墜落レッド ~戦隊レッドは魔王さまに愛でられる~

るなかふぇ

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第八章 邂逅

5 武神雷帝剣

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 《ともあれ、押すぞっ。タイミングはそなたに任せた!》
「わ、わかった……!」

 あらためて気を引き締め、リョウマは仲間たちとともに前に向きなおった。

「よおーし! じゃ、みんな。『三』で押すぞ。いち、にの、さ──ん!!」
「おおおっ」
「うううーん!」

 みんなが気合を入れるのは、《勇者パワー》をさらに活性化させるためだ。五人のパワーが一時に集中し、武神の体に漲って彗星を押し返そうと踏ん張りはじめる。魔王はそのタイミングにぴたりと合わせて、自らも彗星を押し返した。

「いち、にぃの、さ──ん!」
「いち、にぃの、さ──ん!」

 しばらくそうやって、ニ十回ほどは押し続けたが、やはり彗星の推進力はあまり変わらない。そのころにはもう、みんなは肩で息をつき、すっかり汗びっしょりになっていた。魔王はといえば、あまり表情に変わりはない。ないが、相当疲れてきているのは見てとれた。

「リョウマ! もう時間がないわよ」

 サクヤがそう言ったとき、すでに《レンジャー》のタイムリミットである六十分まで、あと十分に迫っていた。
 いつのまにこんなに時間が経ってしまったのか。愕然としつつ、リョウマは最後のフォーメーションに移行することを決断した。

「よし! いったんみんな離れるぞ。エル! 聞こえてるか? 一回離れるぞっ」
 《了解した》

 やや息を切らした魔王の低い声が答えてくる。さすがの魔王も相当疲れているらしい。ここまでで、かなりの魔力を消費してしまったのだろうと思われた。
 武神と魔王は彗星の速さに追いすがりつつも、瞬時に彗星から体を離した。彗星に置いて行かれないようにするためには、その凄まじいスピードを一瞬たりとも落とすわけにはいかない。それはもちろんダンパも、周囲の戦艦、巡洋艦たちも同じである。

「よし! ラスト・フォーメーションだ。いくぞっ、みんな!」
「ラジャー!」

 リョウマは片手を高くあげ、つぎの名乗りを高らかに宣言した。

「降臨せよ、いかれる武神の正義のいかづち! 《武神雷帝らいてい剣》っ!」

 リョウマの叫びに続いて、武神の巨体全体がゴゴゴゴ……と激しい振動に包まれた。武神もその片手を高く上げる。その手の先に、光り輝く稲妻の衣をまとった巨大な剣が現れた。
 《BLレンジャー》の最終奥義にして最強の武器、《武神雷帝剣》である。

「止められねえ以上、少しでも彗星の図体を削って減らす。いくつかにブチ割れれば御の字だ。いくぜっ、みんな!」
「おうっ!」
 《私も同時に攻撃するぞ、リョウマ》
「あ、うん。エルもよろしくなっ」
 《ああ》

 武神は彗星の前方に回り込み、巨大な両手剣を両腕に高く掲げて全身に《勇者パワー》をみなぎらせ、光輝いた。光は五つの色にまばゆく輝き、剣の刀身を目も開けていられぬほどの明るさに燃え上がらせた。

「んじゃ、いくぞおっ。うおりゃあああああっ! 《武神雷帝・電撃斬でんげきざん》っ」
 《おおおおおっ! 魔神裂破衝れっぱしょう!》

 武神と魔王の最終奥義がふたつながら、凄まじい光を放ちつつ彗星に突進し、ぶつかった。彗星全体が光に包まれ、一瞬なにも見えなくなる。

「ううっ……」
「ど、どうだ……?」

 彗星の周囲に、攻撃によって割れ飛んだらしき細かい岩石のクズのようなものが飛び散っていくのが見えたが、次の瞬間、凄まじい衝撃で五人の息が止まった。

「うぐうっ」
「な、なんだ……?」

 見れば、彗星は表面に多少の傷を負った程度のことで、相変わらずの巨体をごうごうと進めながら、武神と魔王の体に衝突させ、前への爆走を続行している。

「くそっ……。これでもダメかよ!」

 いや、無理もない。あのダイダロス将軍をして、重傷を負わせたほどの相手なのだ。
 このぐらいのことは予想の範疇だったが、問題は自分たちの時間のなさだった。サクヤが手元のタイマーを見て叫ぶ。

「ヤバいわよリョウマ!《鎧装》解除まで、あと一分!」
「ううっ……」
 《リョウマ! 離脱しろっ》

 耳元に聞こえた魔王の声もまた、ひどく切迫したものだった。
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