剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第1章 学園編の物語

第52話 悔しくて フィオナside

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~保健室~

「…っん」

「!」

目を覚ますとそこは見知らぬ天井だった、空が見えないと言う事は、ここは外ではないようだ。

「…ここは?」

「目を覚ましたか?」

声のする方に視線を向けると白衣を着た女性の人がコチラを見ていた。

「ベット…私ここで寝ていたの?」

「はい、クロウ様が貴女様をここまで運んで下さったのです」

クロウ?…ああ、あの公爵家の息子か、そう言えば私は彼に決闘を申し込んで負けたんだった。

「その彼は何処にいるの?」

「帰ると言っていました、わたくしは止めたのですが、言う事を聞いてくれなくて…」

彼は素直に話を聞く人間ではない、私だって屁理屈まがいの言葉で翻弄されて、煽られて、叩きのめされたのだ。

「そう…所で貴女は?」

「申し遅れました、わたくしの名前はユーナ、本日よりこの学園の先生になりました」

「ユーナ先生ですか…確か、この王都で診療所を開いていませんでしたか?」

王城で暮らしていた頃(と言っても数時間前まで暮らしていたが…)ユーナと言う腕の良い魔法使いがいると聞いた事がある、

彼女がそうなのだろう、しかし何故今になって先生になったのだろうか?

「はい、ですがわたくしの教え子が今日からこの学園に入学すると聞いたので、それに合わせてわたくしもここで教師として働こうと思いまして」

「教え子…ですか」

その教え子の為にわざわざ教師になるなんて…普通に凄い、一体どんな人なのだろうか?

「はい、ですが昨日と今日で変わってしまって…正直言って驚いています」

「昨日と今日で?」

たった1日で変わると言うのはどう言う事だろうか?性格か?体格か?骨格か?

「はい、昨日までは兎に角面白く、真面目な性格だったんですが、今日は他人に対して冷たくて、わたくしに対しても冷たかったんです」

「性格が変わったんですか?」

そんな事があり得るのだろうか?あり得るとすれば今まで本来の性格を隠して、入学を機に本来の性格に戻した、と言う感じだ。

「はい、わたくしは約8年の間家庭教師として働いていたのですが、彼はとても真面目で教えがいのある子だったんですが…」

「ですが?」

随分と長く話すなぁ、でも8年もの間教えていたのに、いきなり性格が変わったら戸惑うのも無理はない。

「彼が怪我をさせたのだから責任持って看病して欲しくて言ったのですが"関係ない"の一点張りでそのまま帰っちゃったんです」

「…え?」

それって…まさか…いや…でも、あり得ない、あんな奴がユーナ先生の教え子な訳がない。

「しかもわたくしに向かって"黙れ"って言ったんですよ?もう本当にビックリしちゃいまして…」

「それって…もしかして…」

「はい、フィオナ様と戦ったクロウ様です」

やっぱり…彼だったのか
しかしあの男が人格者な訳がない、あれは貴族の恥だ。

「そんな訳ありません、彼は私の事を侮辱しました、あんな奴を私は認めません」

「…しかし、昨日までは彼は本当に素晴らしい教え子でした、きっと何かあったに違いありません」

「あれが本性なんですよ、所詮彼もその程度の男なんです」

結局彼も他の貴族と変わらないのだ、公爵家の恥晒しと言われても否定は出来ないだろう。

「そんな訳ありません!」

「え?」

しかしユーナ先生はそれを否定した、しかし私は彼の昔の姿を見ていなし、彼の本性を見ている、あんな奴の為に否定するユーナ先生も不憫にしか思えない。

「クロウ様はそんな人ではありません!きっと何か理由があるんですよ!」

「そんなのありませんよ、あれが本性なんですよ、私はあんな奴を貴族として認めませんから」

ユーナ先生がどんなに否定しても、彼の本性を知る私は絶対に認める事はない。

「失礼します!」

そして私はユーナ先生にお礼を言って保健室から出る、そして必ず彼にリベンジを果たし、次こそは絶対に勝つ!

——————————————————————
続く
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