172 / 226
第3章 神の悪戯
第167話 もしもの世界があるから
しおりを挟む
~深夜~
パーティは盛り上がり、皆が楽しんでいる時
その主役であるクロウは席から外れて外に出る。
「………」
「クロウ様」
後ろから声をかけて来たのはメイディだった、メイディは不安そうな顔をしながらこちらに近づく。
「やはり、皆様おかしいですよね」
「ああ、3年ぶりなのは分かる、けどそれにしても歓迎の仕方がおかし過ぎる」
滅茶苦茶過保護でクロウちゃん大好き人間であるメフィナでも、どこか違和感を感じてしまう程の異常さだ、息子でもないメイドのメイディが気付いてしまう程のおかしさなのだ。
「…となると」
「そうだな、"魔王討伐"きっとそれだろうな」
魔王討伐、ゲームの中では主人公であるリューク目線で物語が進み、出発する時は家族が「気をつけて」と言う類いの言葉で終わる。
が、普通に考えて魔王と言う世界を滅ぼそうとする化け物相手に自分の子供達が前線に送られてしまうと言う事を考えればこうなっても仕方ないだろう。
「こんなのただの自殺行為だしな、絶対に勝てると言う確証も無く、魔王軍の数も物資も何もわからない状況だからな」
「そうですね、勇者がいるとしても"自分が死なない"と言う保証はないですからね」
ゲームの世界ならば例え死んでもセーブポイントで復活するし、負けたとしてももう一度挑む事が出来る。
しかし…
「死ねば終わりのこの世界で、自分の子供が戦地に行く…」
「例え名誉ある事だとしても、行かせたくないのが親心ですね」
そうではない親もいるが、クロウの家族はそうではないだろう、あそこまで露骨にアピールされれば嫌でも理解出る。
「とても好かれてますね"悪役貴族様"?」
「やめてくれ、もうそんなのが通用しない所まで来ている」
メイディの嫌味にクロウはそう答える
悪役貴族として、勇者であるリュークに断罪され、親に追放される、それがクロウの本来の末路
それをクロウは…いや、この世界は暇つぶしの為に変えた、変化を見たい神の力によって。
「今から振る舞えば俺は魔王討伐に行かなくても良いのなら振る舞うぞ?」
「無理ですね、そもそもクロウ様の悪役は悪役ではなく、痛々しいカッコつけのお人好しですから」
「それ本当にやめて、マジで泣くよ?」
「私の胸の中でですか?」
「しゃぶるぞ?」
「どうぞ?」
本当の事を言われて怒ったクロウはメイディに脅しをかけるが、メイディにとっては何ともないらしく、平然と答えられる。
「…やめとくわ、流石に実家で見られたら殺されるわ…俺が」
「でしょうね、そして私も追放されるね」
実際にはどうなるか分からないが、メフィナには小一時間捕まり、色々と聞かれるだろう。
「でも、いつかは話さないといけないよな?」
「そうですね、生きて帰って来れたら貴方の追放はもう無理になりますからね」
リュークもいつかはすると言っていたが、それも無理になった、出来るとするならば敵前逃亡の罪になるが、軍として行く限り逃げ道はないだろう。
「メイディを見捨てて、他の仲間を捨てて自分だけ助かる為に逃げるなんて…悪役じゃなくて、ただのクズだ」
「はい、悪役は裏切りますよね?」
「それも無理だろうな、勇者パーティにいるし、内通者として活動しようにも敵から誘ってくれないと」
こちらから行っても良いかもしれないが、行った瞬間に殺される可能性もある為、考えるのはよそう。
「…まぁ、もう良いさそんなもしもの世界の事を考えても仕方ない」
「ええ、クロウ様がやるべき事は1つ、魔王を倒し私と結婚する事です」
「だな」
メイディと話をして気分も大分和らいだ
そう思ったクロウはメイディにお礼を言うと屋敷の方へ向かって行く。
「さ、パーティはまだまだだ、主役の2人がいなくちゃ意味がないだろ?」
「はい、では戻りましょう」
そう言って2人は屋敷へと戻った。
——————————————————————
約20日ぶりの投稿…😭
