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〜最終章〜 剣ぺろ伝説
第208話 2人で共に エムルside
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「決めたよ剣ちゃん、俺は…」
しばらくの間エムルは黙り込み、何回か深呼吸をしたのちにエムルは答える。
「…帰ろう、俺達の家に」
「分かった…それが君の選択なら」
クロウは指をぱちん と鳴らすとエムルが暮らしていた家は無くなり、残ったのは田中美波が暮らしていた家だけになった。
「…それじゃあ行こうか」
「うん!」
クロウはそう言うとエムルの手を繋いで自分達の家に向かった、今の家に向かう事も考えたが、それを選ぶともう2度とクロウとは会えない様な気がした為選ばなかったのだ。
「仲間には悪い事をしたかな…」
「それはしただろうな」
「え?」
「身体が動けない時もメイディ達が看病してくれていたのは知っているし、きっと今も懸命にやっていると思うよ」
クロウの身体はボロボロだった、普通だったら死んでもおかしくない程のダメージを負っていたのだ、それでも生きていたのは生命力が強かったからしかない。
「でも、本当に限界だったんだ…もし助かったとしても動く事は出来ない筈だ」
「……そう…だな」
あそこまで酷い状態なのにそれでもリューク達を守ろうと命懸けで戦った彼はまさに英雄と言えるだろう。
「だからミオ達には悪いけど俺は帰る事を諦めたんだ」
「…やめてくれよ、俺まで罪悪感が酷くなる」
2人は生きる事を諦めて逃げる事を選んだ、約束を破り、友を悲しませ、恋人を泣かせて2人は愛の逃避行…死逃げとはまさにこう言う事を言うのだろう。
「そうだな…でも俺達は選んだ、逃げる事を全てを忘れる事を…」
握る手が強くなる、家までは数メートルなのに何時間もかかったかの様に長かった。
「…みなちゃん、これから俺はドアを開ける、中に入ったらもう戻る事は出来ない」
「うん」
「中は別世界に繋がっている…俗に言う"あの世"だ」
「うん」
「そこからあのクソ女神が天国か地獄に連れてってくれる…筈だ」
「うん…ってクソ女神ってw」
クロウの唐突な悪口にエムルは笑ってしまう、仕方ないだろう先程まで真面目に話しをしていたのにいきなり女神の話になった途端クソ女神と馬鹿にしたのだから。
「クソ女神だろ、俺達は異世界転生をしたのは良いものの、結局はこんな辛い目に遭っているんだから」
「まぁ…そこは否定しないけど、結局前世よりも若くして死んじゃったしね」
エムルはそう言って苦笑いをする、クロウとエムルは前世と今世の年齢を合わせても50年くらいしか生きていないのだ。
「しかも前世6割、今世4割と言う微妙な感じでな」
「そう考えると確かにクソ女神だな」
「クソ女神だろ?」
確かにクソ女神だ、転生自体小説の世界の話しの為、それが自分の身に起きた時点でかなり運が良いのだろうが、それでも若いうちに2回も死ぬなんてある意味で運がない。
「どうする?また転生する事になったら」
「記憶が残るのなら剣ちゃんと一生一緒にいられるのなら俺は良い」
と、エムルは笑って答える、エムルにとってクロウは大切な存在だ、今回の様に前世の記憶と言うのがあるのなら大切な人と一緒にいたいと言うのは当然の話だろう。
「嬉しい事を言ってくれるな、俺、何股もしているクズ野郎だぞ?」
「俺が公認しているから良いし、元々ハーレム要素もあったから関係ない」
前世ならいざ知らず、今世は一夫多妻もOKなゲームの(世界と限りなく酷似した)世界、郷に入っては郷に従えと言う事だろう。
「それでもだよ、こんな俺を好きでいてくれる、だからこそ俺はあそこまで命を懸けて戦えたんだ」
「本当は?」
「悪役貴族が生きて主人公とヒロインが死ぬ展開なんて誰が喜ぶんだよ、死ぬなら俺だけで良いんだよ」
「…俺も死んだ?けど?」
もう自分達は死んでいるのだろう、と2人は考えており、だからこそこんな夢の様な世界にいるのだろうと思っている。
もしくは生死を彷徨っている状態で、今まさに死のうとしているのかもしれないが…
「…まぁ主人公は生きてるし大半は救えたし、みなちゃんは俺の側でいると言ったから」
「…言ったけど…まぁ1人じゃないから良いけど…」
そうやって不謹慎な事を言いながら2人は自分達が暮らしていた家の中に入っていく、そしてその扉が閉まったと同時に家は消えてなくなり、2人は遠い所へと旅立って行った。
