24 / 40
土屋美雨6
しおりを挟む
「えっ、お父さん? やだなぁ、僕はサイですよ」
どこからどう見ても父だったが、父の姿をしたサイは、しっかりとプランターに埋まっていた。唯一違うのは、髪の色だろうか。
「い、いやいやいやいや、何成長しちゃってんの。この間まで、私と同い年くらいだったのに、成人しちゃってるよ。しかもお父さんだよ。どうなってんの、もうーー!!」
「もしかして、今の僕の姿は、美雨さんのお父さんに似ているんですか?」
「似ているどころか、本人がいるのかと思ったわよ! しかも、これ見て! 以前のサイも、昔のお父さんと似ているのよ! 一体、どういう事なの!? こんなに似る事ってある!?」
私は、先ほど見つけたアルバムを開いて見せた。
「本当だ、そっくりですね。まるで他人とは思えないです」
「だよね!?」
「美雨さんのお父さんって、今どうしてるんですか?」
「……わからないの。8年前に出て行ったきりで。なんで出て行ったかもわからなくて、もしかしたら不倫かも……なんて思っちゃったりして」
「お父さんとお母さんは、仲が悪かったんですか?」
「そんな事ないよ。家では仲良かった。でも、そういえばお父さん、あんまりお母さんと外に出たがらなかった。その時は、仕事で疲れてるからかなって思ってたけど……」
私は、そこで言葉を詰まらせた。
過去に、見た光景を思い出していた。
「でも私、見ちゃったんだ。お父さんが、女の人と歩いているの」
「その女性とはどういう関係か、訊かなかったんですか?」
「そんなの、怖くて訊けなかったよ……」
「美雨さん。これは、僕の勝手な憶測なんですが……」
「なに……?」
「美雨さんのお父さんは、もしかして人型植物だったのではないですか?」
「え……ええええええぇぇっ!?!?」
ちょっと待ってよ! なんか話が飛躍しすぎてない!?
お父さんは、ちゃんと人間だったよ!? 足もあったし!
憶測がぶっ飛びすぎてるよ!!
「僕に似ていて、お母さんと外に出たがらない……。状況証拠でしかありませんが、そう思ったんです。それに、時々あるみたいなんです。人型植物が人間に憧れて、実際人間になってしまう事が」
「ええっ!? じゃあ、サイも人間になろうと思えばなれるの?」
「僕は無理です。人間になるには、同じ姿の人間の遺伝子をもらわなければいけないんです。ただ、その多くは”失敗作“として回収されてしまいます。僕は、回収されるのは嫌なので、このままでいいです」
サイは、空気を重くしないよう配慮してくれてるのか、苦い笑みを浮かべた。
う、うーん……。
なんか、よくわからないけど複雑……。
お父さんが人型植物……?
これって、お母さんも知ってるの……?
ええい、仕方がない。
お母さんが帰ってきたら、思い切って訊こう!
「ただいまー」
帰ってきた!
「あれ、美雨ー? 部屋にいるのー?」
「お、お母さん、おかえり。今日は早かったんだね」
「あら、サイ君のところにいたの? いつもサイ君が寝てる時間にしか帰って来れないから、私も顔が見たいわ。サイくーん♪」
母は、すぐにサイのところへ向かってしまった。
「わ、わー! 待って、お母さ……!」
「ただい……ま……」
一瞬だけ、母が固まった。
そりゃあ、そうだよね、私でも驚いたもの……。
「おかえりなさい、お母さん」
サイは、いつものようににこやかに出迎えたが、
「た、た、竹男さんっっ!?」
「お母さん、僕は……」
「この……8年もどこへ行ってたんじゃあーーーー!! 歯ぁ食いしばれーーーー!!」
母は、サイに殴りかかろうとした。
「お、お母さん、落ち着いてー!」
「お母さん、僕はサイです!!」
「よくも……よくも私たちを捨ててくれたわね! ずっと……ずっと待ってたのよ……。なのに今更、何しに戻ってきたのよぉぉ!」
振り上げた手は力無く下ろされ、サイの服を掴み揺さぶった。
「お母さん……」
泣きじゃくる母を、大きくなったサイは包み込むようにして、ポンポンと頭を撫でた。まるで、本当に父が母を慰めているかのようだった。
『植物は、癒しの効果もあるのよ』
そう言った、着物のご婦人の言葉を思い出す。
サイが生まれてきたのは、母を癒すためだったのだろうか?
