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第3章 神の悪戯
第169話 真実を打ち明ける
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「頭を上げてください、クロウ様」
頭を下げてお礼を言っているクロウとメイディにリーゼは優しく声をかける。
「リーゼ?」
「私達は別にお礼を言って欲しくて此処に来たわけではありません、ただ貴方様にもう一度会いたかったただそれだけです」
「そう言ってくれるだけでも有り難いよ」
クロウは悪役を演じようとし、孤立した人生を送るつもりでいた。
悪役に憧れるのも良い
クロウの様に歴史の為に演じるのも良い
(↑つもりで失敗してるけど…)
しかし普通に考えてそんな奴が好かれるなんて事は基本的にはあり得ないのだ。
悪役と言うのは主人公を引き立たせる為に作られたキャラクター、どんな事をしても主人公が正しく、悪役は悪なのだ。
しかし第3者達は客観的に見て『実は違うのでは?』と思ったりする、
例えると
7つの玉を集めるとどんな願いでも叶う
と言う作品では悪の帝王がいるが現実世界では理想の上司と言われたりする。
幽波紋と言われるのが初めて登場した作品では
『悪には悪の救世主が必要なんだよ』とか
『人は安心を得る為に生きている』
『金が欲しいとか結婚とか全て自分が安心するため』
と言い、まさに人間の本性の様な部分を言っていたりする。
「俺はとある理由で皆から嫌われる様な人物になろうとしていた、父さんや母さん、メイディ、リーゼ、ラピナス、ユーナ、俺にとっての大切な人達の事を無碍にしてな」
「その理由を教えてはくれないの?」
「…これを話したら本当に頭のおかしい子って思われそうで…だから言えなかったんだ」
ラピナスの言葉にクロウはそう答える
『実は異世界から転生して、この世界はゲームであり、これから起こることが分かる』
なんて誰も信じないだろう。
メイディにも「夢で未来を見た」程度の事は話だが、それを父親達に話してはいないのだ。
「この際ですからもう話されてはいかがですか?」
「良いのか?メイディ?」
「はい、もう夢とは全然違うのですよね?でしたらもう隠す必要もないと思いますよ?」
確かにメイディの言う通りだ、メイディには夢の話しは一通り話してある、つまり歴史が変わっている事も気づいているのだ、だからこそ変わってしまったのならもう話した所で歴史が更に変わる事なんてないのだから話したって問題はないとメイディは言ってくれているのだ。
「そうだな、俺の予知夢は外れてどんどんと可笑しな方向に行っている、だったらもう話しても問題ないよ」
「予知夢?」
クロウとメイディの言葉に母は反応する、母は父と同様に変わった姿は見ていない、しかし家庭教師達の言ってる事を信じればクロウは学園では性格が変わっていたのだと何となく分かったはずだ。
その理由が予知夢とは流石に頭を?にするだろう。
「うん、俺は学園に入学する前までずっと同じ夢を見ていたんだ」
「夢?」
「そう、学園生活における3年間の物語りを見ていたんだ」
リーゼが疑問を抱くと、クロウは学園での行動の理由を話し始める。
『夢で見た光景は実際に起きる予知夢の様なもので、その通りに進む事によって魔王を倒す事が出来る、その為に必要なのは主人公であるリュークとその仲間達の絆を深める為に必要な"悪役"…それが自分だった』
その後の末路も『両親には追放後に新しい子供が産まれてその子が跡継ぎとなり、自分は何処かの辺境で惨めに暮らしていく』と
「…とまぁこれが俺が変な事をし始めた理由、最初の3ヶ月は実際にその通り…に近い事が起きていたけど、そこからは…皆んなも知っての通りだ」
「魔王が蘇り、クロウ様が勇者パーティの1人に選ばれた」
「そして主人公…つまり勇者リュークが魔王を倒す、その為に必要な仲間達がメイディを含めたパーティって事で合ってますか?」
「ああ、本来は俺はいないんだけど、何故か入っているんだ」
ラピナスとユーナの話にクロウはそう答える、そして一通りの話を聞いた母がクロウの前に近づいて思いっきり顔を殴って来た。
「「「「「!?」」」」」
——————————————————————
人は皆安心の為に生きている
人間はだれしも現状から逃げ出したい欲求がある。
心臓が止まれば死ぬ、
動くのは死にたくないと言う本能が、
呼吸を止めれば死ぬ
自分で止めても死ねないと言う本能が、
何かの行動を起こす時、それは現在の状況のままではいけないという欲求が存在するからだ。
このままでは自分は生きていく上で危険な状況、不利な状況になるという不安、
食べたい、寝たい、など様々な欲求が人にはある。
それは食べなければ死ぬ、または不利な状況に陥る。
寝なければ死ぬ、または不利な状況に陥る、といった不安からの逃避。
そこから抜け出したい、脱却したいという現状打破の欲求からの行動。
つまり、我々は常に不安の中にいるのだ。
その恐怖がなければ行動にいたる動機がないし、
それがなければ動くこともない、行動することはないと言う事だ。
動くことがないということは、死ぬという事と同じだ。
我々は死ぬことを本能的に望んでいないし、生きることを本能的に望んでいる。
生きることは常に死と隣り合わせだ。
心臓が休憩した瞬間に人は死ぬ。
呼吸を止めれば5分~10分で人は死ぬでしょう。
我々はそこから逃げるために生きようとしているのだ。
それは言葉を変えれば安心を得るためであるというのは正しいと思う。
それが不安からの脱却、何かを得ようと行動する理由の1つだ。
