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第四章
5. 調合とジョンの災難
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「ライファ、そこのジャジャ花を取って。」
ジャジャ花はヒーリング効果3の魔花だ。先生は私が渡したジャジャ花をグツグツと煮立ったお湯に一瞬くぐらせると、呪文を唱え一瞬にしてお湯を冷やした。
「これは捨てておいてください。」
先生から受け取ったジャジャ花の出がらしを薬材用のゴミ箱に入れる。
レイが自宅へ帰ってからの日々は先生の家で調合をする日々だ。私とレイが集めた薬材と同じ効力を持ち手に入れるのが困難ではない薬材、つまり効力の低いものを使って調合し解毒薬を試験的に作る。
「ライファたちが集めたレア薬材で調合するのは試験的な解毒薬がある程度完成してからですわ。レア薬材をもう一度集めに行くのは困難ですからね。絶花に関しては、とりあえず解毒薬をある程度完成させてから考えます。」
絶花は手に入れた時もそうだったが、今見ても効果の文字は揺らめくばかりでどんな効果があるのかを教えてはくれないのだ。
「わかりました。あの、先生、私が先生に渡した青い毒薬の解析はどこまで済んだのですか?」
「どの薬材を使ったかは分かっていますわ。あとは、薬材の配合比率も分かりました。」
「本当ですか?それって同じ薬が作れるってことですよね?」
「何を言っているのですか。作ることはできませんよ?薬材と配合が分かっても、薬材の下処理やどのタイミングでどの順番で調合するのか、温度や薬材の切り方、調合に必要な情報は山ほどありますでしょ。」
「そうでした・・・。」
「ライファ、庭で遊んでいる連中に声をかけて水中花とのっぽうの木の樹液を採ってきて貰って下さい。じゃれ合って遊んでいるだけなんですもの。それくらいは役に立ってもらわないと。そうそう、必ず3人で行くようにと言って下さいね。それから、ルカに回復薬を持っていくといいですよ。」
先生がうふふ、と微笑んだ。
「うぐっ、ヒィィィイイ~っ。」
先生に言われて庭に出るとルカの叫び声が響いていた。
「逃げ出すのが早すぎる!それでは攻撃を逃げる先へと進路変更できますよ!!」
グショウ隊長の攻撃をルカが叫び声を上げながら避けている。その光景を少し離れた所から子供でも見るような温かな眼差しでジョン様が見ていた。
先生、これを遊んでいるだけだなんて・・・。
魔女ともなるとじゃれ合っているように見えるのか。ははは。
「ジョン様、先生からの伝言でのっぽうの木の樹液と水中花を採ってきてほしいとのことなのですが。」
「いいですよ。魔花、魔木が相手でしたら私一人で十分ですね。すぐ行ってきますよ。」
「あ、いや、先生からは3人で行ってくるようにとのことです。」
「3人で!?何かあるのでしょうか。まぁ、いいか。グショウ隊長、ルカ、マリア様からお使いを頼まれましたよ~!!」
「た、助かった・・・。」
「仕方ない、中断ですね。ルカは鍛えがいがあって楽しいですよ。続きはお使いが終わってからですね。」
「鍛えて欲しいとは一言も言ってないんですけど・・・。」
「ルカ、これ先生からの差し入れ。」
よろよろっとしているルカに回復薬を渡すと、ありがたやと言って一気に飲み干した。それからジョン様とグショウ隊長が飛獣石に飛び乗る。
「まさか庭で飛獣石に乗ることになるとはね。」
「庭というレベルではないですよ。あ、ルカ、あなたは私の後ろに乗ってください。グショウ隊長の体に手を回してよいのは私だけですからね。」
ジョン様迫力の笑顔に負けルカがジョン様の飛獣石に乗った。グショウ隊長は何か言おうと口を開きかけたが面倒くさそうな顔をして話すのをやめた。
「では行って参ります。」
「えぇっ!?小さくなる薬でも飲んだのですか!?」
調合室に戻ると3分の1くらいの大きさになっている先生が何事もなかったかのように薬材を混ぜていた。椅子に乗って、だ。
「いいえ、私をもう一人作って3人の後を追わせましたの。ここにいる本体の魔力はだいぶ落ちますが、ライファが調合すればここでは魔力などほぼ必要ありませんもの。もう一人の私にだいぶ魔力を分け与えましたの。これも私のストレス発散の為ですわ。」
先生はそう言うとニヤリとした笑みを浮かべ舌をちらりと覗かせた。
そして二時間後。
シュルルルルル
薬の出来を確認していた先生が妙な音を立てて元の大きさに戻った。途端に左腕からガクッと力が抜けて零しそうになった薬を魔法で支える。
「ふぅ、ライファ、ヒーリング薬を持ってきて頂戴。効力は4にしてくださいな。」
小さい先生の時は傷もなく小奇麗な先生だったのだが大きくなった先生はあちこち傷だらけで服もボロボロだ。先生は私が用意したヒーリング薬を飲み干すと動作を確認するかのように左手を動かした。
「3人がかりとなりますと中々楽しめますわね。ルカのスキルも戦闘能力の高い者と組むことでより生かされますわ。」
先生は独り言のように呟くと、パチンと指を鳴らした。
「おぉっ、服が新しくなった。」
「ちょっと服を着替えただけですわ。それより、この解毒薬の効果を調べますわよ。」
「私のスキルで見ると【一時蘇生効果 3】になっていますが・・・。一時蘇生ってどういうことですかね?」
「心臓マッサージ的な感じかもしれませんね。この液体に入れて見ましょう。」
「それはなんですか?」
「ライファが頂いた青い毒薬を薄めて効力を小さくしたものです。この液体に解毒薬を混ぜる。解毒されればこの液体は毒ではなくなるでしょ。残りの成分を調べて毒ならば、残っている毒の成分を解毒できないという事になります。」
先生が両方の液体を混ぜると青色だった液体は薄い緑色へと変化した。
「先生、【催眠効果 2、浸毒効果 4】になりました。」
「そうですか・・・。毒を浸透させる効力が強いですね。もっと浄化系の効果を足さないと。それと、催眠効果の無効化が必要ですね。ライファ、また1から調合をしますよ。」
「はい!」
コンコン
「どうぞ。」
「マリア様、今、戻りました。」
グショウ隊長の声だ。
「マリア様、く、薬を!!背後から私たちを狙うなんて酷いじゃないですか!!」
「ジョン、騎士団ともあろうあなたが何という言い草ですか。背後から狙うなど、敵としては当たり前です。しかし、あなたは私が思っているよりもずっと打たれ強いのですね。ろっ骨を2、3本と右腕を1本折ってもあれだけ動けるのには私も感心しました。足の骨を折られないように死守したのは正解でしたね。内臓も傷んでいるかもしれないので、ライファ、ヒーリング薬は効力が6のものを用意してください。」
「は、はい。」
急いでヒーリング薬を取りに行く。
ルカは大丈夫だろうか。ジョン様であの傷だ。
「それと、ヒーリング効果4が1本、回復薬の効力が8のものが2本と5が1本。」
「はい、直ぐに!」
薬を掴んで走って戻ると大して大きな傷を負っていないルカがいた。
「あれ?ルカは平気なの?」
「うん、僕はジョン様の後ろにいたからねー。攻撃を全部ジョン様が受けてくれた。」
「ルカがスキルでどこに攻撃が来るかを教えたらもっとジョン様の傷は少なくて済んだんじゃない?」
「教えたよ。ちゃんと教えたんだけど、それ以上にたくさん攻撃が来た。」
「邪魔になるスキル持ちを排除しようと狙うのは当然のことですよ。」
ヒーリング薬と回復薬を飲んだグショウ隊長が、ふぅっ、とほっとしたような息を吐いた。
「ジョンがまさかあんなに防御が下手だとは思いませんでした。」
「こ、攻撃に勝る防御は無いとよく言うではありませんか。」
まだ少し辛そうなジョン様が床に座り込んで言い返す。
「それは相手が攻めるよりも先に攻撃をし、相手の攻撃を封じるということです。または、守ってばかりでは勝てないという解釈もありますね。攻撃の重要さを言っているのであって、防御が下手でもいいとは言っていませんよ。」
「ぐっ・・・。あちこち痛いのですからもう少し優しくしてくれても・・・。」
「マリア様の薬が優しくしているでしょう?私の優しさなど必要ありませんよ。」
グショウ隊長はそう微笑んだ後、明日からはジョンの防御の特訓ですね、とその笑みを深くした。
ジャジャ花はヒーリング効果3の魔花だ。先生は私が渡したジャジャ花をグツグツと煮立ったお湯に一瞬くぐらせると、呪文を唱え一瞬にしてお湯を冷やした。
「これは捨てておいてください。」
先生から受け取ったジャジャ花の出がらしを薬材用のゴミ箱に入れる。
レイが自宅へ帰ってからの日々は先生の家で調合をする日々だ。私とレイが集めた薬材と同じ効力を持ち手に入れるのが困難ではない薬材、つまり効力の低いものを使って調合し解毒薬を試験的に作る。
「ライファたちが集めたレア薬材で調合するのは試験的な解毒薬がある程度完成してからですわ。レア薬材をもう一度集めに行くのは困難ですからね。絶花に関しては、とりあえず解毒薬をある程度完成させてから考えます。」
絶花は手に入れた時もそうだったが、今見ても効果の文字は揺らめくばかりでどんな効果があるのかを教えてはくれないのだ。
「わかりました。あの、先生、私が先生に渡した青い毒薬の解析はどこまで済んだのですか?」
「どの薬材を使ったかは分かっていますわ。あとは、薬材の配合比率も分かりました。」
「本当ですか?それって同じ薬が作れるってことですよね?」
「何を言っているのですか。作ることはできませんよ?薬材と配合が分かっても、薬材の下処理やどのタイミングでどの順番で調合するのか、温度や薬材の切り方、調合に必要な情報は山ほどありますでしょ。」
「そうでした・・・。」
「ライファ、庭で遊んでいる連中に声をかけて水中花とのっぽうの木の樹液を採ってきて貰って下さい。じゃれ合って遊んでいるだけなんですもの。それくらいは役に立ってもらわないと。そうそう、必ず3人で行くようにと言って下さいね。それから、ルカに回復薬を持っていくといいですよ。」
先生がうふふ、と微笑んだ。
「うぐっ、ヒィィィイイ~っ。」
先生に言われて庭に出るとルカの叫び声が響いていた。
「逃げ出すのが早すぎる!それでは攻撃を逃げる先へと進路変更できますよ!!」
グショウ隊長の攻撃をルカが叫び声を上げながら避けている。その光景を少し離れた所から子供でも見るような温かな眼差しでジョン様が見ていた。
先生、これを遊んでいるだけだなんて・・・。
魔女ともなるとじゃれ合っているように見えるのか。ははは。
「ジョン様、先生からの伝言でのっぽうの木の樹液と水中花を採ってきてほしいとのことなのですが。」
「いいですよ。魔花、魔木が相手でしたら私一人で十分ですね。すぐ行ってきますよ。」
「あ、いや、先生からは3人で行ってくるようにとのことです。」
「3人で!?何かあるのでしょうか。まぁ、いいか。グショウ隊長、ルカ、マリア様からお使いを頼まれましたよ~!!」
「た、助かった・・・。」
「仕方ない、中断ですね。ルカは鍛えがいがあって楽しいですよ。続きはお使いが終わってからですね。」
「鍛えて欲しいとは一言も言ってないんですけど・・・。」
「ルカ、これ先生からの差し入れ。」
よろよろっとしているルカに回復薬を渡すと、ありがたやと言って一気に飲み干した。それからジョン様とグショウ隊長が飛獣石に飛び乗る。
「まさか庭で飛獣石に乗ることになるとはね。」
「庭というレベルではないですよ。あ、ルカ、あなたは私の後ろに乗ってください。グショウ隊長の体に手を回してよいのは私だけですからね。」
ジョン様迫力の笑顔に負けルカがジョン様の飛獣石に乗った。グショウ隊長は何か言おうと口を開きかけたが面倒くさそうな顔をして話すのをやめた。
「では行って参ります。」
「えぇっ!?小さくなる薬でも飲んだのですか!?」
調合室に戻ると3分の1くらいの大きさになっている先生が何事もなかったかのように薬材を混ぜていた。椅子に乗って、だ。
「いいえ、私をもう一人作って3人の後を追わせましたの。ここにいる本体の魔力はだいぶ落ちますが、ライファが調合すればここでは魔力などほぼ必要ありませんもの。もう一人の私にだいぶ魔力を分け与えましたの。これも私のストレス発散の為ですわ。」
先生はそう言うとニヤリとした笑みを浮かべ舌をちらりと覗かせた。
そして二時間後。
シュルルルルル
薬の出来を確認していた先生が妙な音を立てて元の大きさに戻った。途端に左腕からガクッと力が抜けて零しそうになった薬を魔法で支える。
「ふぅ、ライファ、ヒーリング薬を持ってきて頂戴。効力は4にしてくださいな。」
小さい先生の時は傷もなく小奇麗な先生だったのだが大きくなった先生はあちこち傷だらけで服もボロボロだ。先生は私が用意したヒーリング薬を飲み干すと動作を確認するかのように左手を動かした。
「3人がかりとなりますと中々楽しめますわね。ルカのスキルも戦闘能力の高い者と組むことでより生かされますわ。」
先生は独り言のように呟くと、パチンと指を鳴らした。
「おぉっ、服が新しくなった。」
「ちょっと服を着替えただけですわ。それより、この解毒薬の効果を調べますわよ。」
「私のスキルで見ると【一時蘇生効果 3】になっていますが・・・。一時蘇生ってどういうことですかね?」
「心臓マッサージ的な感じかもしれませんね。この液体に入れて見ましょう。」
「それはなんですか?」
「ライファが頂いた青い毒薬を薄めて効力を小さくしたものです。この液体に解毒薬を混ぜる。解毒されればこの液体は毒ではなくなるでしょ。残りの成分を調べて毒ならば、残っている毒の成分を解毒できないという事になります。」
先生が両方の液体を混ぜると青色だった液体は薄い緑色へと変化した。
「先生、【催眠効果 2、浸毒効果 4】になりました。」
「そうですか・・・。毒を浸透させる効力が強いですね。もっと浄化系の効果を足さないと。それと、催眠効果の無効化が必要ですね。ライファ、また1から調合をしますよ。」
「はい!」
コンコン
「どうぞ。」
「マリア様、今、戻りました。」
グショウ隊長の声だ。
「マリア様、く、薬を!!背後から私たちを狙うなんて酷いじゃないですか!!」
「ジョン、騎士団ともあろうあなたが何という言い草ですか。背後から狙うなど、敵としては当たり前です。しかし、あなたは私が思っているよりもずっと打たれ強いのですね。ろっ骨を2、3本と右腕を1本折ってもあれだけ動けるのには私も感心しました。足の骨を折られないように死守したのは正解でしたね。内臓も傷んでいるかもしれないので、ライファ、ヒーリング薬は効力が6のものを用意してください。」
「は、はい。」
急いでヒーリング薬を取りに行く。
ルカは大丈夫だろうか。ジョン様であの傷だ。
「それと、ヒーリング効果4が1本、回復薬の効力が8のものが2本と5が1本。」
「はい、直ぐに!」
薬を掴んで走って戻ると大して大きな傷を負っていないルカがいた。
「あれ?ルカは平気なの?」
「うん、僕はジョン様の後ろにいたからねー。攻撃を全部ジョン様が受けてくれた。」
「ルカがスキルでどこに攻撃が来るかを教えたらもっとジョン様の傷は少なくて済んだんじゃない?」
「教えたよ。ちゃんと教えたんだけど、それ以上にたくさん攻撃が来た。」
「邪魔になるスキル持ちを排除しようと狙うのは当然のことですよ。」
ヒーリング薬と回復薬を飲んだグショウ隊長が、ふぅっ、とほっとしたような息を吐いた。
「ジョンがまさかあんなに防御が下手だとは思いませんでした。」
「こ、攻撃に勝る防御は無いとよく言うではありませんか。」
まだ少し辛そうなジョン様が床に座り込んで言い返す。
「それは相手が攻めるよりも先に攻撃をし、相手の攻撃を封じるということです。または、守ってばかりでは勝てないという解釈もありますね。攻撃の重要さを言っているのであって、防御が下手でもいいとは言っていませんよ。」
「ぐっ・・・。あちこち痛いのですからもう少し優しくしてくれても・・・。」
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