剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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第4章~魔王討伐~

第173話 シャルとの約束

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「…まさか皆んな同じ日に帰って来るなんて思いもよらなかったよ」

クロウはそう言ってフィオナ達を見る、相変わらず皆んなヒロインな為滅茶苦茶可愛いが、それよりも驚きが隠せなかった。

「悪いのかしら?」

「いや、悪くはないさ、ただこうも皆んな同じ考え方を持っていると少し怖いなって思って」

と、フィオナの言葉にクロウはそう返す。
確かに悪くはない、悪くはないのだ、同じ考え方を持っていると言う事は魔王を本気で倒そうと皆が考えていると言う事になる。

「怖い?」

「ああ、1人や2人ならまだしも全員だもん、同じ意志を持った仲間とは言え、帰る日まで一緒って言うのは少し怖いよ」

1週間と言う猶予がある、なら7日目ギリギリに帰って来ても良いのだ、それをせず1日だけ泊まって帰る、しかも全員が、それがクロウにとっては少し怖いのだ。

「気にしなくて良いよ、こう言う偶然だってあるもんだって」

「まぁ、実際にそうだから否定はしないけど」

シャルの言葉にクロウは頷く、確かに怖いと思っても
「いや、それはないだろ」

「なっとるやろがい!」

な事は本当は起きないのだが、実際に起きているのでこれ以上は言わないでおこう。

「兎に角、皆んな帰って来たって事はもう覚悟の準備はして来たって事だよな?」

「当然ですわ、そもそも今生の別れではないのですからわざわざ長くいなくても大丈夫ですわ」

と、クロウの問いにミオはそう答える。
ミオの言う通りだが、それを言えるのは流石としか言いようがない。

「私達には勇者様であるリュークがいるんです、負ける事はありませんよ」

「そうそう、それにクロウはボクとの約束があるんだから死ぬわけにはいかないよ」

フィオナとシャルは各々の帰って来た理由をクロウに話す、しかしフィオナは勇者がいるからと言うのは分かるが、シャルのクロウとの約束は理解出来ない。

「シャル、どう言う事だ?」

「どう言う事って、クロウは忘れたの?ボクとの約束」

クロウはシャルの言葉でどんな約束をしたのかを思い出そうとする、魔王が蘇った事で悪役貴族(を演じようとしていた)時代は短く、殆どが王国で暮らしていた為、イベントらしいイベントもなかった。

だから、約束らしい、約束なんて殆どなかった筈だ。

「約束………?」

「酷くない!?」

シャルはかなり落ち込むが、クロウ自身は本当に覚えていない、悪い事をしたと思っているが、思い出せない為、何も言えない。

「ごめんシャル…何だっけ?」

「ボクと付き合うって約束だよ!まだ学園にいた頃に約束したでしょ!?」

「…へ?」

シャルはそう言って『ほら、模擬戦の時の!』と更に詳しく教えてくれる。

「模擬戦の…って、もしかして俺が『1年以上経っても俺の事が好きだったら付き合ってやるよ』って言ってたあれ!?」

「滅茶苦茶詳しく覚えてるじゃん!!!」

確かにクロウは言った、しかしそれはシャルはヒロインでリュークと結ばれるキャラクターの1人だから攻略されるまでの間の言い訳としてクロウは考えていただけで、本当に1年以上待ってくれる何て思ってもみなかったのだ。

「そんな約束をしてたんだね」

「ボクと付き合って欲しいからね、告白出来る所も限られていたし」

フィオナの言葉にシャルはそう答える、学園内ではミオ達がいる為2人きりになる事はなく、授業が終わってもメイドのメイディがいる為クロウを誘う事も出来ない、だからこそ2人きりになれる模擬戦の時に告白したのだ。

「それで?クロウの答えは?」

「質問を質問で返すのは申し訳ないんだけど、シャルは俺の事が好きなのか?」

「勿論!」

「だったら答えはイエスだ、…(メイディとエムルには悪いけど)俺の事が好きで俺の約束を守ってくれた人の想いを無碍には出来ないよ」

クロウ自身も自分の事が好きな人が3年も待ってくれたのにそれを無碍にして断る事は出来ないと思っている、これがまだ『悪役貴族』を演じている最中なら断るし、それを使って最低な事をしただろう。

だけど今はそれをする必要がない為、自分の心を偽ってまでやる事はないと判断したのだ。

「え!?良いの!?」

「ああ、でも俺は正直シャルの事は良き仲間としか見れていない…だから今から恋人としてしっかりと見ようと思う…これからよろしく」

とクロウは言って手を差し出す、エムルが恐ろしい顔でコチラを見てくるが、取り敢えず今は無視する。

「うん!コチラこそよろしく!」

シャルは嬉しそうにクロウの手を握り、やっとシャルの恋路は報われたのだった。

———————————————————————
続く



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