例えそれが周りからは否定されようと、拒絶されようと、自分自身が安心する為に自らを悪と演じ、物語りの結末通りに進み、安心してこの作品が終わる事を信じて…
頭を下げてお礼を言っているクロウとメイディにリーゼは優しく声をかける。
「リーゼ?」
「私達は別にお礼を言って欲しくて此処に来たわけではありません、ただ貴方様にもう一度会いたかったただそれだけです」
「そう言ってくれるだけでも有り難いよ」
クロウは悪役を演じようとし、孤立した人生を送るつもりでいた。
悪役に憧れるのも良い
クロウの様に歴史の為に演じるのも良い
(↑つもりで失敗してるけど…)
しかし普通に考えてそんな奴が好かれるなんて事は基本的にはあり得ないのだ。
悪役と言うのは主人公を引き立たせる為に作られたキャラクター、どんな事をしても主人公が正しく、悪役は悪なのだ。
しかし第3者達は客観的に見て『実は違うのでは?』と思ったりする、
例えると
7つの玉を集めるとどんな願いでも叶う
と言う作品では悪の帝王がいるが現実世界では理想の上司と言われたりする。
幽波紋と言われるのが初めて登場した作品では
『悪には悪の救世主が必要なんだよ』とか
『人は安心を得る為に生きている』
『金が欲しいとか結婚とか全て自分が安心するため』
と言い、まさに人間の本性の様な部分を言っていたりする。
「俺はとある理由で皆から嫌われる様な人物になろうとしていた、父さんや母さん、メイディ、リーゼ、ラピナス、ユーナ、俺にとっての大切な人達の事を無碍にしてな」
「その理由を教えてはくれないの?」
「…これを話したら本当に頭のおかしい子って思われそうで…だから言えなかったんだ」
ラピナスの言葉にクロウはそう答える
『実は異世界から転生して、この世界はゲームであり、これから起こることが分かる』
なんて誰も信じないだろう。
メイディにも「夢で未来を見た」程度の事は話だが、それを父親達に話してはいないのだ。
「この際ですからもう話されてはいかがですか?」
「良いのか?メイディ?」
「はい、もう夢とは全然違うのですよね?でしたらもう隠す必要もないと思いますよ?」
確かにメイディの言う通りだ、メイディには夢の話しは一通り話してある、つまり歴史が変わっている事も気づいているのだ、だからこそ変わってしまったのならもう話した所で歴史が更に変わる事なんてないのだから話したって問題はないとメイディは言ってくれているのだ。
「そうだな、俺の予知夢は外れてどんどんと可笑しな方向に行っている、だったらもう話しても問題ないよ」
「予知夢?」
クロウとメイディの言葉に母は反応する、母は父と同様に変わった姿は見ていない、しかし家庭教師達の言ってる事を信じればクロウは学園では性格が変わっていたのだと何となく分かったはずだ。
その理由が予知夢とは流石に頭を?にするだろう。
「うん、俺は学園に入学する前までずっと同じ夢を見ていたんだ」
「夢?」
「そう、学園生活における3年間の物語りを見ていたんだ」
リーゼが疑問を抱くと、クロウは学園での行動の理由を話し始める。
『夢で見た光景は実際に起きる予知夢の様なもので、その通りに進む事によって魔王を倒す事が出来る、その為に必要なのは主人公であるリュークとその仲間達の絆を深める為に必要な"悪役"…それが自分だった』
その後の末路も『両親には追放後に新しい子供が産まれてその子が跡継ぎとなり、自分は何処かの辺境で惨めに暮らしていく』と
「…とまぁこれが俺が変な事をし始めた理由、最初の3ヶ月は実際にその通り…に近い事が起きていたけど、そこからは…皆んなも知っての通りだ」
「魔王が蘇り、クロウ様が勇者パーティの1人に選ばれた」
「そして主人公…つまり勇者リュークが魔王を倒す、その為に必要な仲間達がメイディを含めたパーティって事で合ってますか?」
「ああ、本来は俺はいないんだけど、何故か入っているんだ」
ラピナスとユーナの話にクロウはそう答える、そして一通りの話を聞いた母がクロウの前に近づいて思いっきり顔を殴って来た。
「「「「「!?」」」」」
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人は皆安心の為に生きている
人間はだれしも現状から逃げ出したい欲求がある。
心臓が止まれば死ぬ、
動くのは死にたくないと言う本能が、
呼吸を止めれば死ぬ
自分で止めても死ねないと言う本能が、
何かの行動を起こす時、それは現在の状況のままではいけないという欲求が存在するからだ。
このままでは自分は生きていく上で危険な状況、不利な状況になるという不安、
食べたい、寝たい、など様々な欲求が人にはある。
それは食べなければ死ぬ、または不利な状況に陥る。
寝なければ死ぬ、または不利な状況に陥る、といった不安からの逃避。
そこから抜け出したい、脱却したいという現状打破の欲求からの行動。
つまり、我々は常に不安の中にいるのだ。
その恐怖がなければ行動にいたる動機がないし、
それがなければ動くこともない、行動することはないと言う事だ。
動くことがないということは、死ぬという事と同じだ。
我々は死ぬことを本能的に望んでいないし、生きることを本能的に望んでいる。
生きることは常に死と隣り合わせだ。
心臓が休憩した瞬間に人は死ぬ。
呼吸を止めれば5分~10分で人は死ぬでしょう。
我々はそこから逃げるために生きようとしているのだ。
それは言葉を変えれば安心を得るためであるというのは正しいと思う。
それが不安からの脱却、何かを得ようと行動する理由の1つだ。
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