オヤジ栽培〜癒しのオヤジを咲かせましょう〜

草加奈呼

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草木好子5

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 私は定年退職をして、安寧の日々を送っていた。
 隣にはもちろん…………

 植木さんがいた。
 私はずっと独り身だったが、植木さんがいるから寂しくない。

「それにしても、あなたがこんなに長生きするとは思わなかったわ」

 私は、椅子にもたれながら、植木さんに語りかけた。

「それは、好子さんが丁寧に育ててくれたおかげですよ」

「あら、嬉しい事を言ってくれるのね。
 私もね、感謝してるのよ。あなたは、私の命の恩人なんだから」

「恩人だなんて、大袈裟ですよ」

「本当の事よ。あの時あなたがいなければ、私は……。
 ふふ、昔語りをするなんて。私ももう年ね……」

 最初に植木さんが出てきた時は、彼の方がおじさんだったのに、今では私の方がおばさん……おばあさんと呼ばれてもおかしくない年齢になってしまった。

「…………ねえ、植木さん」

「はい」

「手を、つないでもらえる?」

「いいですよ」

 肘掛けの上に置いた私の手を包むように、植木さんは手をつないでくれた。

「あたたかいわね……。
 このまま、少し眠ってもいいかしら……?」

 独り言のように、ぽつり、ぽつりと言った。

「好子さん……?」

 私は眠ってしまい、植木さんの声はもう聞こえなかった。

「…………眠ってしまったようですね。
 おやすみなさい、好子さん」

 おやすみなさい……。
 今日も、いい夢が見られそうだ。


 ── 植木編 完 ──
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