剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第1章 学園編の物語

第45話 難癖つけられた(自業自得だろ)

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「…今なんて言った?」

フィオナは更に殺気を込めてこちらに威圧をかけてくる、ここに通っている普通の生徒達なら失禁か気絶しているだろう、

しかしクロウはリーゼ、ラピナス、ユーナの3人の家庭教師に加えてメイディの幼い頃からの指導と自分で鍛えた事により、おそらく聖騎士と対等に戦えるくらいには強くなったはずだ。

ステータスはあくまでもそのくらい強い程度
技術、戦術、感覚、直感、体格、様々な要素が加わる事でその差は簡単に覆る。

だからこそこの程度の殺気は文字通り「子供騙し」だ。

「平民を助けないといけないのですか?」

「ここでは差別は禁止になっているはずよ?」

「表向きの話だろ?そう言った差別がなくなるわけねぇだろ?」

実際の所差別は無くならない
肌の色、性別、言語、体格、見た目
これが自分と違うだけで差別は起きる。

学園の様なイジメもあるが、「やっぱり天才は違うな」も差別だ、どんな形であれ差別は生まれる、無くすことはできない。

「無くなるわ、私が来たのだからそうさせるわ」

「なら何故お前はリュークが虐められている姿を見ている俺を見ていた?」

「助けに行ったわ、そしたらミオ…でしたっけ?彼女が助けに行ったから戻ろうとしたら貴方を見つけたのよ」

「矛盾な事言ってんじゃねぇよ」

フィオナは言った『貴方が隠れてリュークな虐められている所を眺めていた時』と、それはつまり彼女も傍観者なのだ。

「お前はその前より先にいたんだろ?今更良い子ちゃんぶるなよ偽善者」

「……なんだと?」

「所詮王族も貴族を見下してんだろ?貴族が平民を見下す様に、言い方が変わっただけじゃねぇか?」

うん、かなり悪役貴族っぽい事を言えている
彼女の顔もどんどん怖くなっているし、そろそろ帰る頃だろう。

帰ると言うのは「貴方は話が通じない様ね」とか言って心底軽蔑する目でコチラを見ながら寮に戻る

と言う事だ。
そうすれば好感度は地に落ち、今後の活動もだいぶ楽になるだろう。

そんな風に思っていると、フィオナは白い手袋を投げて来た。

「…これは?」

「拾いなさい」

「うん…」

「…っ!?クロウ様!駄目です!」

「え?」

メイディが何かに気づいたようで慌てて拾わない様に言うが、時すでに遅く、クロウは白い手袋を拾ってしまった。

手袋はしばしば「戦い」と関連されるアイテムのようで、その他にも昔の欧米では、手袋を投げつけることが決闘の申し込みを意味し、その手袋を拾うことで決闘の受諾を意味するというような風習もあったそうです。

と、実はゲーム制作の中で言われていたのだが、ついうっかり忘れてしまった。
仕方ない事だもう16年も前の話だ、記憶も薄れていくのは仕方ない。

…が、

「拾ったわね、つまり私と勝負してくれるんでしょ?」

「…勝負?」

何故戦わないといけないんだ?勝手に怒って帰ってくれ、こちとら眠いんだ。

そんな事を心の中で思いつつ、フィオナの話を聞く。

「貴方は私の白い手袋決闘の申込み拾ったわね受け入れたわね?」

「…まぁ、拾えって言われたからな」

「そう、そして貴方は拾った、私との勝負を受けるって事なのよ?」

「そうなの?」

「はい、拾わなければ何もしなくても良かったのですが、…拾ってしまいましたから」

つまり、強制イベント、と言うことか、
今更「知らなかった」では済まされないだろう。

「それで?君はどうするんだい?泣いて謝るのなら特別に土下座で許してあげるわよ」

「絶対にヤダ」

「なら…決まりだね?」

もうここまで来てしまったら引く事は出来ない、仕方ないが彼女と戦うとしよう。

「ああ、それで勝負っていうのは?」

「すぐ近くに訓練所があるわ、そこで勝敗を決めましょう」

「わかった、メイディもついて来てくれ」

「かしこまりました」

こうして悪役貴族としての初陣が始まろうとしていた。
——————————————————————
続く

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