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第二章
14. 新しい小弓の完成とキスの余波
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「魔道具研究室のグラントから頼まれていたものが完成したから来てくれ、と伝言を預かったわよ。」
研究室に荷物を置いてから厨房へ行くとクロッカさんに声をかけられた。
「のびケーキのブラウニーもストックがあるからそんなに急いでないし、午前中は私とトトで大丈夫だから行ってきてもいいわよ。」
クロッカさんにそう言われて、ありがとうございます、と厨房を後にした。
「来たか。」
魔道具研究室の扉を開けるとグラントさんが待っていた。
「こっちに来てくれ。」
グラントさんはそう言うと、いつものように裏庭に私を連れて行った。森へ着くとグラントさんは手に持っていた小弓を渡してくる。小弓はもはや小弓ではなく、一端の魔具だ。形としては15cmと20cmの長さの筒状の鉄を真ん中より少し上でつなぎ【T】を左周りに90度回転させたような形をしている。
「おぉーっ。かっこいい!!」
「この上部に蓋がついているから、そこを開けて玉を入れる。グリップの真ん中の所にスイッチがあるから、ここを押せば玉が飛び出す仕組みになっている。」
「スイッチが3つありますけど、これはなんですか?」
「上が右カーブ、真ん中が真っ直ぐ、下が左カーブ。玉の軌道をスイッチで変えられるようにした。」
「おぉっ。」
「それで、希望していた周囲の魔力を取り込む機能だが、単純に世界で一番多い魔木、ザシャーを登録しておいた。小弓の底の部分に魔力を蓄えておける石を入れてある。それに空きがある時にザシャーの木が近くにあれば、石がザシャーの魔力を取り込むだろう。もともと魔力1でも扱えるようにしてあるから、取り込むと言っても大した量ではないけどな。」
「おぉっ、すごい・・・。」
「もちろん、自分の魔力を石に込めても使えるし、誰かに魔力を分けてもらっても大丈夫だ。」
「グラントさんって、すごく優秀な魔道具製作者さんですね。」
私がそう言うと、グラントさんは少しだけ微笑んだ。
「この、装飾もグラントさんが?」
小弓の鉄の部分にはツタのような模様が彫られており、シンプルながらも見事だ。
「あぁ、筒の型を作るときに少しな。自然界から魔力を貰うから、自然界へ敬意をと思って。」
「本当に凄いです。ありがとうございます。」
「礼は試し打ちをしてみてからだ。」
グラントさんに言われ、練習用の玉で何発か試し打ちをする。
片手で難なく打てるうえに、今までは直線的にしか飛ばせなかったものが右や左にカーブさせることも出来る。次に本物の眠り玉を入れて、鳥を狙ってみた。
カーブした玉で捉えることはまだ難しかったが、直線の玉は鳥の足に当たり鳥が墜落した。
「飛距離はおよそ50mだ。もっと遠くまで飛ばすには更に魔力が必要になる。君の魔力では50mが妥当と判断した。」
今までの小弓では5、6mが限界だったのだ。それに比べれば格段に飛距離がアップしている。満足しないはずがない。
「十分です。本当にありがとうございます!」
私は深々と頭をさげると、グラントさんにお金を手渡し、研究室をでた。
先生がくれた巾着の中には、眠り玉と新小弓。私は嬉しくて、今すぐにでも旅に出たいような気分になっていた。
帰り道、馬車に揺られながら街を見ていた。デート中と思われる男女が街中でキスをしている。
キス、か。
思わず自分の唇に触れた。あのヴァンス様の唇が自分の唇に触れたかと思うと不思議な感じがする。
ヴァンス様がキスをした理由が分からず、デートの帰りの挨拶のようなものかと聞けば、否定されることは無かった。デート慣れしているヴァンス様がそう言うんだから(言われてはないけど)、デートの終わりにはああいった挨拶をするのだろう。レイもレベッカ様とああいう挨拶をしているのだろうか。
