130 / 227
第八章 邂逅
5 武神雷帝剣
しおりを挟む
《ともあれ、押すぞっ。タイミングはそなたに任せた!》
「わ、わかった……!」
あらためて気を引き締め、リョウマは仲間たちとともに前に向きなおった。
「よおーし! じゃ、みんな。『三』で押すぞ。いち、にの、さ──ん!!」
「おおおっ」
「うううーん!」
みんなが気合を入れるのは、《勇者パワー》をさらに活性化させるためだ。五人のパワーが一時に集中し、武神の体に漲って彗星を押し返そうと踏ん張りはじめる。魔王はそのタイミングにぴたりと合わせて、自らも彗星を押し返した。
「いち、にぃの、さ──ん!」
「いち、にぃの、さ──ん!」
しばらくそうやって、ニ十回ほどは押し続けたが、やはり彗星の推進力はあまり変わらない。そのころにはもう、みんなは肩で息をつき、すっかり汗びっしょりになっていた。魔王はといえば、あまり表情に変わりはない。ないが、相当疲れてきているのは見てとれた。
「リョウマ! もう時間がないわよ」
サクヤがそう言ったとき、すでに《レンジャー》のタイムリミットである六十分まで、あと十分に迫っていた。
いつのまにこんなに時間が経ってしまったのか。愕然としつつ、リョウマは最後のフォーメーションに移行することを決断した。
「よし! いったんみんな離れるぞ。エル! 聞こえてるか? 一回離れるぞっ」
《了解した》
やや息を切らした魔王の低い声が答えてくる。さすがの魔王も相当疲れているらしい。ここまでで、かなりの魔力を消費してしまったのだろうと思われた。
武神と魔王は彗星の速さに追いすがりつつも、瞬時に彗星から体を離した。彗星に置いて行かれないようにするためには、その凄まじいスピードを一瞬たりとも落とすわけにはいかない。それはもちろんダンパも、周囲の戦艦、巡洋艦たちも同じである。
「よし! ラスト・フォーメーションだ。いくぞっ、みんな!」
「ラジャー!」
リョウマは片手を高くあげ、つぎの名乗りを高らかに宣言した。
「降臨せよ、怒れる武神の正義の雷! 《武神雷帝剣》っ!」
リョウマの叫びに続いて、武神の巨体全体がゴゴゴゴ……と激しい振動に包まれた。武神もその片手を高く上げる。その手の先に、光り輝く稲妻の衣をまとった巨大な剣が現れた。
《BLレンジャー》の最終奥義にして最強の武器、《武神雷帝剣》である。
「止められねえ以上、少しでも彗星の図体を削って減らす。いくつかにブチ割れれば御の字だ。いくぜっ、みんな!」
「おうっ!」
《私も同時に攻撃するぞ、リョウマ》
「あ、うん。エルもよろしくなっ」
《ああ》
武神は彗星の前方に回り込み、巨大な両手剣を両腕に高く掲げて全身に《勇者パワー》をみなぎらせ、光輝いた。光は五つの色にまばゆく輝き、剣の刀身を目も開けていられぬほどの明るさに燃え上がらせた。
「んじゃ、いくぞおっ。うおりゃあああああっ! 《武神雷帝・電撃斬》っ」
《おおおおおっ! 魔神裂破衝!》
武神と魔王の最終奥義がふたつながら、凄まじい光を放ちつつ彗星に突進し、ぶつかった。彗星全体が光に包まれ、一瞬なにも見えなくなる。
「ううっ……」
「ど、どうだ……?」
彗星の周囲に、攻撃によって割れ飛んだらしき細かい岩石のクズのようなものが飛び散っていくのが見えたが、次の瞬間、凄まじい衝撃で五人の息が止まった。
「うぐうっ」
「な、なんだ……?」
見れば、彗星は表面に多少の傷を負った程度のことで、相変わらずの巨体をごうごうと進めながら、武神と魔王の体に衝突させ、前への爆走を続行している。
「くそっ……。これでもダメかよ!」
いや、無理もない。あのダイダロス将軍をして、重傷を負わせたほどの相手なのだ。
このぐらいのことは予想の範疇だったが、問題は自分たちの時間のなさだった。サクヤが手元のタイマーを見て叫ぶ。
「ヤバいわよリョウマ!《鎧装》解除まで、あと一分!」
「ううっ……」
《リョウマ! 離脱しろっ》
耳元に聞こえた魔王の声もまた、ひどく切迫したものだった。