———————————————————————
残された者達を置いて行って…
しばらくの間エムルは黙り込み、何回か深呼吸をしたのちにエムルは答える。
「…帰ろう、俺達の家に」
「分かった…それが君の選択なら」
クロウは指をぱちん と鳴らすとエムルが暮らしていた家は無くなり、残ったのは田中美波が暮らしていた家だけになった。
「…それじゃあ行こうか」
「うん!」
クロウはそう言うとエムルの手を繋いで自分達の家に向かった、今の家に向かう事も考えたが、それを選ぶともう2度とクロウとは会えない様な気がした為選ばなかったのだ。
「仲間には悪い事をしたかな…」
「それはしただろうな」
「え?」
「身体が動けない時もメイディ達が看病してくれていたのは知っているし、きっと今も懸命にやっていると思うよ」
クロウの身体はボロボロだった、普通だったら死んでもおかしくない程のダメージを負っていたのだ、それでも生きていたのは生命力が強かったからしかない。
「でも、本当に限界だったんだ…もし助かったとしても動く事は出来ない筈だ」
「……そう…だな」
あそこまで酷い状態なのにそれでもリューク達を守ろうと命懸けで戦った彼はまさに英雄と言えるだろう。
「だからミオ達には悪いけど俺は帰る事を諦めたんだ」
「…やめてくれよ、俺まで罪悪感が酷くなる」
2人は生きる事を諦めて逃げる事を選んだ、約束を破り、友を悲しませ、恋人を泣かせて2人は愛の逃避行…死逃げとはまさにこう言う事を言うのだろう。
「そうだな…でも俺達は選んだ、逃げる事を全てを忘れる事を…」
握る手が強くなる、家までは数メートルなのに何時間もかかったかの様に長かった。
「…みなちゃん、これから俺はドアを開ける、中に入ったらもう戻る事は出来ない」
「うん」
「中は別世界に繋がっている…俗に言う"あの世"だ」
「うん」
「そこからあのクソ女神が天国か地獄に連れてってくれる…筈だ」
「うん…ってクソ女神ってw」
クロウの唐突な悪口にエムルは笑ってしまう、仕方ないだろう先程まで真面目に話しをしていたのにいきなり女神の話になった途端クソ女神と馬鹿にしたのだから。
「クソ女神だろ、俺達は異世界転生をしたのは良いものの、結局はこんな辛い目に遭っているんだから」
「まぁ…そこは否定しないけど、結局前世よりも若くして死んじゃったしね」
エムルはそう言って苦笑いをする、クロウとエムルは前世と今世の年齢を合わせても50年くらいしか生きていないのだ。
「しかも前世6割、今世4割と言う微妙な感じでな」
「そう考えると確かにクソ女神だな」
「クソ女神だろ?」
確かにクソ女神だ、転生自体小説の世界の話しの為、それが自分の身に起きた時点でかなり運が良いのだろうが、それでも若いうちに2回も死ぬなんてある意味で運がない。
「どうする?また転生する事になったら」
「記憶が残るのなら剣ちゃんと一生一緒にいられるのなら俺は良い」
と、エムルは笑って答える、エムルにとってクロウは大切な存在だ、今回の様に前世の記憶と言うのがあるのなら大切な人と一緒にいたいと言うのは当然の話だろう。
「嬉しい事を言ってくれるな、俺、何股もしているクズ野郎だぞ?」
「俺が公認しているから良いし、元々ハーレム要素もあったから関係ない」
前世ならいざ知らず、今世は一夫多妻もOKなゲームの(世界と限りなく酷似した)世界、郷に入っては郷に従えと言う事だろう。
「それでもだよ、こんな俺を好きでいてくれる、だからこそ俺はあそこまで命を懸けて戦えたんだ」
「本当は?」
「悪役貴族が生きて主人公とヒロインが死ぬ展開なんて誰が喜ぶんだよ、死ぬなら俺だけで良いんだよ」
「…俺も死んだ?けど?」
もう自分達は死んでいるのだろう、と2人は考えており、だからこそこんな夢の様な世界にいるのだろうと思っている。
もしくは生死を彷徨っている状態で、今まさに死のうとしているのかもしれないが…
「…まぁ主人公は生きてるし大半は救えたし、みなちゃんは俺の側でいると言ったから」
「…言ったけど…まぁ1人じゃないから良いけど…」
そうやって不謹慎な事を言いながら2人は自分達が暮らしていた家の中に入っていく、そしてその扉が閉まったと同時に家は消えてなくなり、2人は遠い所へと旅立って行った。
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残された者達を置いて行って…
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