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「ちゃんちゃら」番外編18話(終)
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「ちゃんちゃら」番外編18話(終)
「それで、どうだった?また翔くんと会ってきたんだろう?」
空島はたくさん桃が乗ったケーキを頬張りながら頷いた。
「相変わらず元気そうでしたね。野球もメキメキ上達してるから本当にプロになったりして」と嬉しそうに笑う姿は親バカそのものであった。
「澪さん曰く、木待建設のなりふり構わない運営も柔らかくなってきたみたいっすし。」
「それも彼女の働きなんだろ?」
空島は小さく笑った。
「木待先輩も、俺との一件で自信を無くしてたらしいんす。でも、澪さんが傍にいてくれたおかげで変わってきたらしいっすよ。」
「へー、元彼の話も二人でするんだね。」
空島はさらにケーキにフォークを差し込む。
「澪さんも言ってたっすけど、あの人、正義感は強いんすけど、どこか空回りしちゃうところあるんすよね。」
すると、鳥舟がずっと空島を凝視してくるので、空島は食べる手を止めて揶揄った。
「なんすか?ひょっとして、妬いてるんすか?」
「いいや。」とゆっくり鳥舟は首を振る。
「やっぱり俊は今の姿が似合ってるね。」
「へへっ、髪も肩より伸びてきましたもんね。」
「それもあるけど、」
鳥舟はそっと空島の髪を優しく撫でた。
「君が楽しそうにしてるから、その長い髪も引き立つんだよ。だから木待先輩も君のこと好きだったんじゃない?」
空島ははにかみながら紅茶に砂糖とミルクを入れた。
「あんたからは危険な香りがするっす。」
「おかしいな。もう番になったのに。」と鳥舟は笑いながら自分の匂いを嗅いでいる。
すると、店内に流れている流行りの音楽が、ある大ヒットドラマの曲へ変わった。空島がその曲を顎に手を当てながら聞き入る。自然と彼の口角は上がっていた。
「前はこの曲、嫌いだったんすよ。明るすぎて。なにがちゃんちゃらだよって。」
「そうだったんだ。」と鳥舟は珈琲を飲む。
「でも、今はなんだか好きっす。」
鳥舟は珈琲を飲みながら空島を一瞥する。
「たぶん、周りから見たら俺ってちゃんちゃらおかしく見えると思うんす。」
外は少しずつ気温が上がり、眩しい晴天がカフェの窓を反射させていた。
「それでも、俺、今すごく楽しいっす。」
「眩しいなぁ」
「あ、カーテン閉めて貰うっすか?」
鳥舟がクククと笑いを堪えながら珈琲を置く。
「じゃあ、就活も絶好調なんだ?」
すると、さっきまで口角が上がりっぱなしだった空島の口はへの字になった。
「どうしてそう言う話をするんすか。」
鳥舟が笑いながら申し訳なさそうに手を振る。
「ごめんごめん。」
「だって、鳥舟さんの給料は当てになんないし、俺が頑張らないと」
「いや?気にすることないよ。」
空島が「どうして?」と眉を顰めて聞くと、鳥舟は顔をこちらに向けたまま天井を指差す。そこにはスピーカーがあり、今度はあのドラマのエンディング曲が流れ始めた。
「僕、小説は何にもヒットしないんだけど、脚本は恐ろしいぐらいヒットするんだよね。」と彼はさり気なく目配せした。
二人は活気のあるカフェで静かに顔を見合わせながら笑った。
「それで、どうだった?また翔くんと会ってきたんだろう?」
空島はたくさん桃が乗ったケーキを頬張りながら頷いた。
「相変わらず元気そうでしたね。野球もメキメキ上達してるから本当にプロになったりして」と嬉しそうに笑う姿は親バカそのものであった。
「澪さん曰く、木待建設のなりふり構わない運営も柔らかくなってきたみたいっすし。」
「それも彼女の働きなんだろ?」
空島は小さく笑った。
「木待先輩も、俺との一件で自信を無くしてたらしいんす。でも、澪さんが傍にいてくれたおかげで変わってきたらしいっすよ。」
「へー、元彼の話も二人でするんだね。」
空島はさらにケーキにフォークを差し込む。
「澪さんも言ってたっすけど、あの人、正義感は強いんすけど、どこか空回りしちゃうところあるんすよね。」
すると、鳥舟がずっと空島を凝視してくるので、空島は食べる手を止めて揶揄った。
「なんすか?ひょっとして、妬いてるんすか?」
「いいや。」とゆっくり鳥舟は首を振る。
「やっぱり俊は今の姿が似合ってるね。」
「へへっ、髪も肩より伸びてきましたもんね。」
「それもあるけど、」
鳥舟はそっと空島の髪を優しく撫でた。
「君が楽しそうにしてるから、その長い髪も引き立つんだよ。だから木待先輩も君のこと好きだったんじゃない?」
空島ははにかみながら紅茶に砂糖とミルクを入れた。
「あんたからは危険な香りがするっす。」
「おかしいな。もう番になったのに。」と鳥舟は笑いながら自分の匂いを嗅いでいる。
すると、店内に流れている流行りの音楽が、ある大ヒットドラマの曲へ変わった。空島がその曲を顎に手を当てながら聞き入る。自然と彼の口角は上がっていた。
「前はこの曲、嫌いだったんすよ。明るすぎて。なにがちゃんちゃらだよって。」
「そうだったんだ。」と鳥舟は珈琲を飲む。
「でも、今はなんだか好きっす。」
鳥舟は珈琲を飲みながら空島を一瞥する。
「たぶん、周りから見たら俺ってちゃんちゃらおかしく見えると思うんす。」
外は少しずつ気温が上がり、眩しい晴天がカフェの窓を反射させていた。
「それでも、俺、今すごく楽しいっす。」
「眩しいなぁ」
「あ、カーテン閉めて貰うっすか?」
鳥舟がクククと笑いを堪えながら珈琲を置く。
「じゃあ、就活も絶好調なんだ?」
すると、さっきまで口角が上がりっぱなしだった空島の口はへの字になった。
「どうしてそう言う話をするんすか。」
鳥舟が笑いながら申し訳なさそうに手を振る。
「ごめんごめん。」
「だって、鳥舟さんの給料は当てになんないし、俺が頑張らないと」
「いや?気にすることないよ。」
空島が「どうして?」と眉を顰めて聞くと、鳥舟は顔をこちらに向けたまま天井を指差す。そこにはスピーカーがあり、今度はあのドラマのエンディング曲が流れ始めた。
「僕、小説は何にもヒットしないんだけど、脚本は恐ろしいぐらいヒットするんだよね。」と彼はさり気なく目配せした。
二人は活気のあるカフェで静かに顔を見合わせながら笑った。
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