28 / 51
「ゼロから千まで」28話
しおりを挟む
「ゼロから千まで」28話
三人は学校へ急いで向かって自分たちのクラスに入り、先ほど買った文房具などを机の中に突っ込む。安心した三人が校門を潜り一息つくと、運動部が活動を終えて帰るところだった。
短い髪がツンツンと跳ねた頭の中に清潔感のあるショートの頭が目に入った。
霧崎零一だった。
世羅と三来が顔を見合わせる。二葉も遅れて気づいたのか、零一を思わず指差す。
「あっ!霧崎零一!千歳に会いに行くのかなぁ」
急いで三来は二葉の口を塞いだが、手遅れだったようで、霧崎零一は部活仲間に手を振るとこちらへゆっくり歩いてきた。二葉がすぐ逃げ出そうとしたが、三来に取り押さえられる。
「バカ!せめて残って責任取れ!」
「三人とも今日は遅いね。文化祭の準備?」
「ひえっ」
二葉の小さい悲鳴が夜空に響く。それもそのはずである。三人が霧崎零一と話をするのは入学以来どころか人生初だった。学校一のモテ男と話すのはさすがに千歳といつもバカをやっている三人組でさえも緊張した。二葉は零一のモテオーラにやられたのか、すっかり三来の背中に隠れて怯えていた。三来も仁王立ちしていたが、足が震えていた。
世羅は負けじと零一の前に立つ。モデルのような高身長に見下ろされるのは緊張した。
「なぁ、あんたどういうつもり?」
「どういうつもりって?」
「千歳のことだよ!ベタベタくっついて!なんのつもり!?」
世羅は単刀直入に話を切り出す。しかし、零一はポカンと口を開けていた。
「ちーちゃん、嫌がってた?」
「うわ。"ちーちゃん"だって。」と二葉は驚きで口を押さえる。
「ちーちゃんになにかあったの?」
小首を傾げながら零一はこちらへ一歩近づく。零一の目はどこか目が据わっているようで、恐怖心を煽られた。
「千歳は元気だよ。さっき会ってきたけど、別に嫌がってはいなさそうだったし。」
「どうだった?」
要領を得ない聞き方に世羅は段々イラついてくる。
「いや、だから元気だって」
「あ、違うんだ。ちーちゃんの家に行く途中、誰かとすれ違ったりした?」
全く予想つかない質問の内容に三人は顔を見合わせた。
「何人かあたしたちと同じように文化祭の準備をしていた奴らとすれ違ったりしたけど、それがなに?」
零一は顎に手を乗せ、考え込むように唸る。
「その中に百合愛はいた?」
「百合愛?」
またも三人は顔を見合わせた。二葉が警戒した小動物のように世羅にくっつき、威嚇するように叫んだ。
「ひょ、ひょっとして、も、元カノとヨリ戻そうとしてる!?浮気者!!」
「ち、違うよ!」
零一は慌てて首を横に振る。
「じゃあ、なんで百合愛のことなんか気にすんのよ。あんたにはもう関係の無い話じゃん?」
「それは」
零一は息を吐き出し、押し黙る。その表情は深刻だった。彼のそんな顔を見ていると嫌でも三人は嫌な予感とやらを感じざるを得なかった。
まだ何も分かっていない状態だが、一つだけ言えることは、霧崎零一は永遠千歳を心配しているということだけだった。
三人は学校へ急いで向かって自分たちのクラスに入り、先ほど買った文房具などを机の中に突っ込む。安心した三人が校門を潜り一息つくと、運動部が活動を終えて帰るところだった。
短い髪がツンツンと跳ねた頭の中に清潔感のあるショートの頭が目に入った。
霧崎零一だった。
世羅と三来が顔を見合わせる。二葉も遅れて気づいたのか、零一を思わず指差す。
「あっ!霧崎零一!千歳に会いに行くのかなぁ」
急いで三来は二葉の口を塞いだが、手遅れだったようで、霧崎零一は部活仲間に手を振るとこちらへゆっくり歩いてきた。二葉がすぐ逃げ出そうとしたが、三来に取り押さえられる。
「バカ!せめて残って責任取れ!」
「三人とも今日は遅いね。文化祭の準備?」
「ひえっ」
二葉の小さい悲鳴が夜空に響く。それもそのはずである。三人が霧崎零一と話をするのは入学以来どころか人生初だった。学校一のモテ男と話すのはさすがに千歳といつもバカをやっている三人組でさえも緊張した。二葉は零一のモテオーラにやられたのか、すっかり三来の背中に隠れて怯えていた。三来も仁王立ちしていたが、足が震えていた。
世羅は負けじと零一の前に立つ。モデルのような高身長に見下ろされるのは緊張した。
「なぁ、あんたどういうつもり?」
「どういうつもりって?」
「千歳のことだよ!ベタベタくっついて!なんのつもり!?」
世羅は単刀直入に話を切り出す。しかし、零一はポカンと口を開けていた。
「ちーちゃん、嫌がってた?」
「うわ。"ちーちゃん"だって。」と二葉は驚きで口を押さえる。
「ちーちゃんになにかあったの?」
小首を傾げながら零一はこちらへ一歩近づく。零一の目はどこか目が据わっているようで、恐怖心を煽られた。
「千歳は元気だよ。さっき会ってきたけど、別に嫌がってはいなさそうだったし。」
「どうだった?」
要領を得ない聞き方に世羅は段々イラついてくる。
「いや、だから元気だって」
「あ、違うんだ。ちーちゃんの家に行く途中、誰かとすれ違ったりした?」
全く予想つかない質問の内容に三人は顔を見合わせた。
「何人かあたしたちと同じように文化祭の準備をしていた奴らとすれ違ったりしたけど、それがなに?」
零一は顎に手を乗せ、考え込むように唸る。
「その中に百合愛はいた?」
「百合愛?」
またも三人は顔を見合わせた。二葉が警戒した小動物のように世羅にくっつき、威嚇するように叫んだ。
「ひょ、ひょっとして、も、元カノとヨリ戻そうとしてる!?浮気者!!」
「ち、違うよ!」
零一は慌てて首を横に振る。
「じゃあ、なんで百合愛のことなんか気にすんのよ。あんたにはもう関係の無い話じゃん?」
「それは」
零一は息を吐き出し、押し黙る。その表情は深刻だった。彼のそんな顔を見ていると嫌でも三人は嫌な予感とやらを感じざるを得なかった。
まだ何も分かっていない状態だが、一つだけ言えることは、霧崎零一は永遠千歳を心配しているということだけだった。
0
あなたにおすすめの小説
ホストと女医は診察室で
星野しずく
恋愛
町田慶子は開業したばかりのクリニックで忙しい毎日を送っていた。ある日クリニックに招かれざる客、歌舞伎町のホスト、聖夜が後輩の真也に連れられてやってきた。聖夜の強引な誘いを断れず、慶子は初めてホストクラブを訪れる。しかし、その日の夜、慶子が目覚めたのは…、なぜか聖夜と二人きりのホテルの一室だった…。
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
蛇の噛み痕
ラティ
恋愛
ホストへ行かないかと、誘われた佳代は、しぶしぶながらもついていくことに。そこであった黒金ショウは、美形な男性だった。
会ううちに、どんどん仲良くなっていく。けれど、なんだか、黒金ショウの様子がおかしい……?
ホスト×女子大学生の、お話。
他サイトにも掲載中。
お人形令嬢の私はヤンデレ義兄から逃げられない
白黒
恋愛
お人形のように綺麗だと言われるアリスはある日義兄ができる。
義兄のレイモンドは幼い頃よりのトラウマで次第に少し歪んだ愛情をアリスに向けるようになる。
義兄の溺愛に少し悩むアリス…。
二人の行き着く先は…!?
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる