だ。
魔力の印象は個人個人で異なるが、同じ属性なら判断ができる。
「それじゃ一つ俺の水魔法も見せてやろう」
こんな子供に張り合うのではなく、魔法の面白さを見せてやりたい。
そう思い魔法を発動した。
ジークの手前の床から水が湧き出て水球となりふよふよとゆっくり浮かび上がっていく。
さっきジークがこぼした水もついでに巻き込んで。
水球は浮かび上がるとすぐに中に青い光を放つ。
水球の揺れに合わせて中の光も揺らめき綺麗だ。
そのままゆっくりと俺の背よりも高い位置まで登るとキラキラと全て光に変わりマナへ変換されて消える。
一つを見届けると今度はさらに沢山の光を含んだ水球が周囲の床一面からぽこぽこと湧き出しでゆっくりと上昇していく。
玄関前は沢山の光で溢れて幻想的な空間に変わった。
「うわーー!!!」
ジークは感動してくれたようだ。
スズナや近くの使用人も見入っている。
ひとしきり続けたら一瞬で全ての水球をマナに変換し一際眩しい光に包まれて魔法を終えた。
ジークは言葉を無くして驚いている。
「楽しかったか?」
「うん!!凄かった!なんて言う魔法なの?」
「アドリブだからな、母君にでも教えてもらうといい。魔法は自由だ、楽しむことを忘れないように頑張れよ」
「うん!!!」
ジークは一層強い返事を返してくれた。
俺が言ったことなんてすぐ忘れるだろうが、この歳でそこそこ魔力もある。いい魔術師になれるだろう。
「やっぱり百花の弟と言うわけね・・。こんな大量の水球の魔法、私でも再現できないわよ」
「実は1つの水球の魔法を分割してアレンジしただけなんだ。全部同じ動きした出来ない。別々にも出来なくはないけど、姉ちゃんみたいには無理だな」
「なるほどね。やっぱりあの子は異常よね。
それにしてもあなたが水属性なのが意外だわ。あなたのご家族みんな珍しかったじゃない」
親父は重力、母ちゃんは雷、姉ちゃんは闇だ。
どれもあまり持っている人が少ないレアな属性だ。
重力なんて魔法学園の生徒でも過去に2人しかいなかったと言われるぐらい珍しい。
そんな家族の中では俺は平凡な水属性だった。
「そうだよな、でも俺は気に入ってるぞ。便利さなら一番だと思ってる」
「水魔法は身近なだけあって誰でもすぐに身につけられるから、水属性特有なものって少ないじゃない。ジークをどう伸ばしていくか悩むのよね」
「水魔法を自在に操る点ではやっぱり他の属性より勝るからな。俺は自分の周り10メートルぐらいは一瞬で自在に水球を出せるように鍛えた。あとは浄化の力が強いから掃除の家政魔法の覚えがいいぞ」
「それは領主を継ぐものとしてどうなのよ」
掃除洗濯浄化これらの魔法をしっかり覚えたらめちゃくちゃ便利なのになかなか共感されない。
使い慣れていないと普通にするよりも手間なのでそのイメージが強いのだ。
「領主だって自分で家事までさっさとできれば使用人の数も減らせて良いだろう。あとやる事やった後の片付けが一瞬だぞ」
「あなたに聞いて間違いだったわ。参考にはなったけど」
「そんじゃ今度こそ帰る。邪魔したな」
今の一言でスズナのはよ帰れ圧が強くなったので退散しよう。
「調べがついたらギルド経由で呼び出し入れるから」
「おう、頑張れよ」
「あなたもね」
お互い今後の健闘を励まし合い辺境伯屋敷を後にした。
スズナももう聞きたい事はなさそうなので帰宅をきりだした。
最初から俺を家にあげたくない雰囲気をめちゃくちゃ出していたので少し居心地が悪かった。
話はできるのだが、相変わらず嫌われてるからな。さっさと退散してやろう。
立ち上がり部屋の扉へ向かうとスズナも遅れて立ち上がりついてくる。
一応見送りはしてくれるようだ。
玄関先まで来たところで俺たちとは反対から小さな男児がこちらに駆け寄ってきた。
「ははうえー!
!?
