剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第3章 神の悪戯

第168話 家庭教師達との再会

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「お、クロウ戻って来たか」

「うん、主役がいなくちゃ意味ないしね」

父にそう言われて恥ずかしいけど今日の主役は自分だと言う自覚を持って話す、せっかく自分達の為にやってくれたのに参加しないのは酷すぎる。

「実はな、クロウにお客さんが来ているんだ」

「客?」

「ああ、もう直ぐ会えるさ」

父はそう言ってその場から離れる、きっとそのお客さんを連れて来てくれるのだろう。

「客って…誰だ?リューク達か?」

「今日は家族と会っている人達が多いでしょうしわざわざクロウ様の所へ来るとは思えませんが…」

メイディの言う通りだ、フィオナ達だって家族はいる、これから魔王討伐に行くのに別れの挨拶もせずにここに来る事なんてあり得ないだろう。

「となると本当に誰だ?俺に友達なんていないぞ?」

「リューク様がいると思いますが…まぁリューク様達を除けば確かにいませんね」

滅茶苦茶酷い事だが元々は悪役貴族を目指していたのはクロウ自身だった、だから失敗に終わったとはいえ友達はいないのだ。

いや、実際にはいるのだが、その友達にとはリュークの事で本当ならば絶対になってはいけない人物なのだ。

そんな事を話していると父はとある人物達を連れて来た。

「!?」

「…確かにお客様ですね」

来てくれたのは3人
クロウが学園に入学するまでの間家庭教師をしてくれたゲームのヒロイン達だ。

「久しぶりですね、クロウ様」

「ぼくは数ヶ月会えたけど他の2人は全然会えなかったもんね」

わたくしは会えましたよ?ただ性格が…ね?」

上から順番に
魔法の家庭教師 リーゼ•ベルタ
剣の家庭教師 ラピナス•ラハード
治癒の家庭教師 ユーナ•クリスティア

リーゼは魔法科を選択しなかった為攻略ルートに入らず自然と退場してしまい、ラピナスは魔王が復活するまでの間は剣技科の先生としてクロウ達を教えてくれた。

ユーナは保健室の先生として少しお世話になったが、あの頃のクロウは悪役を演じようとして厨二病を拗らせてしまった哀れな少年と言う認識を作ってしまったのだ。

「…先生達」

「お久しぶりですね、皆様、お元気でしたか?」

クロウが唖然としているとメイディが代わりに話を進めてくれた。

あたしは元気よ?魔法の先生として3年間色々な子達を教えて来たわ、でもクロウ様の様に小さい頃からあそこまで努力していた子はいなかったわね」

「ぼくも元気だったよ?クロウと戦えなくて寂しかったけど、魔王を倒した後ならいくらでも戦えるからね」

「ラピナス先生、魔王を倒したら多分卒業するから無理だと思うよ?」

リーゼは昔を思い出したのか、クロウを見て微笑みながら答えてくれた。

ラピナスは相変わらずだが、その相変わらずがクロウにとっては何よりも嬉しかった。

わたくしも本当は行きたかったんですが、断れてしまったので元気じゃないです」

「何故断られてしまったのですか?」

「此処を守る人達がいなくなるからだそうよ?出兵してそこを突かれてしまったら誰が兵士達の傷を治すの?って言われてね」

ユーナは治癒士として同行しようとしたらしいが、国の為に残されるらしい。

他の2人もきっとそうだろう、ヒロイン達と言うこともあり、実力はある、理不尽な事が起きない限り負けることはないだろう。

「だからこそ、わたくしは…いえ、わたくし達はクロウ様が出発する前に会おうと話し合いアイオ様の許可を得て此処に来たんです」

「なるほど」

3年間も会えなかったのに、魔王討伐に行ってしまったらもしかしたら2度と会えないかもしれない

それならば教え子の顔を一目でも見ようとわざわざ来てくれたのだろう。

本当にありがたいことだと、クロウは思う。

「ありがとう、わざわざ俺に会いに来てくれて、先生達のおかげで今の俺がいる、この恩は一生忘れない」

わたしからも言わせてください、本当にありがとうございます」

そう言ってクロウとメイディは頭を下げる、悪役貴族を演じる時の姿をユーナは見ている為、ラピナス、リーゼ以上に驚くが、それと同時に『やはり、本当の姿はこっちなんだな』と再確認することができた。

——————————————————————
続く

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