本当に、お父さんが帰って来たらな……
そんな淡い期待を、してしまった。
どこからどう見ても父だったが、父の姿をしたサイは、しっかりとプランターに埋まっていた。唯一違うのは、髪の色だろうか。
「い、いやいやいやいや、何成長しちゃってんの。この間まで、私と同い年くらいだったのに、成人しちゃってるよ。しかもお父さんだよ。どうなってんの、もうーー!!」
「もしかして、今の僕の姿は、美雨さんのお父さんに似ているんですか?」
「似ているどころか、本人がいるのかと思ったわよ! しかも、これ見て! 以前のサイも、昔のお父さんと似ているのよ! 一体、どういう事なの!? こんなに似る事ってある!?」
私は、先ほど見つけたアルバムを開いて見せた。
「本当だ、そっくりですね。まるで他人とは思えないです」
「だよね!?」
「美雨さんのお父さんって、今どうしてるんですか?」
「……わからないの。8年前に出て行ったきりで。なんで出て行ったかもわからなくて、もしかしたら不倫かも……なんて思っちゃったりして」
「お父さんとお母さんは、仲が悪かったんですか?」
「そんな事ないよ。家では仲良かった。でも、そういえばお父さん、あんまりお母さんと外に出たがらなかった。その時は、仕事で疲れてるからかなって思ってたけど……」
私は、そこで言葉を詰まらせた。
過去に、見た光景を思い出していた。
「でも私、見ちゃったんだ。お父さんが、女の人と歩いているの」
「その女性とはどういう関係か、訊かなかったんですか?」
「そんなの、怖くて訊けなかったよ……」
「美雨さん。これは、僕の勝手な憶測なんですが……」
「なに……?」
「美雨さんのお父さんは、もしかして人型植物だったのではないですか?」
「え……ええええええぇぇっ!?!?」
ちょっと待ってよ! なんか話が飛躍しすぎてない!?
お父さんは、ちゃんと人間だったよ!? 足もあったし!
憶測がぶっ飛びすぎてるよ!!
「僕に似ていて、お母さんと外に出たがらない……。状況証拠でしかありませんが、そう思ったんです。それに、時々あるみたいなんです。人型植物が人間に憧れて、実際人間になってしまう事が」
「ええっ!? じゃあ、サイも人間になろうと思えばなれるの?」
「僕は無理です。人間になるには、同じ姿の人間の遺伝子をもらわなければいけないんです。ただ、その多くは”失敗作“として回収されてしまいます。僕は、回収されるのは嫌なので、このままでいいです」
サイは、空気を重くしないよう配慮してくれてるのか、苦い笑みを浮かべた。
う、うーん……。
なんか、よくわからないけど複雑……。
お父さんが人型植物……?
これって、お母さんも知ってるの……?
ええい、仕方がない。
お母さんが帰ってきたら、思い切って訊こう!
「ただいまー」
帰ってきた!
「あれ、美雨ー? 部屋にいるのー?」
「お、お母さん、おかえり。今日は早かったんだね」
「あら、サイ君のところにいたの? いつもサイ君が寝てる時間にしか帰って来れないから、私も顔が見たいわ。サイくーん♪」
母は、すぐにサイのところへ向かってしまった。
「わ、わー! 待って、お母さ……!」
「ただい……ま……」
一瞬だけ、母が固まった。
そりゃあ、そうだよね、私でも驚いたもの……。
「おかえりなさい、お母さん」
サイは、いつものようににこやかに出迎えたが、
「た、た、竹男さんっっ!?」
「お母さん、僕は……」
「この……8年もどこへ行ってたんじゃあーーーー!! 歯ぁ食いしばれーーーー!!」
母は、サイに殴りかかろうとした。
「お、お母さん、落ち着いてー!」
「お母さん、僕はサイです!!」
「よくも……よくも私たちを捨ててくれたわね! ずっと……ずっと待ってたのよ……。なのに今更、何しに戻ってきたのよぉぉ!」
振り上げた手は力無く下ろされ、サイの服を掴み揺さぶった。
「お母さん……」
泣きじゃくる母を、大きくなったサイは包み込むようにして、ポンポンと頭を撫でた。まるで、本当に父が母を慰めているかのようだった。
『植物は、癒しの効果もあるのよ』
そう言った、着物のご婦人の言葉を思い出す。
サイが生まれてきたのは、母を癒すためだったのだろうか?
本当に、お父さんが帰って来たらな……
そんな淡い期待を、してしまった。
30
あなたにおすすめの小説
あやかし警察おとり捜査課
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。
しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。
反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる