剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

第4章～魔王討伐～

第197話 起死回生の一撃

「…ん？今何か言いましたか？」

「………」

クロウが言った小さな言葉を聞き取れなかった魔王ミロスはクロウに何を言ったのかを尋ねる。

「？…本当に死んでいるんですか？」

「………」

もちろんクロウは生きている、力尽きたと言うのは死んだと言う意味ではなく、疲れて動けなくなった、に近い。

「…彼の呼吸音は？」

「………」

耳を澄ませてクロウの呼吸音を聴く、息をしていれば生きている証拠だからだ。

「…呼吸がある…つまり、まだ生きている」

「………」

もうクロウに立ち上がる気力はない、けれど魔王ミロスはクロウを警戒する、彼は他の人達にはない『何か』があると直感が言っているのだ。

「貴方は害虫並みにしぶといですからね、ここで完全に息の根を止めておきますか」

そう言うと魔王ミロスは再び足を上げて頭を踏み潰そうと力を込める。

「死ね」

「…お前がな」

「な！？」

そして踏み潰そうと足を下ろした瞬間、後ろから声が聞こえた。

「お前は！？」

「ハァァァァァ！！！！！！！！！！」

「しまっ……ガハァ！？」

後ろを振り返ると、そこにはやられた筈の勇者リュークが立っており、魔王ミロス目掛けて剣を振り下ろす瞬間だった。

急な事で避ける事が出来ず、魔王ミロスはリュークの斬撃を喰らってしまう。

「な…何故、我は"斬られているんだ"！？」

「これで終わりだァァァァァァァァァ！！！！！」

肩から脇腹にかけて斬られており、そこから血飛沫が飛び散るが、リュークはそれでも攻撃をやめず、何度も何度も魔王ミロスを斬り続ける。

「ゴフッ！？…(何故だ！？奴のステータスはマイナス！ここまでのダメージを受ける筈ないのに！！！？)」

反転の能力を受けてリュークのステータスはマイナスになった、例え斬られたとしてもアブに噛まれるくらいの痛みくらいしかないのだ。

それなのに魔王としてのステータスを加味してもここまでの大ダメージを受けるはずがないのだ。

「お前を倒せるのは僕だけ…なら、この一撃で全てが終わる！！！！」

「グッ…調子に乗るなぁァァァァァァァァァ！！！！！」

魔王ミロスはリュークに反撃しようとしたが、あまりにもダメージが大き過ぎて上手く身体を動かす事が出来なかった。

「っ！？…しまっ…！！！？」

「ハァァァァァァァァァァァァァ！！！！！！！！！！」

心臓を一突きひとつき、クロウのように器用に動かす事も出来ず、魔王ミロスは心臓を貫かれる。

「ゴフッ…ガハァ！？…ゴホッ…ッ！！」

「終わりだァァァァァァァァァ！！！！！！」

剣を引き抜き血を振り落とす、剣についた血が、地面に『ビシャ』っとつく。

魔王ミロスは心臓を貫かれ、胸からは大量の血が流れ出る。

「か…回復を…」

「無理だよ、勇者である僕にやられたんだ、何をしても無駄だよ」

「ふざ…け…ないで…」

「ふざけてないよ、魔王を倒せるのは僕だけ…つまり、これから死ぬお前は何をしても意味がないんだ」

魔王ミロスのHP体力は0…いや、限りなく0に近い状態だ、そしてそれを0に出来るのは勇者であるリュークだけなのだ。

「だったら…！！！！お前を…殺すまでだァァァァァァァァァ！！！！」

「…そんな事、出来るわけないでしょ？」

リュークは魔王ミロスの拳🤛を躱す、そのまま魔王ミロスはゆっくりと前のめりになりながら倒れていく。

「…ふ…ふざけ…ない…でよ…こ…この我…が…」

ドシャッと顔から倒れていき、まわりに血を飛び散らせながら魔王ミロスは勇者によって討ち取られたのだ。

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァァァァ…」

リュークも体力が限界なのか尻もちをついて乱れている呼吸を整え始める。

「クロウ様…貴方のお陰で…勝てました…」

リュークは倒れているクロウに声をかける、聞こえているかどうかは分からないが、彼のおかげで勝てた事だけは伝えたかったのだ。

「まさか…そんなバグ技を使うなんて…チート過ぎますよ、それ」

クロウが力尽きる前にリュークに渡した能力は2つ
1つ目は『ダメージブースト』
受けたダメージを攻撃力と素早さに変換させる能力
2つ目は『リベンジブースト』
一度やられたキャラクターに全ステータスを渡し、体力を半分回復させる能力

「これがなかったら僕は…いや、僕達は死んでいた…本当に助かりましたよ」

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Q 何故リュークはクロウのバグ技を知っているのか

A クロウがリュークを助けた時に小さな声で話していたから

↓
「リューク…俺はあるバグ技を使ってお前が奴を倒せる様にする、それまでは何があっても動くんじゃねぇぞ？…いいな？」