剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第2章 前途多難な1年目

第81話 また模擬戦 VS.シャル

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~訓練所~

剣術科の先生である『ラピナス』に許可を貰い、クロウはまた模擬戦をする事になった。

「…ゲームでもここまでワンパターンなイベントはないぞ?」

フィオナと2戦、ラピナスと1戦、どちらも白星を上げているが、本来は負けないといけないのだ。

悪役貴族のクロウは皆から嫌われるキャラクター、そして弱い癖に強者を嘲笑う性格の捻くれた人間だ。

(まぁ性格は捻くれているけどな)

生まれ持っての性格なのか、悪役貴族として役割を全うする為に作った性格なのかはもう彼には分からない。

けれど進み続けるしかない為、引き返す事も止めることも出来ない。

「だけど攻略キャラとこうやって毎回戦うのはおかしいだろ」

せめて起きるのは主人公であるリュークの方だろう、彼がこの世界の主人公で世界を救う勇者なのだ、それなのに彼ではなく自分の所に来るのはストーリー上よくない事だ。

「どうにかして歴史修正をしないとな」

何処かの国みたいに自分の都合の良い歴史に改編して捏造して嘘ついてそれを世界に堂々と言う様な頭のおかしい事はしたくない。

あくまでも本当の歴史にそって追体験の様にしていきたいのだ。

そんな事を言いつつ準備体操をしているとシャルがやって来る、どうやら自分の剣も持って来てくれた様だ。

「ラピナス先生は許可してくれた?」

「ああ、俺の剣技はラピナスの剣技を教えてもらって覚えた剣技だからな、それを見本に他の生徒に教えるそうだ」

シャルが剣を持って来る間にクロウは一応許可を得ていた、昨日の様に時間を無駄にする事なく、他の生徒達にも教えられるようにする、これならシャルと模擬戦をしても邪魔にならないだろう。

「そうなんだ、なら良かったよボクの剣技と君の剣技、どちらの方が腕が上か試してみようよ」

元々そのつもりで剣を持って来たのに何を今更そんな事を聞くのだろう?

「別に良いよ、授業の一環で君とは戦わないといけないんだから」

シャルに渡された剣を抜く、皆んなの知らない所で剣を舐めてステータスを1上げている為、日々のトレーニングに加えて、このバグの力でかなり強くなっているはずだ。

剣を抜いて、何故そう思ったのかは自分でも分からない、ただ鏡の様に反射して見える自分の顔が見えた瞬間にそう思ってしまったのだ。

「では2人とも準備はいいですか?」

「ああ」

「うん」

ラピナスが教師として認めてしまった以上、こちらとしてはやるしかない、別に断っても良いが、そうなると今度はラピナスが面倒臭い。

(そう考えると悪役貴族のクロウって結構すごいんだなぁ)

日本で暮らしていた頃の記憶のせいで良心の心と自制心が動いてしまい、中途半端なクソ野郎になっているが、原作のクロウはその歯止めがない。

「それでは、始め!」

「ハァァァァ!!!!!」

だからこそ彼は悪役貴族と言う主人公を目立たせる為に必要な要素に含まれ、そして用が済んだらみんなに捨てられたのだろう。

「…全く、立ち位置によってこうも変わるなんてな」

「な!?躱した!?」

悪役と言うのはそもそもそう言う役割だ、主人公や味方達が正義であり、それを正当化する為に作られる真逆の存在。

「なら…これならどうだい!!!」

「正義の反対はもう一つの正義、悪ではなくもう一つの正義真実

勧善懲悪の悪もいるが、悪には悪をたらしめる過去があり、今があり、目標があり、野望がある。

「っ!?たった2歩左に動いただけで全てを避けるのか!?」

「悪には悪の救世主が必要…だからこそ組織は強大で絶大」

圧倒的な恐怖支配であろうと、その恐怖を理解して従い軍隊にしてちゃんと動いているのが、本当に凄い。

「…俺もなれるのかな…悪役に、悪役貴族に…」

「さっきから何を言っているんだい!!!」

五月蝿うるさい」

さっきから考え事をしているのに邪魔をして来るシャルに薙ぎ払いを行う、すると彼女は『キャァァァ!!』と言いながら後方へ吹き飛ぶ。

——————————————————————
続くんです。


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