私の首元に印をつけた時のような、あんな顔をして・・・。
心の中に灰色の雲のようなもやもやした思いが広がりそうになって、パンっと両頬を叩いた。馬車に乗っていた人たちが一斉にこちらを見る。軽く頭をさげて謝るとまた街の風景を目に移した。
もう恋人たちを目で追ったりはしない。
胸の中にまだ僅かに残る灰色を消そうと、途中で馬車を下りお菓子やで甘いお菓子を買った。ベルが喜びそうなカップに入ったケーキだ。そのまま、何も考えないように歩き続ける。けれど、灰色は離してはくれず、走ることで灰色から逃れるようにフォレストへ帰った。荷物を自室のベッドに投げ置くと、人のいるところへ行きたくて食堂へ急ぐ。
カラン、とドアを開けるとナターシャさんがこちらを見た。
「おかえり、ライファ。空いているところに座って。今、ご飯をもっていくわ。」
「ありがとうございます。」
ベルはどこだろうと見回すと、いろいろな方のテーブルを巡っては食べ物を貰っていた。
「ベルはすっかりお店の看板魔獣よ。」
キイナがそう言って水を渡してくれた。
「グラントに仕事の依頼をしていたでしょう?いい仕事ができたってご機嫌だったわ。彼が喜んでいると私も嬉しいの。ありがとうね、ライファ。」
「ありがとうだなんてとんでもない。グラントさんには本当によい魔道具を作っていただきました。ここでキイナさんに紹介していただいて良かったです。」
「ありがとう。」
キイナはニコリと笑って厨房へ戻っていった。
「はい、今日のごはんよ~。」
ナターシャさんがご飯を持ってきて私の顔を覗き込む。
「なんだか元気ないわねぇ。なんかあった?」
「なんかあったかと言われれば何かあったのかなぁ。こう、胸のあたりがもやもやして・・・。こういう時ってどうすればいいんですかね?」
私は胸の前で右手の指をもやもやと動かしてみた。
そうねぇ、と言うとナターシャさんはちょっと顎に手をあてるとなにか考える様な仕草をした。
「1、美味しい物を食べてひたすら寝る。2、お酒をたらふく飲んで寝る。3、もやもやの原因に立ち向かう。かな。でも1と2はさ、結局、何度も思い返してはもやもやしちゃうのよね。だから解決には時間がかかるかも。手っ取り早いのは3よ。」
ナターシャさんは私の背中をポンポンと叩いてから食事を置いていった。今更ながら、ふらっとやってきたベルにご飯を分けながら、3について考えていた。
もやもやの原因に立ち向かう・・・か。
もやもやの原因は分かっている。レイとレベッカ様のことだ。なんでこんな気持ちになっているのだろう。あぁ、もうっ、自分、面倒くさい。私は食事を掻き込むと自室へと急いだ。
「レイ、いる?」
勢い任せにレイに話しかける。
「いるよ。」
話しかけると、すぐにちびレイが答えた。ちびレイに触れながら、元気?と聞けば元気だよと返ってくる。気になっていることは胸の中にちゃんとあるのに、それをそのまま言葉にすることが出来なくて、少し間があく。レイも同じように黙ったままだ。
「あの・・・さ。レイはキスしたことある?」
レベッカ様と、とは聞けず上っ面だけを聞く臆病な質問。
「・・・まぁ、そりゃあ・・・。」
「そ、そうか。そうだよな。アハハハ。」
変な感じに笑いながら、石を無理やり飲み込んだかのような重さが体の中にあった。
「レベッカ様とのデートは順調?」
私は一体何を聞いているのだろう。こんなことを聞いてもどうしようもないのに。
「デート?レベッカとデートなんかしてないよ?」
「え?そうなの?」
驚いて声が大きくなる。
「うん、何度かご飯は食べに行っているけど、侯爵家としてのつながりみたいなもので。仕事みたいな感じ。」
「じゃあ、キスはしてないの?」
「はぁ?してないよ。誰だよ、そんなこと言うの。あ、兄さんか?」
「いや、そういうわけじゃ・・・。」
「もしかして、妬いた?」
ちびレイがちょっと嬉しそうに、でも挑発するような視線を送ってくる。
「・・・妬く?」
これが、嫉妬?え、嫉妬か?
心についていけない頭に聞いてみたが、頭は理解することを放置したらしい。急に無言になった私にちびレイが「もし私がレベッカと付き合っていると言ったらどうする?」と聞いてきた。
「そしたら・・・今まで通りとはいかないんじゃないかな。」
咄嗟に答えつつも、そうだよな、と自分へ何度目かの言い聞かせをする。身分が違いすぎるのだ、と。自分と同じ場所に立っているのだと錯覚してはいけないんだ。いつの間にかレイに近付きすぎたようだ。
「・・・ちゃんと離れる準備をしておかないと。」
「何言ってんだよ!!」
急に怒鳴る様な声が聞こえてビクッとなる。自分に言い聞かせた言葉はいつの間にかリトルマインを通してレイに届いていたらしい。レイが慌てたように早口で言う。
「レベッカとどうこうなるなんて絶対にないから、離れちゃだめだからな!」
「何言って・・・。」
「ライファ、ちゃんと聞いて。俺、離れないから。」
私はそんなレイの言葉を聞きながら、レイは自身を俺と言ったりもするんだ、なんてことを考えていた。
研究室に荷物を置いてから厨房へ行くとクロッカさんに声をかけられた。
「のびケーキのブラウニーもストックがあるからそんなに急いでないし、午前中は私とトトで大丈夫だから行ってきてもいいわよ。」
クロッカさんにそう言われて、ありがとうございます、と厨房を後にした。
「来たか。」
魔道具研究室の扉を開けるとグラントさんが待っていた。
「こっちに来てくれ。」
グラントさんはそう言うと、いつものように裏庭に私を連れて行った。森へ着くとグラントさんは手に持っていた小弓を渡してくる。小弓はもはや小弓ではなく、一端の魔具だ。形としては15cmと20cmの長さの筒状の鉄を真ん中より少し上でつなぎ【T】を左周りに90度回転させたような形をしている。
「おぉーっ。かっこいい!!」
「この上部に蓋がついているから、そこを開けて玉を入れる。グリップの真ん中の所にスイッチがあるから、ここを押せば玉が飛び出す仕組みになっている。」
「スイッチが3つありますけど、これはなんですか?」
「上が右カーブ、真ん中が真っ直ぐ、下が左カーブ。玉の軌道をスイッチで変えられるようにした。」
「おぉっ。」
「それで、希望していた周囲の魔力を取り込む機能だが、単純に世界で一番多い魔木、ザシャーを登録しておいた。小弓の底の部分に魔力を蓄えておける石を入れてある。それに空きがある時にザシャーの木が近くにあれば、石がザシャーの魔力を取り込むだろう。もともと魔力1でも扱えるようにしてあるから、取り込むと言っても大した量ではないけどな。」
「おぉっ、すごい・・・。」
「もちろん、自分の魔力を石に込めても使えるし、誰かに魔力を分けてもらっても大丈夫だ。」
「グラントさんって、すごく優秀な魔道具製作者さんですね。」
私がそう言うと、グラントさんは少しだけ微笑んだ。
「この、装飾もグラントさんが?」
小弓の鉄の部分にはツタのような模様が彫られており、シンプルながらも見事だ。
「あぁ、筒の型を作るときに少しな。自然界から魔力を貰うから、自然界へ敬意をと思って。」
「本当に凄いです。ありがとうございます。」
「礼は試し打ちをしてみてからだ。」
グラントさんに言われ、練習用の玉で何発か試し打ちをする。
片手で難なく打てるうえに、今までは直線的にしか飛ばせなかったものが右や左にカーブさせることも出来る。次に本物の眠り玉を入れて、鳥を狙ってみた。
カーブした玉で捉えることはまだ難しかったが、直線の玉は鳥の足に当たり鳥が墜落した。
「飛距離はおよそ50mだ。もっと遠くまで飛ばすには更に魔力が必要になる。君の魔力では50mが妥当と判断した。」
今までの小弓では5、6mが限界だったのだ。それに比べれば格段に飛距離がアップしている。満足しないはずがない。
「十分です。本当にありがとうございます!」
私は深々と頭をさげると、グラントさんにお金を手渡し、研究室をでた。
先生がくれた巾着の中には、眠り玉と新小弓。私は嬉しくて、今すぐにでも旅に出たいような気分になっていた。
帰り道、馬車に揺られながら街を見ていた。デート中と思われる男女が街中でキスをしている。
キス、か。
思わず自分の唇に触れた。あのヴァンス様の唇が自分の唇に触れたかと思うと不思議な感じがする。
ヴァンス様がキスをした理由が分からず、デートの帰りの挨拶のようなものかと聞けば、否定されることは無かった。デート慣れしているヴァンス様がそう言うんだから(言われてはないけど)、デートの終わりにはああいった挨拶をするのだろう。レイもレベッカ様とああいう挨拶をしているのだろうか。
私の首元に印をつけた時のような、あんな顔をして・・・。
心の中に灰色の雲のようなもやもやした思いが広がりそうになって、パンっと両頬を叩いた。馬車に乗っていた人たちが一斉にこちらを見る。軽く頭をさげて謝るとまた街の風景を目に移した。
もう恋人たちを目で追ったりはしない。
胸の中にまだ僅かに残る灰色を消そうと、途中で馬車を下りお菓子やで甘いお菓子を買った。ベルが喜びそうなカップに入ったケーキだ。そのまま、何も考えないように歩き続ける。けれど、灰色は離してはくれず、走ることで灰色から逃れるようにフォレストへ帰った。荷物を自室のベッドに投げ置くと、人のいるところへ行きたくて食堂へ急ぐ。
カラン、とドアを開けるとナターシャさんがこちらを見た。
「おかえり、ライファ。空いているところに座って。今、ご飯をもっていくわ。」
「ありがとうございます。」
ベルはどこだろうと見回すと、いろいろな方のテーブルを巡っては食べ物を貰っていた。
「ベルはすっかりお店の看板魔獣よ。」
キイナがそう言って水を渡してくれた。
「グラントに仕事の依頼をしていたでしょう?いい仕事ができたってご機嫌だったわ。彼が喜んでいると私も嬉しいの。ありがとうね、ライファ。」
「ありがとうだなんてとんでもない。グラントさんには本当によい魔道具を作っていただきました。ここでキイナさんに紹介していただいて良かったです。」
「ありがとう。」
キイナはニコリと笑って厨房へ戻っていった。
「はい、今日のごはんよ~。」
ナターシャさんがご飯を持ってきて私の顔を覗き込む。
「なんだか元気ないわねぇ。なんかあった?」
「なんかあったかと言われれば何かあったのかなぁ。こう、胸のあたりがもやもやして・・・。こういう時ってどうすればいいんですかね?」
私は胸の前で右手の指をもやもやと動かしてみた。
そうねぇ、と言うとナターシャさんはちょっと顎に手をあてるとなにか考える様な仕草をした。
「1、美味しい物を食べてひたすら寝る。2、お酒をたらふく飲んで寝る。3、もやもやの原因に立ち向かう。かな。でも1と2はさ、結局、何度も思い返してはもやもやしちゃうのよね。だから解決には時間がかかるかも。手っ取り早いのは3よ。」
ナターシャさんは私の背中をポンポンと叩いてから食事を置いていった。今更ながら、ふらっとやってきたベルにご飯を分けながら、3について考えていた。
もやもやの原因に立ち向かう・・・か。
もやもやの原因は分かっている。レイとレベッカ様のことだ。なんでこんな気持ちになっているのだろう。あぁ、もうっ、自分、面倒くさい。私は食事を掻き込むと自室へと急いだ。
「レイ、いる?」
勢い任せにレイに話しかける。
「いるよ。」
話しかけると、すぐにちびレイが答えた。ちびレイに触れながら、元気?と聞けば元気だよと返ってくる。気になっていることは胸の中にちゃんとあるのに、それをそのまま言葉にすることが出来なくて、少し間があく。レイも同じように黙ったままだ。
「あの・・・さ。レイはキスしたことある?」
レベッカ様と、とは聞けず上っ面だけを聞く臆病な質問。
「・・・まぁ、そりゃあ・・・。」
「そ、そうか。そうだよな。アハハハ。」
変な感じに笑いながら、石を無理やり飲み込んだかのような重さが体の中にあった。
「レベッカ様とのデートは順調?」
私は一体何を聞いているのだろう。こんなことを聞いてもどうしようもないのに。
「デート?レベッカとデートなんかしてないよ?」
「え?そうなの?」
驚いて声が大きくなる。
「うん、何度かご飯は食べに行っているけど、侯爵家としてのつながりみたいなもので。仕事みたいな感じ。」
「じゃあ、キスはしてないの?」
「はぁ?してないよ。誰だよ、そんなこと言うの。あ、兄さんか?」
「いや、そういうわけじゃ・・・。」
「もしかして、妬いた?」
ちびレイがちょっと嬉しそうに、でも挑発するような視線を送ってくる。
「・・・妬く?」
これが、嫉妬?え、嫉妬か?
心についていけない頭に聞いてみたが、頭は理解することを放置したらしい。急に無言になった私にちびレイが「もし私がレベッカと付き合っていると言ったらどうする?」と聞いてきた。
「そしたら・・・今まで通りとはいかないんじゃないかな。」
咄嗟に答えつつも、そうだよな、と自分へ何度目かの言い聞かせをする。身分が違いすぎるのだ、と。自分と同じ場所に立っているのだと錯覚してはいけないんだ。いつの間にかレイに近付きすぎたようだ。
「・・・ちゃんと離れる準備をしておかないと。」
「何言ってんだよ!!」
急に怒鳴る様な声が聞こえてビクッとなる。自分に言い聞かせた言葉はいつの間にかリトルマインを通してレイに届いていたらしい。レイが慌てたように早口で言う。
「レベッカとどうこうなるなんて絶対にないから、離れちゃだめだからな!」
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