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第十二章 新たな命
18 不思議な部屋 ※
しおりを挟む「なんだよオイ。どこ行くんだようっ」
「まあまあ。いいからいいから」
「『いいからいいから』じゃねんだわ、圧倒的に怪しいんだよお前、さっきから!」
というかもう、さっきから浮かべているその不穏な笑みがめちゃくちゃ怖い。いや信用していないわけではないが、こと、こういう顔をしたこの男は絶対に悪いことを考えている、間違いなく!
ぶーぶー言っているリョウマの背を押すようにして、魔王はどんどん廊下を進んでいく。案内のために前に立って歩くセンター長が、ほんのわずかに困ったような笑みを浮かべてときどき振り向いている。その様子を見る限り、別に命に係わるような危機が迫っているわけでないことは明白だった。
……いや、不穏だ。それでも十分に、不穏だ。
「ここか?」
「は、はい」
「……ん?」
センター長が立ち止まったのは、同じような扉が続いている廊下の端だった。廊下の様子が、さっきとはだいぶ変わっている。先ほどまでは明るく清潔なイメージの空間だったのに、こちらはなんとなく、照明や壁の色が暗い。
なんだか非常にイヤな予感がする。
「……な、なんなんだよ、ここ──」
「先ほど言ったのを聞いていなかったのか? そなたの『生きのいいの』を採取する部屋だ。まあ、ついでに私のも採取してもよいのだが」
「だっから! なんだってんだよソレは!」
「入ればわかる」
「んぎゃっ!」
センター長がいつのまにか壁のパネルを操作していたらしい。ほとんど音もなく扉が横にスライドして、魔王はリョウマの体を部屋の中へ強引に押し込んだのだ。
「……お、おい。ここ……」
周囲の様子を一瞥して、リョウマは絶句した。
暗めに落とした照明。壁には妙に大きなモニターが設置されている。空気の中には、なんとなく甘ったるく感じる香りがうっすらと漂っている。そうしてモニターと反対側の壁際には、非常に大きな寝台がひとつ──。
体を硬くしてきょろきょろしていたら、背後でまたもや音もなく扉が閉まった。
「あっ。おいっ! 出せよ、こらっっ!」
「暴れるでない。何も怖いことはないぞ」
「こっ、ここ怖がってるわけじゃねえっっ」
「ならばよいではないか。さあ、こちらへおいで」
「ん、んんんっ……」
「さあ、リョウマ」
さっさと自分だけベッドの縁に腰かけて、魔王がにこやかに手招きしている。
「なっ、なにする、つもりだよっ……」
「だから先ほどから説明しているだろうに。そなたの──」
「『イキのいいのを採取』ってのは何度も聞いた! っつうかその、いやえっと、そのまさか──」
「恐らくそのまさかだな」
「っておいいいい!?」
魔王は面倒くさくなったらしく、素早く立ちあがると勝手にひょいとリョウマを横抱きに抱き上げた。そのままベッドに横たえられ、上からのしかかられる。
「なっ、んなとこで何やって……っバカ、やめろバカヤロ!」
じたばた暴れるリョウマに構わず、魔王はさっさとリョウマの衣服を脱がせて愛撫にかかっている。
「私のように魔法が使える者ばかりではないからな。ここはそうした者らのために設えられた施設なのだ。子を望むカップルが、こちらで自分たちの《サンプル》を採取し、この施設に預けていく」
「やっぱり、そーか……」
「その気になりにくい者のために、色々と準備されているぞ。そこのモニターでは、そういう気分になりやすい映像や音声を取り出せる」
「へ、へえ?」
「薬物を使えば簡単なのだが、そういう方法で採取した《サンプル》は精度が下がってしまうらしい。あまりよい結果にならないのだそうだ」
「ふーん……ってオイ! 勝手にどんどん進めてんなよ!」
とリョウマが言う通りだった。魔王はあれこれ解説しながらも、リョウマの首筋に、胸元にと口づけを落としつつ、衣服の裾から手を差し入れて太腿を撫で上げている。
「は……っあ」
魔王の指がついとリョウマの足の間のモノに触れると、自分の意に反してビクッと腰が跳ねてしまった。
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