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「ゼロから千まで」40話
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「ゼロから千まで」40話
「文化祭、どんな感じ?」
千歳の質問に百合愛はクッションを抱きしめながら唸る。
「うちのクラスは迷路やるんだけど、ダンボールの壁の飾り付けが終わった感じ。」
「おー!もうすぐじゃん!」
千歳はベッドを手でパタパタとドラムのように叩いた。
「いいなぁ、うちも文化祭の準備したかったなぁ」と千歳が悔しそうに口を尖らせているのを百合愛は見遣る。
「文化祭の日は千歳ちゃんも来れるんでしょ?」
「うん。でも、準備もしたかったよーみんな楽しそうだもん。」
「そうだよね。」と百合愛は困り眉をしながら微笑む。
千歳は「あーあ」と声を出しながら仰向けでベッドに転がる。
「文化祭の日はね、うちがめっちゃ当番やらされるんだってーやだー。サボったらまた防木に怒られるだろうしなぁ。」
ゴロゴロ転がる千歳を百合愛は心配そうに見ていた。
「百合愛、風紀委員でしょ?防木に言っといてよー」
百合愛はクスクス笑いながら頷いた。
「病み上がりなんだから、当番やらせなくていいのにね」
「ねー」
ベッドで軽く暴れている千歳を微笑みながら見ていた百合愛だったが、そんな彼女がふと真顔になった。
「文化祭は零一くんと回るの?」
千歳は横たわりながらベッドの上で振り上げていた拳を静かに下ろす。
「うーん、まだ決めてない。」
「そっか。」
百合愛の視線は窓の外に小さく見える自分たちの高校だった。
「私も千歳ちゃんと回りたかったな。」
「一緒に回る?」
百合愛は苦笑した。
「零一くんもいる状態で?」
「それは」
千歳が言葉に迷ったのを見て、百合愛の苦笑は深まった。
「ねぇ、千歳ちゃん。」
千歳が顔を上げると、百合愛は笑っていた。それはどこか無理をしているような笑い方にも見えて、痛々しくも見えた。
「つい最近まで他の人と付き合っていた人のこと、信用できるの?」
千歳は黙り込んだ。それは二葉たちも話していたことだった。
「私は千歳ちゃんのように零一くんの幼馴染じゃないから、昔の彼のことはよく知らない。でも、なんだか千歳ちゃんを振り回してるようにも見えるの。」
「ふ、振り回してる?」
ポカンと口を開けている千歳とは裏腹に百合愛は口角がまるで棒のように真っ直ぐだった。
「だって、そうじゃない?普通だったら恋人と別れた後、その恋人の友達とすぐに付き合おうってなるかしら。」
百合愛は顎に人差し指を乗せ、天井を見つけていた。
「私だったら、いくら好きな相手でも、友達に配慮してすぐ告白しないと思うけどなぁ。だって、好きな人の友達関係を壊したくないもの。」
千歳は黙って百合愛の話を聞いていた。外の寒風は強まり、街路樹の最後の葉を地面に突き落とした。
「零一くんのそういう身勝手なところは合わなかったなぁ。」と百合愛は机に突っ伏した。砕けた姿勢だというのに、百合愛がやるとなぜか気品さを感じられた。
百合愛は千歳がジッと眺めていることに気づき、姿勢を正す。百合愛は余裕のある笑みを見せながら言った。
「だから千歳ちゃん、零一くんには気をつけてね。」
「文化祭、どんな感じ?」
千歳の質問に百合愛はクッションを抱きしめながら唸る。
「うちのクラスは迷路やるんだけど、ダンボールの壁の飾り付けが終わった感じ。」
「おー!もうすぐじゃん!」
千歳はベッドを手でパタパタとドラムのように叩いた。
「いいなぁ、うちも文化祭の準備したかったなぁ」と千歳が悔しそうに口を尖らせているのを百合愛は見遣る。
「文化祭の日は千歳ちゃんも来れるんでしょ?」
「うん。でも、準備もしたかったよーみんな楽しそうだもん。」
「そうだよね。」と百合愛は困り眉をしながら微笑む。
千歳は「あーあ」と声を出しながら仰向けでベッドに転がる。
「文化祭の日はね、うちがめっちゃ当番やらされるんだってーやだー。サボったらまた防木に怒られるだろうしなぁ。」
ゴロゴロ転がる千歳を百合愛は心配そうに見ていた。
「百合愛、風紀委員でしょ?防木に言っといてよー」
百合愛はクスクス笑いながら頷いた。
「病み上がりなんだから、当番やらせなくていいのにね」
「ねー」
ベッドで軽く暴れている千歳を微笑みながら見ていた百合愛だったが、そんな彼女がふと真顔になった。
「文化祭は零一くんと回るの?」
千歳は横たわりながらベッドの上で振り上げていた拳を静かに下ろす。
「うーん、まだ決めてない。」
「そっか。」
百合愛の視線は窓の外に小さく見える自分たちの高校だった。
「私も千歳ちゃんと回りたかったな。」
「一緒に回る?」
百合愛は苦笑した。
「零一くんもいる状態で?」
「それは」
千歳が言葉に迷ったのを見て、百合愛の苦笑は深まった。
「ねぇ、千歳ちゃん。」
千歳が顔を上げると、百合愛は笑っていた。それはどこか無理をしているような笑い方にも見えて、痛々しくも見えた。
「つい最近まで他の人と付き合っていた人のこと、信用できるの?」
千歳は黙り込んだ。それは二葉たちも話していたことだった。
「私は千歳ちゃんのように零一くんの幼馴染じゃないから、昔の彼のことはよく知らない。でも、なんだか千歳ちゃんを振り回してるようにも見えるの。」
「ふ、振り回してる?」
ポカンと口を開けている千歳とは裏腹に百合愛は口角がまるで棒のように真っ直ぐだった。
「だって、そうじゃない?普通だったら恋人と別れた後、その恋人の友達とすぐに付き合おうってなるかしら。」
百合愛は顎に人差し指を乗せ、天井を見つけていた。
「私だったら、いくら好きな相手でも、友達に配慮してすぐ告白しないと思うけどなぁ。だって、好きな人の友達関係を壊したくないもの。」
千歳は黙って百合愛の話を聞いていた。外の寒風は強まり、街路樹の最後の葉を地面に突き落とした。
「零一くんのそういう身勝手なところは合わなかったなぁ。」と百合愛は机に突っ伏した。砕けた姿勢だというのに、百合愛がやるとなぜか気品さを感じられた。
百合愛は千歳がジッと眺めていることに気づき、姿勢を正す。百合愛は余裕のある笑みを見せながら言った。
「だから千歳ちゃん、零一くんには気をつけてね。」
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