剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第2章 前途多難な1年目

第82話 VS.シャル 2

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「こら!クロウ様!ちゃんとぼくの剣技を見せてくれないと模擬戦の意味ないよ!」

「はーい…また悪い癖が出てしまった」

心の中で考えている事を口に出してしまう、メイディにそれで怒られたし、治そうとしているのに中々治らない。

アニメや漫画の様な所だと独り言をしても誰も聞こえてなかったり、『なんか言った?』と何かを喋ってはいたが具体的な内容は聞いていない事がある。

しかし現実世界だとそうもいかない、近くに何かを喋れば聞かれるし、運が良くて『何か言った?』だ、今後は特に気をつけよう。

「それで、お前はもう降参か?…えーと、名前なんだっけ?」

「シャルだ…それに降参なんてしない」

わざと名前を忘れたふりをして相手を煽る、こう言う時でしか悪役貴族らしい事が出来ないため、やれる時にやっておく。

「ふーん…まぁ授業にならないからもう少し頑張ってくれ」

「君って性格が捻じ曲がってるね、嫌われるタイプだよ!」

シャルは駆け出して剣を構える、型を作ってそれ通りに攻撃するのだろう、先程言った『授業』と言う単語が響いたのだろう。

「嫌われて結構だ、こんな俺でも側にいてくれる人がいるからな」

そう言ってメイディを見る、メイディはこちらを見て口パクで『頑張って』と応援してくれた。

もし彼女が裏切れば本当に外道に落ちるかもしれないが、その時はその時だ。

「そう、でもそう言う人もいつかは君に愛想を尽かすよ!」

「その時はその時に考えるさ、それに一度裏切った人間は2度と信じないって決めてるしね」

クロウもラピナスに教えてもらった型を使って応戦する、基礎を徹底とした構えと動き、才能だけで振るう剣ではなく、例えるのなら『凡人の剣』と言うに相応しい剣技だ。

「惨めだね、改心する人だって世の中にはいるのに」

「そうではない人も世の中にはいる、俺は昔女に裏切られた過去があるんでな」

「それは残念ね!」

「だからそれ以降は例え相手が後悔しようが惨めな末路を辿ろうが、裏切った時点で見捨てる事にしているんだよ」

対するシャルの剣は凡人と言うよりも生まれ持った才能が剣に伝わって来る。

動きも荒く、隙が大きく、その部分を才能と直感力が補っている感じだ。

「じゃあその性格を治したら?きっと裏切られないよ?」

「この性格は『その後』だ、裏切られた後に性格が捻じ曲がったんだよ」

(まぁ半分は嘘だけどな)

才能対凡人
普通に考えれば凡人が勝てるわけがない、しかし世の中にはこう言う言葉がある
『それによ……落ちこぼれだって必死で努力すりゃ エリートを超えることがあるかもよ』

「ふーん、ならボクが友達になってあげようか?」

「…は?」

つまり、凡人が剣を、基礎を、徹底的に、それこそ必死に努力する事で技術を学ぶことにより、エリートを才能を持つ人間を越える事ができるのだ。

「君の様な人を見捨てる程ボクは落ちぶれていない、それに君の剣は最高だ、ボクと一緒に上を目指してほしい!」

「…何故そうなる?」

とは言え、クロウは剣ぺろバグとゲーム知識を利用してステータスの底上げをしている最低最悪なクズな為、凡人の剣であり、基礎を徹底してはいるが、所詮は仮初の剣技だ。

本物には勝てない。

「君は環境が悪かった、なら良い環境で過ごせば君は変わる事が出来る、ボクには分かる」

「手のひら返しが凄いんだけど?さっき俺の事を惨めとか言わなかった!?」

「君の過去を知り、剣を知った、なら未来を、現在を変えれば君は惨めじゃなくなる!」

激しい打ち合いをしながら、周りの空気とは全く違う空気になりつつも生徒達はクロウとシャルの剣の打ち合いを勉強していた。

皆が求める徹底した凡人の剣と
皆が憧れる才能と素質で出来た剣
その2つの剣技が混じり合い、凄まじいものとなった。

——————————————————————
⚠️「」の言葉はクロウとシャルの話し
それ以外の所は周りの反応とクロウが昔聞いた知った話しをしています。
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