「わ、わかった……!」
あらためて気を引き締め、リョウマは仲間たちとともに前に向きなおった。
「よおーし! じゃ、みんな。『三』で押すぞ。いち、にの、さ──ん!!」
「おおおっ」
「うううーん!」
みんなが気合を入れるのは、《勇者パワー》をさらに活性化させるためだ。五人のパワーが一時に集中し、武神の体に漲って彗星を押し返そうと踏ん張りはじめる。魔王はそのタイミングにぴたりと合わせて、自らも彗星を押し返した。
「いち、にぃの、さ──ん!」
「いち、にぃの、さ──ん!」
しばらくそうやって、ニ十回ほどは押し続けたが、やはり彗星の推進力はあまり変わらない。そのころにはもう、みんなは肩で息をつき、すっかり汗びっしょりになっていた。魔王はといえば、あまり表情に変わりはない。ないが、相当疲れてきているのは見てとれた。
「リョウマ! もう時間がないわよ」
サクヤがそう言ったとき、すでに《レンジャー》のタイムリミットである六十分まで、あと十分に迫っていた。
いつのまにこんなに時間が経ってしまったのか。愕然としつつ、リョウマは最後のフォーメーションに移行することを決断した。
「よし! いったんみんな離れるぞ。エル! 聞こえてるか? 一回離れるぞっ」
《了解した》
やや息を切らした魔王の低い声が答えてくる。さすがの魔王も相当疲れているらしい。ここまでで、かなりの魔力を消費してしまったのだろうと思われた。
武神と魔王は彗星の速さに追いすがりつつも、瞬時に彗星から体を離した。彗星に置いて行かれないようにするためには、その凄まじいスピードを一瞬たりとも落とすわけにはいかない。それはもちろんダンパも、周囲の戦艦、巡洋艦たちも同じである。
「よし! ラスト・フォーメーションだ。いくぞっ、みんな!」
「ラジャー!」
リョウマは片手を高くあげ、つぎの名乗りを高らかに宣言した。
「降臨せよ、怒れる武神の正義の雷! 《武神雷帝剣》っ!」
リョウマの叫びに続いて、武神の巨体全体がゴゴゴゴ……と激しい振動に包まれた。武神もその片手を高く上げる。その手の先に、光り輝く稲妻の衣をまとった巨大な剣が現れた。
《BLレンジャー》の最終奥義にして最強の武器、《武神雷帝剣》である。
「止められねえ以上、少しでも彗星の図体を削って減らす。いくつかにブチ割れれば御の字だ。いくぜっ、みんな!」
「おうっ!」
《私も同時に攻撃するぞ、リョウマ》
「あ、うん。エルもよろしくなっ」
《ああ》
武神は彗星の前方に回り込み、巨大な両手剣を両腕に高く掲げて全身に《勇者パワー》をみなぎらせ、光輝いた。光は五つの色にまばゆく輝き、剣の刀身を目も開けていられぬほどの明るさに燃え上がらせた。
「んじゃ、いくぞおっ。うおりゃあああああっ! 《武神雷帝・電撃斬》っ」
《おおおおおっ! 魔神裂破衝!》
武神と魔王の最終奥義がふたつながら、凄まじい光を放ちつつ彗星に突進し、ぶつかった。彗星全体が光に包まれ、一瞬なにも見えなくなる。
「ううっ……」
「ど、どうだ……?」
彗星の周囲に、攻撃によって割れ飛んだらしき細かい岩石のクズのようなものが飛び散っていくのが見えたが、次の瞬間、凄まじい衝撃で五人の息が止まった。
「うぐうっ」
「な、なんだ……?」
見れば、彗星は表面に多少の傷を負った程度のことで、相変わらずの巨体をごうごうと進めながら、武神と魔王の体に衝突させ、前への爆走を続行している。
「くそっ……。これでもダメかよ!」
いや、無理もない。あのダイダロス将軍をして、重傷を負わせたほどの相手なのだ。
このぐらいのことは予想の範疇だったが、問題は自分たちの時間のなさだった。サクヤが手元のタイマーを見て叫ぶ。
「ヤバいわよリョウマ!《鎧装》解除まで、あと一分!」
「ううっ……」
《リョウマ! 離脱しろっ》
耳元に聞こえた魔王の声もまた、ひどく切迫したものだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる