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私の婚約者 妹視点
しおりを挟む「あれ?テスラーには伝えて無かったっけ。私、新しい婚約者が出来たんだよ。レイン様って言うの。格好いいでしょ。」
「格好いいだなんて……レイナ様の方が可愛いですよ。」
「いやいや、レイン様の方が……」
「そんな訳ないですよ。レイナ様の方が絶対可愛いですよ。」
「いいえ。レイン様の方が格好いいに決まっています。」
手を横に素早く振りながら顔をどんどん紅く染める二人に、私は頭が壊れそうになる。お互いがお互いを褒め合っていて、どちらとも相手に褒められてか、顔が紅くなっている。特に、レイン様の方はお姉ちゃんに褒められて嬉しいのかデレている。豚さんの見せるようなデレではなく、今回のデレは可愛いデレだ。豚さんのように目に毒では無く、レイン様のデレは眼福と言っても過言ではない。
私は地面に手を付いた状態で、お姉ちゃんのことを睨む。
私の婚約者はあの豚さんだというのに、どうしてお姉ちゃんはこんなイケメンの婚約者を手に入れているのだ。しかも優しそうだし、所々の仕草が可愛い婚約者を。
二人の雰囲気など知らずに、私は普通に尋ねた。
「どうしてお姉ちゃんに婚約者が居るの?だって、お姉ちゃんにはあの豚さんが……」
「ふふっ。豚さんって、もしかして兄のことかな?今はテスラーちゃんの婚約者だっけ? 兄は甘やかされて育てられてきたから、性格も見た目も毒だけど、頑張って。」
「そうね。だって、テスラーがあの婚約者が良いって言ったんだもんね。そんなこと言わなければ、レイン様がテスラーの婚約者だったのに……」
「えっ!?どういうこと!!?」
私はお姉ちゃんの言った事が理解出来ない。
え?このレイン様は、元々は私の婚約者だった?
……それじゃあ、何で私じゃなくてお姉ちゃんが?
「う~んとね。私があの豚さんを。テスラーがレイン様を婚約者に……っていう婚約が元々予定されていたんだけど、テスラーが私の婚約者を欲しいって言ったじゃない? 知ってると思うけど、私とあの豚さんは三ヶ月前に婚約が行われていて、それから実際に婚約者だったんだけど、あの豚さんと婚約をしたいってテスラーが言ったから、婚約を見直した方が良いかもってなったの。」
「えっ!?……ってことは、私があんなこと言わなければ今頃レイン様が婚約者だったってこと?」
「うん。そうよ。」
「多分そうだったんじゃないかな。あはは……」
「でも、テスラーが適当に言ったのかもしれないって、結局婚約の見直しは行われないことになったんだけど、今日のテスラーの様子を見るに本気ということが分かって………その様子を見ていたお母さんやお父さんが、王族相手に土下座とかをしてまで、やることの無かった婚約のやり直しを実際にやることになったの。」
「え!?嘘だよね。そ、それに私の様子って……」
「多分。デートに出掛ける前のあの時じゃない?私に向かって嬉しそうに話をしてたじゃない。一応、途中観察としてだけど、テスラーにはあの豚さんが婚約者だって伝えられていたからね。あんなに嬉しそうに婚約者を自慢するテスラーを見て、お母さんやお父さんが婚約のやり直しを決意したんじゃない?」
「ね、ねぇ。今から、その婚約のやり直しというのは……」
「さすがに無理じゃないかな……多分。」
私の元々の婚約者だった筈のレイン様の言葉に、壊れてしまいそうな心を更に痛め付けられる。本当ならお姉ちゃんとしてたように、私の壊れそうな心を、抱き締めて慰めて欲しいと心の何処かで思っていた私にとって、苦笑いをしながら髪の毛を弄るレイン様は、私の心に大ダメージを与えた。
「テスラーのことを思って、土下座をしてまで婚約のやり直しを認めさせたのよ。それが嘘だったなんて言える訳が無いじゃない。」
「お願いだよぉ……お姉ちゃん。もう意地悪しないから、婚約を取り消してぇ……」
お姉ちゃんの正論に、少しでも希望の残っていた心が折れる。どうしてそんなこと言うのだ。お姉ちゃんがあの豚さんと婚約をしたいと土下座をすれば、婚約のやり直しが行われなくなるかもしれないのに。……お姉ちゃんなんだから、妹の私を助けてよぉ!!
「だから言ったじゃない。お幸せにって………それじゃあランチに行きましょうか、レイン様。」
「……そうだね。それじゃあ、また。テスラーちゃん。」
お姉ちゃんはレイン様に体を委ねると、レイン様は嬉しそうにお姉ちゃんの肩に腕を回す。それはもう幸せそうに。見せつけるように私に見せた二人は、扉を同じタイミングで出ていった。
意地悪をしていた私にとって、姉が優しくしてくれる筈なんて無かった。
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