だ、だれ・・」
男児は俺を見てギョッとした。
疑う余地もなくスズナの子供だ。
子供がいるとは聞いていたが実際目にして実感した。スズナはもう母親なんだな。
俺なんて結婚する気も起きないし子供なんて考えたことすらないのに。
スズナの子供なら俺もそれらしく挨拶しとかなきゃな。
小さな男児に向かい俺は片膝をついて首を垂れる。
それでも俺の視線の方が高いのだが。
不敬なら這いつくばろう。
「拙者、名をカタラギ タイガと申す者でござる。お初にお目にかかれて光栄にござる。
貴殿の母君とは旧知の間柄でござる。
何卒よろしくお願い申し上げるでござる」
「ござるー?」
「ちょっともう、止めてよ!様になってないって言ってるでしょ!」
スズナは俺が名乗り出した途端今すぐ止めろという面持ちだったが面白いのでそのまま名乗った。
「ジーク、この人の事は忘れてちょうだい、真似してもダメよ」
「酷いでござる!」
「ござるー?」
スズナは頭を抱えている。
おもしろ
「ジーク、部屋に居なさいと言ったのになんで出てきてしまったの」
「新しい魔法覚えたから母上に見てもらいに来たの!」
ジークは眉間に皺を寄せながら手を前に出して集中すると手の前には小さな水の球が浮かぶ。
「氷れ!」
幼児にしては気合の入った声を発したが、水は氷る事はなくそのまま床に落ちてしまった。
「あれー、さっきは出来たのに?」
ジークの失敗は魔法を使う者ならば誰もが覚えのある事だ。
物質のイメージ力、この場合は氷というものに理解が足らなかったのだ。
成功していたというのは何か魔法書でも見て氷の印象を感じていたのか、一度誰かに見せてもらったのだろう。
「ジーク、両手で皿を作ってみろ」
スズナの視線が痛いのでござる口調はやめた。
「え、うん」
ジークが言われたとおりにすると手の上に氷の粒が一つ落ちた。
「わあ!つめたい!」
「俺が出した氷の魔法だ。よく触って感触と冷たさを確認してみろ」
ジークは珍しいものを触るように氷を指で撫でまわし溶かしている。
「水はこの冷たさになれは氷る。凍った水は堅い。これをしっかりイメージしてもっかいやってみろ」
「うん!」
元気のよい声と共にまたジークが集中し水の球を作る。
「氷れ!」
魔力とイメージを込めた声と共に水の球は氷りことりと床に落ちた。
「やったー!見た、母上!」
「ええ、すごいわジーク。もう性質変化を覚えたのね」
ジーク幼児は見た目だと3歳ぐらいだろうか。こんな年齢から魔法の勉強をしているというのは感心する。流石貴族。
ジークは魔法を覚えた喜びで大変楽しそうである。
初めて魔法が使えた時の感動は誰でも覚えているだろう。
ジークはまだ魔法覚えたてで魔法が使えるというだけでなんでも楽しい時期だ。
「ジークは水属性なのか、俺と同じだな」
魔力を観察していれば勝手知ったる水属性だ。
魔力の印象は個人個人で異なるが、同じ属性なら判断ができる。
「それじゃ一つ俺の水魔法も見せてやろう」
こんな子供に張り合うのではなく、魔法の面白さを見せてやりたい。
そう思い魔法を発動した。
ジークの手前の床から水が湧き出て水球となりふよふよとゆっくり浮かび上がっていく。
さっきジークがこぼした水もついでに巻き込んで。
水球は浮かび上がるとすぐに中に青い光を放つ。
水球の揺れに合わせて中の光も揺らめき綺麗だ。
そのままゆっくりと俺の背よりも高い位置まで登るとキラキラと全て光に変わりマナへ変換されて消える。
一つを見届けると今度はさらに沢山の光を含んだ水球が周囲の床一面からぽこぽこと湧き出しでゆっくりと上昇していく。
玄関前は沢山の光で溢れて幻想的な空間に変わった。
「うわーー!!!」
ジークは感動してくれたようだ。
スズナや近くの使用人も見入っている。
ひとしきり続けたら一瞬で全ての水球をマナに変換し一際眩しい光に包まれて魔法を終えた。
ジークは言葉を無くして驚いている。
「楽しかったか?」
「うん!!凄かった!なんて言う魔法なの?」
「アドリブだからな、母君にでも教えてもらうといい。魔法は自由だ、楽しむことを忘れないように頑張れよ」
「うん!!!」
ジークは一層強い返事を返してくれた。
俺が言ったことなんてすぐ忘れるだろうが、この歳でそこそこ魔力もある。いい魔術師になれるだろう。
「やっぱり百花の弟と言うわけね・・。こんな大量の水球の魔法、私でも再現できないわよ」
「実は1つの水球の魔法を分割してアレンジしただけなんだ。全部同じ動きした出来ない。別々にも出来なくはないけど、姉ちゃんみたいには無理だな」
「なるほどね。やっぱりあの子は異常よね。
それにしてもあなたが水属性なのが意外だわ。あなたのご家族みんな珍しかったじゃない」
親父は重力、母ちゃんは雷、姉ちゃんは闇だ。
どれもあまり持っている人が少ないレアな属性だ。
重力なんて魔法学園の生徒でも過去に2人しかいなかったと言われるぐらい珍しい。
そんな家族の中では俺は平凡な水属性だった。
「そうだよな、でも俺は気に入ってるぞ。便利さなら一番だと思ってる」
「水魔法は身近なだけあって誰でもすぐに身につけられるから、水属性特有なものって少ないじゃない。ジークをどう伸ばしていくか悩むのよね」
「水魔法を自在に操る点ではやっぱり他の属性より勝るからな。俺は自分の周り10メートルぐらいは一瞬で自在に水球を出せるように鍛えた。あとは浄化の力が強いから掃除の家政魔法の覚えがいいぞ」
「それは領主を継ぐものとしてどうなのよ」
掃除洗濯浄化これらの魔法をしっかり覚えたらめちゃくちゃ便利なのになかなか共感されない。
使い慣れていないと普通にするよりも手間なのでそのイメージが強いのだ。
「領主だって自分で家事までさっさとできれば使用人の数も減らせて良いだろう。あとやる事やった後の片付けが一瞬だぞ」
「あなたに聞いて間違いだったわ。参考にはなったけど」
「そんじゃ今度こそ帰る。邪魔したな」
今の一言でスズナのはよ帰れ圧が強くなったので退散しよう。
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