パーティは盛り上がり、皆が楽しんでいる時
その主役であるクロウは席から外れて外に出る。
「………」
「クロウ様」
後ろから声をかけて来たのはメイディだった、メイディは不安そうな顔をしながらこちらに近づく。
「やはり、皆様おかしいですよね」
「ああ、3年ぶりなのは分かる、けどそれにしても歓迎の仕方がおかし過ぎる」
滅茶苦茶過保護でクロウちゃん大好き人間であるメフィナでも、どこか違和感を感じてしまう程の異常さだ、息子でもないメイドのメイディが気付いてしまう程のおかしさなのだ。
「…となると」
「そうだな、"魔王討伐"きっとそれだろうな」
魔王討伐、ゲームの中では主人公であるリューク目線で物語が進み、出発する時は家族が「気をつけて」と言う類いの言葉で終わる。
が、普通に考えて魔王と言う世界を滅ぼそうとする化け物相手に自分の子供達が前線に送られてしまうと言う事を考えればこうなっても仕方ないだろう。
「こんなのただの自殺行為だしな、絶対に勝てると言う確証も無く、魔王軍の数も物資も何もわからない状況だからな」
「そうですね、勇者がいるとしても"自分が死なない"と言う保証はないですからね」
ゲームの世界ならば例え死んでもセーブポイントで復活するし、負けたとしてももう一度挑む事が出来る。
しかし…
「死ねば終わりのこの世界で、自分の子供が戦地に行く…」
「例え名誉ある事だとしても、行かせたくないのが親心ですね」
そうではない親もいるが、クロウの家族はそうではないだろう、あそこまで露骨にアピールされれば嫌でも理解出る。
「とても好かれてますね"悪役貴族様"?」
「やめてくれ、もうそんなのが通用しない所まで来ている」
メイディの嫌味にクロウはそう答える
悪役貴族として、勇者であるリュークに断罪され、親に追放される、それがクロウの本来の末路
それをクロウは…いや、この世界は暇つぶしの為に変えた、変化を見たい神の力によって。
「今から振る舞えば俺は魔王討伐に行かなくても良いのなら振る舞うぞ?」
「無理ですね、そもそもクロウ様の悪役は悪役ではなく、痛々しいカッコつけのお人好しですから」
「それ本当にやめて、マジで泣くよ?」
「私の胸の中でですか?」
「しゃぶるぞ?」
「どうぞ?」
本当の事を言われて怒ったクロウはメイディに脅しをかけるが、メイディにとっては何ともないらしく、平然と答えられる。
「…やめとくわ、流石に実家で見られたら殺されるわ…俺が」
「でしょうね、そして私も追放されるね」
実際にはどうなるか分からないが、メフィナには小一時間捕まり、色々と聞かれるだろう。
「でも、いつかは話さないといけないよな?」
「そうですね、生きて帰って来れたら貴方の追放はもう無理になりますからね」
リュークもいつかはすると言っていたが、それも無理になった、出来るとするならば敵前逃亡の罪になるが、軍として行く限り逃げ道はないだろう。
「メイディを見捨てて、他の仲間を捨てて自分だけ助かる為に逃げるなんて…悪役じゃなくて、ただのクズだ」
「はい、悪役は裏切りますよね?」
「それも無理だろうな、勇者パーティにいるし、内通者として活動しようにも敵から誘ってくれないと」
こちらから行っても良いかもしれないが、行った瞬間に殺される可能性もある為、考えるのはよそう。
「…まぁ、もう良いさそんなもしもの世界の事を考えても仕方ない」
「ええ、クロウ様がやるべき事は1つ、魔王を倒し私と結婚する事です」
「だな」
メイディと話をして気分も大分和らいだ
そう思ったクロウはメイディにお礼を言うと屋敷の方へ向かって行く。
「さ、パーティはまだまだだ、主役の2人がいなくちゃ意味がないだろ?」
「はい、では戻りましょう」
そう言って2人は屋敷へと戻った。
——————————————————————
約20日ぶりの投稿…😭
52
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる