鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸

文字の大きさ
9 / 66
1章 奪う力と与える力

第8話 妨害工作

しおりを挟む
「それではジュナ!また明日ですわ!」

「うん、また明日ね」

 ピクニックのあと、ピャーねぇを自宅まで送り届けてバイバイと手を振る。ピャーねぇが玄関をあけると、優しそうな母親が迎え入れてくれていた。その母親に嬉しそうな笑顔を向けるピャーねぇを見て、僕も自然と笑顔になった。
 僕自身も自分の家に帰るとしよう。



 ガチャ。

「おかえりなさいませ、ご主人様」
「おかえりなさいませ、ジュ……ご主人様」

「ただいま、ディセ、セッテ」

 扉を開けると、小さなメイドが2人、頭を下げて迎え入れてくれた。僕よりも頭ひとつ分小さいメイドたちに挨拶を返し、リビングへと向かう。
 僕の趣向を凝らしたミニスカメイド服に身を包んだ2人は、僕の後ろに続いてゆっくりとついてきてくれる。そして、僕がソファに座った後に、正面のソファに腰掛ける。

「それで、第四王子のスケジュールは分かったかな?」

「はい、ご主人様の予想通り、ギフト授与式前の1週間は、海辺の別荘で過ごすそうです」

 薄い紫色のロングヘアーを揺らしながら、褐色肌のディセが答えてくれた。ディセは、腰あたりまで伸びた綺麗な紫髪をそのままおろしていて、頭の両サイドに小さいツインテールを作っていた。ツインテールといってもかなり小さく短めのもので、垂れたアホ毛のようにぴこぴこと動いている。

「そうか、馬車の準備は?」

「ちゃんと準備できてるよ!……できてます!ご主人様!」

 隣にいる、これまた褐色肌のセッテがディセと同じ色の髪を揺らしながら答えてくれた。こちらも同じ髪型だ。でも、ツインテールをまとめている髪ゴムのデザインが違っていて、ゴムから垂れ下がっている星形の飾りが黄色だった。ディセの髪ゴムの星は青色をしている。
 2人の顔は、双子なのでとてもよく似ている。優しそうな顔に、意思が強そうな金色の目を持っている、可愛らしい少女たちだ。まぁ、つまりは、褐色ロリ双子メイドだ。いつ見ても、完璧な僕の従者たちである。

「ありがとう、セッテ。じゃあ、僕は予定通りその1週間は、あいつの別荘に潜伏することになる」

「承知しました。ご主人様が留守の間、ピアーチェス様のことはお任せください」

「うん、任せた。もし姉さんに何か危険が及んだら、無理矢理にでもいいから城の外に連れ出してくれ」

「はい、そのときは国境のアジトで落ち合う手筈でよろしいでしょうか?」

「ああ、それでいい。頼んだ」

 僕は2人に頭を下げる。

「じゃ、今日の報告会は終わりだね。夕食にしようか、今日は僕が作るよ」

「はい!では私がお手伝いしますね!」
「お姉ちゃんずるい!セッテ!セッテが手伝う!」

 仕事モードを終えた2人が少女らしい表情を見せて騒ぎ出す。真面目なディセと無邪気なセッテが両腕に絡みついてくるのを僕は笑いながら相手をした。そのまま2人と夕食を作って、3人で食事を済ませてから、その日は眠ることにした。

♢♦♢

-翌日-

「これが、姉さんがスキルを授与する相手の候補リストですか……」

「ええ……この中から選べと言われましたわ……」

 僕の自室で、ピャーねぇが持ってきた用紙を2人で眺め、2人して頭を悩ませていた。用紙に記載されている名前は、地方貴族の三男以下の人間ばかり。つまり、ギフトキーでスキルを授けたとしても、高ランクになる可能性が低い人たちしかいなかった。
 地方貴族の中には大きな才能の持ち主は少なく、首都に住む有名貴族ほど大きな才能を持っている、というのが通説なのである。この候補者リストを見て、クワトゥル第四王子がニヤついていた理由が理解できた。

「お兄様、ですわね……」

「でしょうね。あのバカ王子が裏で手を回したんでしょう」

「これでは……いよいよ、わたくしの命も危ないかもしれませんわね……」

「ピャーねぇ、何度も聞いたことですが、僕と国外に逃げる気はないんですね?」

「ええ、わたくしは王族として、その務めを果たします」

「わかりました。僕はピャーねぇを応援します。もし、なにかあっても僕が守ってみせます」

「うふふ、素直なジュナは本当に可愛いですわ」

「それで、この中の誰にスキルを授与します?できれば少しでも才能がある人がいいですよね。とは言っても、見分け方なんてないんですが」

 スキル発現前の才能の強さについては、測定することはできないとされている。だから、ギフトキーでスキルを授与してみないと、その人がどんなスキル、どんなランクになるかわからないのだ。
 ただ、スキルの系統や強さは家系に左右されるということはわかっていた。例えば、クワトゥル第四王子の取り巻きであるブラウとアズーは、水属性魔法の強いスキルが発現する貴族として名が売れていた。長男のブラウがAランク水魔法使いで、次男のアズーは今度の授与式でクワトゥルからスキルを授与されることになるだろう。
 前評判では、Aランクのクワトゥルがアズーにスキルを授与すれば、少なくともBランクの水魔法が発現するだろう、と言われている。

「そうですわね。ジュナの言うように、才能がある方を選ぶという考えも理解できますわ。でも、わたくし、才能の強さよりも、その方の志を重視したいですの」

「それは、どういう意味ですか?」

「えっとですわね。スキルを授ける方は、国民や国のことを思ってくれる方がいいですの」

「ピャーねぇ……」

 授与式で失敗すれば、自分の命が危ないかもしれないという状況なのに、それでも国のことを考えるピャーねぇの志に感動する。
 こんなにいい子を死なせるわけにはいかない。絶対にギフト授与式で失敗なんてさせるわけにはいかない。

「なんですの?ジッと見て」

「ピャーねぇは素敵な女性だなぁ、と思って」

「まぁまぁ!最近のジュナはあれですね!デレ期というやつですわね!テンションあがりますわー!」

「ははは、そうかもしれませんね」

 ピャーねぇを喜ばせる意図で言ったわけではなかったが、すごく嬉しそうにされて、抱きしめられてしまった。
 僕はピャーねぇに抱かれたまま、ギフト授与式を成功させるプランについて考えを巡らせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...