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2章 呪われた炎
第52話 血まみれの2人
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「見つかりませんわ……シューネはどこに行ったのかしら?心配ですわ……」
「んー?もうピャーねぇの家に帰ってるのかもよ?」
「そうでしょうか?」
城下町から帰ってきた僕とピャーねぇは、僕の家の前で立ち話をしていた。僕たちの話し声を聞いて、ディセとセッテが窓から顔を出す。そこに、
「はぁ、はぁ……ご、ご主人様……」
「え?」
血みどろのカリンが、誰かを背負って、現れた。
「カリン?カリン!!」
僕は、カリンの悲惨な姿を見て一瞬固まったが、すぐに駆け出して、大切な従者を抱きしめる。僕に抱きしめられたカリンからはどんどん力が抜けていき、僕にもたれかかってきた。
「申し訳……ございません……」
「なにを!?なにがあった!」
「それは……」
「いや!今はいい!ディセ!セッテ!ポーションを!」
僕がカリンを運ぼうと肩を貸すと、カリンが背負っていた人物が背中から転げ落ちる。
赤い髪の人物だった。誰だ?
「しゅ……シューネ?」
え?でも、シューネさんの髪は白で……違った。気を失ってるその少女は、大量の血を浴びて、髪が赤く染まっていたのだ。そして……
「手が……」
両手が無かった。僕は固まってしまう。頭が働かない。
「シューネ!わたくしが!絶対助けます!気をしっかりもって!」
ピャーねぇがシューネさんに駆け寄って、そのまま背負った。
「ジュナも早く!」
「え?……ああ!うん!」
僕はカリンを、ピャーねぇはシューネさんを背負って、急いで僕の家に駆け込む。
「じゅ、じゅじゅ!ジュナ様これ!」
セッテが震えながらポーションを差し出してくれる。
「ありがとう!」
僕はすぐにその瓶の蓋を開けてカリンの傷口にかけた。背中がバッサリと斬られていた。傷口にかけたポーションはふんわり光り、コポコポと傷口を治癒していく。でも、傷口は完全には塞ぎきらなかった。
「シューネ!シューネ!がんばって!」
隣でピャーねぇもディセから受け取ったポーションをシューネさんにかけていたが、こちらと似た状況のようだ。ポーションが、これだけじゃ足りないんだ。
「上級ポーションは!?」
僕は焦った声で双子メイドに確認する。
「さっきの2本で最後で……」
「そんな……」
僕は絶望感を覚え焦燥する。
大切な人が目の前で苦しんでいる。それなのに何もできない無力感に思考が停止しかけていた。でも、ピャーねぇは違った。
「ディセ!これで買ってきてくださいまし!」
「は!はい!」
ピャーねぇが金貨の袋を取り出してディセに渡す。
「セッテ!わたくしの家に行って!お母様にポーションをありったけもらってきてください!」
「うん!任せて!」
2人がピャーねぇの指示を聞いて、部屋を出ていく。
「ジュナは包帯と糸と針!それと火が出るものを!」
「え?」
「はやく!」
「う、うん!わかった!」
僕はピャーねぇに指示されて、あわてて言われたものを取りに行った。
♢
「何する気?」
ピャーねぇが僕が渡した針に糸を通し、その針を火で炙っている。
「ひどい傷口だけでも、わたくしが縫いますわ」
「そんなこと、できるの?」
「やるしかありませんわ!」
「ぐ……お願いします」
僕が何もできなくておろおろしている間に、ピャーねぇが緊張した顔をして、でも覚悟を決めてシューネさんの傷口を縫いはじめる。
カリンの方はというと、セッテがピャーねぇの家から持ってきたポーションで治療したおかげで、だいぶ落ち着いているように見えた。危機的状況は脱したように見える。でも、依然として顔色は悪いままだ。
「なんでこんなことに……」
シューネさんは両腕を失っていて、身体の正面は斬り傷だらけだった。まるで、刀のようなもので斬られたかのような……
……刀?
働いていなかった頭が急速に回り出す。
「まさか……あいつが……」
「……う……ご、しゅじんさま……」
「カリン!?」
カリンの声が聞こえて、隣のベッドに移動する。すぐに彼女の手を取った。
「申し訳……ございません……」
「謝らなくていい!無理しないで!しゃべらなくていいから!」
「いえ……報告、致します……」
カリンは大量に失った血のせいで朦朧としながらも、口を動かしてくれる。僕は、手を握ったまま、その言葉を聞いた。
「私たちを斬ったのは……マーダスです……」
「……そうか……」
予想が当たり、怒りがこみ上げてくる。でも、今はカリンの言葉を聞かないと。
「先ほど……マーダスに虐待されているシューネ様を見つけ……助けに入ったのですが……逆に私がシューネ様に助けられて……そのときに、シューネ様は両手を……」
「なんて無茶を……ごめん……カリンを1人で戦わせて……」
「いえ……シューネ様の容体は?」
カリンは、向こうのベッドの方を見ようとする。
「……今、姉さんが治療してくれてるよ……」
厳しい状態だとは伝えない。
「そう、ですか……でも、手が……」
「うん……」
「あの、ご主人様……」
「なに?」
「セーレン・ブーケ様を……ここに……」
「セーレンさんを?」
「シューネさまの……手、を……」
「カリン?カリン!!」
話している途中で気を失うように目をつむってしまったカリンを見て、僕は焦って声をかけ続ける。
「カリン!カリン!」
「ジュナ様落ち着いて!カリンちゃん寝ただけだよ!」
「ね、寝た?」
よく見ると、カリンはゆっくり息を吐いて寝息をたてていた。
「そ、そうか……寝た、だけ……」
僕は、気を抜きそうになる。でも、本当に重体なのはカリンじゃなかった。
「ジュナ!」
「は、はい!セッテ!ディセ!カリンを!」
「うん!」
「はい!」
僕はピャーねぇに呼ばれて、すぐにシューネさんのベッドに向かった。
「シューネの体温が!どんどん冷たく!」
「そんな!?」
シューネさんは、か細い息で「ひゅー……ひゅー……」と呼吸をしていて、顔は真っ青だった。ピャーねぇが頑張って傷口を縫ってポーションでなんとか治療したけど、カリン以上に血液を失ったせいなのか、状況は好転していなかった。
「どうすれば!?ジュナ!なんでもいいですので!ジュナの知識をください!」
「え?えっと……」
僕は必死で持っている知識を思い出す。小さい頃から色んな本を読んできた。その中には医学書もあって、血が足りないときはどうしていた?
「血液を失って……危ないないときは……輸血をするとか……」
思い出したことを、ぽそりとつぶやく。
「輸血というのは!?」
「健康な人の血液を、チューブを通して分けることだけど……医者でもないのに、そんなこと……」
「やりましょう!!わたくしの血をシューネに!」
「ま!待って!輸血っていうのは血液型が合ってないと!」
「わたくしとシューネは同じ血液型です!」
「ほんとに?」
「間違いありませんわ!」
「で、でも……」
「いいからやりますわよ!」
僕は、ピャーねぇの剣幕におされて、道具を集めにいく。そして、本棚から持ってきた医学書と照らし合わせながら、本当に見よう見まねで、輸血をはじめようとしていた。
ピャーねぇがシューネさんの隣に寝転ぶ。シューネさんよりも少し高い位置に寝てもらった。血が、低い方に流れるようにだ。
そして、まずピャーねぇの腕に針とそれに接続したチューブを刺し込む。ピャーねぇの腕から血液が流れ出て、チューブの反対側から血が出るのを見てから、チューブを紐で縛った。次に、もう片方の針をシューネさんの腕に刺し、ピャーねぇと繋げ、結び目をほどく。血液が流れ始めた。
一応、僕の目には、ピャーねぇからシューネさんの方に血が入っていってるように見えた。
「……こんなの……本当にうまくいってるのか、僕にはわからないよ……ピャーねぇだって危険だ……」
ここまでやっておいて、僕は弱音を吐く。本当に自信がなかった。輸血には拒絶反応とかがあったはずだ。
シューネさんのことを見る。痙攣とかはしてないけど……こんな素人の輸血なんて……
「いいから!ジュナはセーレンさんを!」
「セーレンさん?」
「そうです!すぐに呼んできてくださいませ!」
カリンにも言われたことを、輸血中のピャーねぇに言われて思い出す。そうだ、彼が来てくれればすべて解決するんだ。Sランクの治癒魔法でシューネさんの腕だって治るし、ピャーねぇがこんな危険なことをする必要もない。
「そ、そうだね。うん!わかった!ディセ!」
「セーレン様はクリオ南部のトレアという町に滞在してるはずです!」
「トレアなら馬で1日で行けるはずだ!すぐに行ってくる!」
「セッテ!ディセ!カリンと姉さんとシューネさんを頼む!」
「はい!」
「はい!」
僕は双子メイドにあとのことを任せて、出ていこうとする。でも、その前にひとつ、大切なことを任せる必要があることに気づく。
「……ディセ、馬屋の位置を教えて欲しい。ちょっとこっちに」
「?……はい」
僕の表情から不穏なものを感じたのか、不安そうについてくるディセ。僕は、部屋を出たところでディセにあるお願いをする。
「シューネさんへの輸血だけど、あまり長い時間やり過ぎるとピャーねぇが危険だ」
「はい……」
「僕が家を出て、この砂時計が落ちきったら、チューブの紐を結んで輸血を止めてくれ」
「わかりました……」
「もし、ピャーねぇが抵抗しても、無理やりにでも止めるんだ。わかったね?」
「はい……」
「ごめん。でも頼んだ」
「お、お任せください……」
ディセの同意を聞いてから、僕は全力で走り出した。まずは、城下町で馬を調達する。
「んー?もうピャーねぇの家に帰ってるのかもよ?」
「そうでしょうか?」
城下町から帰ってきた僕とピャーねぇは、僕の家の前で立ち話をしていた。僕たちの話し声を聞いて、ディセとセッテが窓から顔を出す。そこに、
「はぁ、はぁ……ご、ご主人様……」
「え?」
血みどろのカリンが、誰かを背負って、現れた。
「カリン?カリン!!」
僕は、カリンの悲惨な姿を見て一瞬固まったが、すぐに駆け出して、大切な従者を抱きしめる。僕に抱きしめられたカリンからはどんどん力が抜けていき、僕にもたれかかってきた。
「申し訳……ございません……」
「なにを!?なにがあった!」
「それは……」
「いや!今はいい!ディセ!セッテ!ポーションを!」
僕がカリンを運ぼうと肩を貸すと、カリンが背負っていた人物が背中から転げ落ちる。
赤い髪の人物だった。誰だ?
「しゅ……シューネ?」
え?でも、シューネさんの髪は白で……違った。気を失ってるその少女は、大量の血を浴びて、髪が赤く染まっていたのだ。そして……
「手が……」
両手が無かった。僕は固まってしまう。頭が働かない。
「シューネ!わたくしが!絶対助けます!気をしっかりもって!」
ピャーねぇがシューネさんに駆け寄って、そのまま背負った。
「ジュナも早く!」
「え?……ああ!うん!」
僕はカリンを、ピャーねぇはシューネさんを背負って、急いで僕の家に駆け込む。
「じゅ、じゅじゅ!ジュナ様これ!」
セッテが震えながらポーションを差し出してくれる。
「ありがとう!」
僕はすぐにその瓶の蓋を開けてカリンの傷口にかけた。背中がバッサリと斬られていた。傷口にかけたポーションはふんわり光り、コポコポと傷口を治癒していく。でも、傷口は完全には塞ぎきらなかった。
「シューネ!シューネ!がんばって!」
隣でピャーねぇもディセから受け取ったポーションをシューネさんにかけていたが、こちらと似た状況のようだ。ポーションが、これだけじゃ足りないんだ。
「上級ポーションは!?」
僕は焦った声で双子メイドに確認する。
「さっきの2本で最後で……」
「そんな……」
僕は絶望感を覚え焦燥する。
大切な人が目の前で苦しんでいる。それなのに何もできない無力感に思考が停止しかけていた。でも、ピャーねぇは違った。
「ディセ!これで買ってきてくださいまし!」
「は!はい!」
ピャーねぇが金貨の袋を取り出してディセに渡す。
「セッテ!わたくしの家に行って!お母様にポーションをありったけもらってきてください!」
「うん!任せて!」
2人がピャーねぇの指示を聞いて、部屋を出ていく。
「ジュナは包帯と糸と針!それと火が出るものを!」
「え?」
「はやく!」
「う、うん!わかった!」
僕はピャーねぇに指示されて、あわてて言われたものを取りに行った。
♢
「何する気?」
ピャーねぇが僕が渡した針に糸を通し、その針を火で炙っている。
「ひどい傷口だけでも、わたくしが縫いますわ」
「そんなこと、できるの?」
「やるしかありませんわ!」
「ぐ……お願いします」
僕が何もできなくておろおろしている間に、ピャーねぇが緊張した顔をして、でも覚悟を決めてシューネさんの傷口を縫いはじめる。
カリンの方はというと、セッテがピャーねぇの家から持ってきたポーションで治療したおかげで、だいぶ落ち着いているように見えた。危機的状況は脱したように見える。でも、依然として顔色は悪いままだ。
「なんでこんなことに……」
シューネさんは両腕を失っていて、身体の正面は斬り傷だらけだった。まるで、刀のようなもので斬られたかのような……
……刀?
働いていなかった頭が急速に回り出す。
「まさか……あいつが……」
「……う……ご、しゅじんさま……」
「カリン!?」
カリンの声が聞こえて、隣のベッドに移動する。すぐに彼女の手を取った。
「申し訳……ございません……」
「謝らなくていい!無理しないで!しゃべらなくていいから!」
「いえ……報告、致します……」
カリンは大量に失った血のせいで朦朧としながらも、口を動かしてくれる。僕は、手を握ったまま、その言葉を聞いた。
「私たちを斬ったのは……マーダスです……」
「……そうか……」
予想が当たり、怒りがこみ上げてくる。でも、今はカリンの言葉を聞かないと。
「先ほど……マーダスに虐待されているシューネ様を見つけ……助けに入ったのですが……逆に私がシューネ様に助けられて……そのときに、シューネ様は両手を……」
「なんて無茶を……ごめん……カリンを1人で戦わせて……」
「いえ……シューネ様の容体は?」
カリンは、向こうのベッドの方を見ようとする。
「……今、姉さんが治療してくれてるよ……」
厳しい状態だとは伝えない。
「そう、ですか……でも、手が……」
「うん……」
「あの、ご主人様……」
「なに?」
「セーレン・ブーケ様を……ここに……」
「セーレンさんを?」
「シューネさまの……手、を……」
「カリン?カリン!!」
話している途中で気を失うように目をつむってしまったカリンを見て、僕は焦って声をかけ続ける。
「カリン!カリン!」
「ジュナ様落ち着いて!カリンちゃん寝ただけだよ!」
「ね、寝た?」
よく見ると、カリンはゆっくり息を吐いて寝息をたてていた。
「そ、そうか……寝た、だけ……」
僕は、気を抜きそうになる。でも、本当に重体なのはカリンじゃなかった。
「ジュナ!」
「は、はい!セッテ!ディセ!カリンを!」
「うん!」
「はい!」
僕はピャーねぇに呼ばれて、すぐにシューネさんのベッドに向かった。
「シューネの体温が!どんどん冷たく!」
「そんな!?」
シューネさんは、か細い息で「ひゅー……ひゅー……」と呼吸をしていて、顔は真っ青だった。ピャーねぇが頑張って傷口を縫ってポーションでなんとか治療したけど、カリン以上に血液を失ったせいなのか、状況は好転していなかった。
「どうすれば!?ジュナ!なんでもいいですので!ジュナの知識をください!」
「え?えっと……」
僕は必死で持っている知識を思い出す。小さい頃から色んな本を読んできた。その中には医学書もあって、血が足りないときはどうしていた?
「血液を失って……危ないないときは……輸血をするとか……」
思い出したことを、ぽそりとつぶやく。
「輸血というのは!?」
「健康な人の血液を、チューブを通して分けることだけど……医者でもないのに、そんなこと……」
「やりましょう!!わたくしの血をシューネに!」
「ま!待って!輸血っていうのは血液型が合ってないと!」
「わたくしとシューネは同じ血液型です!」
「ほんとに?」
「間違いありませんわ!」
「で、でも……」
「いいからやりますわよ!」
僕は、ピャーねぇの剣幕におされて、道具を集めにいく。そして、本棚から持ってきた医学書と照らし合わせながら、本当に見よう見まねで、輸血をはじめようとしていた。
ピャーねぇがシューネさんの隣に寝転ぶ。シューネさんよりも少し高い位置に寝てもらった。血が、低い方に流れるようにだ。
そして、まずピャーねぇの腕に針とそれに接続したチューブを刺し込む。ピャーねぇの腕から血液が流れ出て、チューブの反対側から血が出るのを見てから、チューブを紐で縛った。次に、もう片方の針をシューネさんの腕に刺し、ピャーねぇと繋げ、結び目をほどく。血液が流れ始めた。
一応、僕の目には、ピャーねぇからシューネさんの方に血が入っていってるように見えた。
「……こんなの……本当にうまくいってるのか、僕にはわからないよ……ピャーねぇだって危険だ……」
ここまでやっておいて、僕は弱音を吐く。本当に自信がなかった。輸血には拒絶反応とかがあったはずだ。
シューネさんのことを見る。痙攣とかはしてないけど……こんな素人の輸血なんて……
「いいから!ジュナはセーレンさんを!」
「セーレンさん?」
「そうです!すぐに呼んできてくださいませ!」
カリンにも言われたことを、輸血中のピャーねぇに言われて思い出す。そうだ、彼が来てくれればすべて解決するんだ。Sランクの治癒魔法でシューネさんの腕だって治るし、ピャーねぇがこんな危険なことをする必要もない。
「そ、そうだね。うん!わかった!ディセ!」
「セーレン様はクリオ南部のトレアという町に滞在してるはずです!」
「トレアなら馬で1日で行けるはずだ!すぐに行ってくる!」
「セッテ!ディセ!カリンと姉さんとシューネさんを頼む!」
「はい!」
「はい!」
僕は双子メイドにあとのことを任せて、出ていこうとする。でも、その前にひとつ、大切なことを任せる必要があることに気づく。
「……ディセ、馬屋の位置を教えて欲しい。ちょっとこっちに」
「?……はい」
僕の表情から不穏なものを感じたのか、不安そうについてくるディセ。僕は、部屋を出たところでディセにあるお願いをする。
「シューネさんへの輸血だけど、あまり長い時間やり過ぎるとピャーねぇが危険だ」
「はい……」
「僕が家を出て、この砂時計が落ちきったら、チューブの紐を結んで輸血を止めてくれ」
「わかりました……」
「もし、ピャーねぇが抵抗しても、無理やりにでも止めるんだ。わかったね?」
「はい……」
「ごめん。でも頼んだ」
「お、お任せください……」
ディセの同意を聞いてから、僕は全力で走り出した。まずは、城下町で馬を調達する。
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